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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「高値を付けやすい時期」

株式評論家 富田隆弥

◆決算発表では大きく上げたり、大きく下げたりと極端に反応する銘柄が目立った。その決算発表も終わり、全体として今19年3月期の純利益は2%減と前期の34%増から一転して減益となる見通しだ。ただ、日経平均株価は15日に2万2912円高値を付けるなどジリ高基調が続き、業績への悲観は聞こえてこない。為替レートを105~110円と低めに想定していることや、米国の好景気、好業績、株高もあって「増額修正」を早くも口にする向きも出てきた。

◆日経平均(17日2万2838円)の日足は、3月26日の安値2万0347円からジリ高基調が続き、2月に空けた窓の一つ2万2659円(2月5日)を埋め、もう一つの窓2万3122円(2月2日)を目指す流れにある。ジリ高の流れは意外と強く、為替(ドル円)が110円台に乗せていることもあり、窓埋めから2万3500~2万4000円方向へ弾みを付ける可能性もある。

◆カギを握るNYダウ平均(16日2万4768ドル)も三番底となった5月3日安値2万3531ドルから14日まで8連騰、2万4994ドル高値を付け、75日移動平均線(2万4625ドル)を突破した。こうした日米株価の堅調な動きが「悲観」を封じ込めている要因でもある。

◆たしかに、この5月から6月という時期は新年度に伴うニューマネー(米国は税還付金)の流入などで株価は上昇しやすいところだが、表現を変えれば「セル・イン・メイ(5月に売って旅に出ろ)」の格言があるように「高値を付けやすい時期」でもある。

◆71ドル台に浮上するWTI(原油)、3.1%台に浮上する米長期金利、通貨安に見舞われている新興国、中東の地政学リスク、アマゾンやアップルなど一部の大手ハイテク株への投資マネー集中など、気掛かり要因もある。株価の上昇基調が続くうちは「イイとこ取り」であるから、それらも気にはしないだろう。だが、上昇基調が崩れるとそれらが一気に懸念材料として浮上してくることは否めない。冒頭で述べたように決算発表のあと極端な動きを見せる日本株の姿は、高値圏でリスクが漂い始めている証しでもある。逆に150円台で長らく膠着する日本国債の動きは不気味だ。

◆日経平均、NYダウとも堅調だが、3月安値から9週を経過。下値抵抗線や25日移動平均線など上昇基調を支える下値ポイントには注視していきたい。

(5月17日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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