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プラチナは12年振り高値後に調整局面、強気見通しは維持 <コモディティ特集>

特集
2025年10月29日 13時30分

プラチナ(白金)の現物相場は10月、米政府機関の一部閉鎖や米中の貿易摩擦に対する懸念を受けて金が史上最高値を更新したことに加え、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しも支援要因となって2013年2月以来の高値1729.52ドルをつけた。その後は、米地銀不安などを受けてリスク回避の動きが出ると、上げ一服となった。ドル安一服や金反落も圧迫要因となり、調整局面を迎えたが、中国勢の安値拾いの買いが下支えになった。一方、米中閣僚級協議で大枠の通商合意に達し、30日の米中首脳会談でまとまるとみられている。金急落につれ安となる場面も見られたが、株高に振れたことが下支えであり、どの水準で下げ止まるかを確認したい。

米政府機関の一部が1日に閉鎖されたが、共和党と民主党の対立から米上院でつなぎ予算案の否決が続いている。ホワイトハウスは民主党が優勢な地域向けの支出を凍結し、政府職員の解雇を進める方針である。航空管制官の欠勤が増加し航空便の遅延が目立つようになった。管制官の給与支払いが28日に止まるなか、航空便の混乱が続くとみられている。対立解消の糸口がつかめず、過去最長となった35日間の閉鎖を超える可能性が出ている。

トランプ米大統領が中国によるレアアース(希土類)の輸出規制強化に反発し、100%の追加関税を11月から課すと表明し、米中の貿易摩擦に対する懸念が高まった。ただ、ベセント米財務長官は26日、米中閣僚級協議で実質的な枠組みで合意したことを明らかにし、追加関税は回避され中国のレアアース輸出規制は1年延期されると述べた。30日の米中首脳会談でまとまる見通しであり、合意内容を確認したい。

米主要株価3指数が最高値を更新しており、リスク選好の動きが続くとプラチナの支援要因になるとみられる。上海プラチナの出来高が1602枚まで増加し、中国勢の押し目買い意欲が強いことも下支え要因である。

●米FOMCで年末まで2回の利下げを織り込む

9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決定され、年末までさらに2回の利下げが見込まれている。パウエル米FRB議長は講演で、米経済見通しは9月の会合以降、変わっていないとみられると述べた。また、雇用の伸びが鈍いことを指摘し、今後さらに弱まる可能性があるとした。米政府機関の一部閉鎖を受け、米雇用統計など各省庁の経済指標の発表は延期された。ただ、9月の米消費者物価指数(CPI)は24日に発表された。前年比3.0%上昇と前月の2.9%上昇から伸びが加速したが、事前予想の3.1%上昇は下回り、今夜の米FOMCで利下げが見込まれている。利下げを受けてドル安が再開すると、金主導でプラチナも買われるとみられる。

●英国のプラチナETFに投資資金が流入

プラチナETF(上場投信)残高は10月24日の米国で37.77トン(9月末38.36トン)、23日の英国で12.82トン(同10.68トン)、南アフリカで7.27トン(同7.78トン)となった。英国で投資資金が流入し、合計で1.04トン増加した。

一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は10月に入り、米政府機関の一部閉鎖を受けて発表が延期された。9月23日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万2042枚(前週1万5203枚)と7月1日以来の高水準となっている。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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