円高進行も38000円処では底堅い値動き【クロージング】

市況
2024年11月29日 16時45分

29日の日経平均は反落。141.03円安の38208.03円(出来高概算16億2000万株)で取引を終えた。前日の米国市場は感謝祭で休場のため手掛かり材料に欠けるなか、取引開始前に発表された11月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)を受けて、円相場が一時1ドル=149円台へと円高に振れたことが嫌気された。輸出関連株を中心に売られ、日経平均は前場中盤にかけ37986.97円まで下げる場面もみられた。ただ、心理的な節目の38000円を割り込むと押し目を拾う動きが見られ、その後は38000円を上回ってのこう着の強い相場展開だった。

東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄数が900を超え、全体の6割近くを占めた。セクター別では、銀行、保険、繊維製品、サービス、電気ガスなど12業種が上昇。一方、輸送用機器、機械、精密機器、電気機器、海運など21業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、リクルートHD<6098>、NTTデータ<9613>、アドバンテス<6857>、ニトリHD<9843>、TDK<6762>がしっかりだった半面、東エレク<8035>、ソフトバンクG<9984>、トヨタ<7203>、キッコーマン<2801>、ソニーG<6758>が軟調だった。

東京都区部のCPIは日銀が目安としている2%を再び上回った。これを受け、12月の金融政策決定会合で追加利上げをするのではないかとの思惑が広がった。また、前日に大幅高となった東エレクが反落したこともセンチメントを冷ます形となった。ただし、海外勢のフローが限られるなかでは下値も限られており、38000円割れから売り仕掛ける動きはなかった。また、日銀の利上げ観測から利ざや改善への思惑からメガバンクなど金融株が値を上げるなど内需関連株に投資資金がシフトしたことが相場を下支える形になった。

海外投資家が不在なだけに積極的に売り崩す動きは見られないほか、「下値を探るほど国内企業の業績は悪くなく、下値では押し目を拾いたいと考える投資家も多い」との指摘も聞かれた。来週は米国では、12月2日に11月のISM製造業景況指数、4日に11月のADP雇用統計、ISM非製造業景況指数、6日に11月の雇用統計など重要な経済指標の発表が相次ぐだけに、米国のインフレ動向や為替相場をにらみながらの展開となりそうだ。

《CS》

提供:フィスコ

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