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OPECプラス主要国は大幅増産見送りも、自主減産の早期解消懸念が相場を圧迫へ <コモディティ特集>

特集
2025年10月8日 13時30分

石油輸出国機構(OPEC)プラスの主要8ヵ国は、日量165万バレル規模の自主減産を10月から段階的に解消し、11月の生産枠を日量13万7000バレル引き上げることで合意した。10月の増産幅を据え置いた形だ。今回の協議は形式的なもので、これまでで最短となる9分で終了したと伝えられている。ただし、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相がロシアのノバク副首相に対し、11月以降の増産や、11月について日量13万7000バレルを超える増産幅について議論があったかどうか直接問いただす一幕が報じられた。ノバク副首相は、いずれの点についても「協議はなかった」と答えたとされる。

会合を前に、11月の増産幅が10月の2倍から3倍に拡大する、あるいは日量50万バレル規模の増産に踏み切るとの観測が浮上していた。主要8ヵ国は、4月に開始した日量220万バレルの自主減産を当初予定よりも早いペースで解消しており、増産ペース加速への警戒感が強まるのは自然な流れだった。日量165万バレルの自主減産が完全に巻き戻された後は、OPECプラス全体で実施中の日量200万バレルの協調減産の行方が焦点となるだろう。

●シェア追求よりも安値誘導を狙っている可能性

今回の会合で印象的だったのは、アブドルアジズ氏がノバク氏に直接質問した一幕が報道機関を通じて伝えられた点だ。また、OPECが日量50万バレル増産との報道を公式に否定し、「不正確で誤解を招く」との声明を出したことも注目を集めた。今年に入り主要産油国が自主減産の巻き戻しを急いでいるのは明白であり、報道も利用して増産を重ねるという選択肢もあったはずである。ただ、サウジやロシアは生産枠の引き上げペース加速を見送った。

供給過剰見通しにも関わらず増産するOPECプラスは、価格よりシェアを追求しているとの見方はあるが、主要産油国の舵取り役であるサウジアラビアやロシアが今年の自主減産解消を急いだ経緯ははっきりとせず、増産ペースの加速懸念は今後もつきまとうだろう。主要8ヵ国の次回の会合は11月2日に予定されているため、来月にかけてもこの警戒感が 相場を低水準に抑制しそうだ。今回の会合で増産ペース加速という選択肢を温存したとの解釈も可能で、主要産油国が意図的に相場を圧迫しているようにも見える。供給過剰を警戒する市場参加者の心理を利用して追加増産報道で相場を誘導するのは容易く、シェア追求というよりも安値誘導を狙っている可能性がある。

来月は2日の主要8ヵ国の会合に加え、30日にOPECプラス全体の閣僚会合が予定されている。OPECプラス全体で実施している日量200万バレルの協調減産は2026年末まで継続する計画だが、安値誘導という思惑があるならば、全体会合も利用して相場を押し下げるのではないか。ただ、主要産油国の真意は、安値を安値で是正することであるかもしれない。供給過剰は、供給過剰による原油安が是正するだろう。最初に音を上げる主要産油国はどこだろうか。インフレ調整後の指標原油価格は1バレル=40ドル台との指摘もあり、かなり苦しいと思われる。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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