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【特集】急落でも慌てない! 押し目狙いの見分け方

大川智宏の「日本株・数字で徹底診断!」 第4回

大川智宏大川智宏(Tomohiro Okawa)
智剣・Oskarグループ CEO兼主席ストラテジスト
2005年に野村総合研究所へ入社後、JPモルガン・アセットマネジメントにてトレーダー、クレディ・スイス証券にてクオンツ・アナリスト、UBS証券にて日本株ストラテジストを経て、16年に独立系リサーチ会社の智剣・Oskarグループを設立し現在に至る。専門は計量分析に基づいた株式市場の予測、投資戦略の立案、ファンドの設計など。日経CNBCのコメンテーターなどを務めている。

 強烈な下落調整相場もひと段落しましたが、その後も不安定な動きは続く状況です。このような環境下で、筆者の周囲で活躍しているプロのトレーダーから頻繁に漏れ聞こえてくる声があります。彼らいわく「最近、押し目買いが効かない」――。

 押し目買いとは、上昇基調にある銘柄がいったん下がった際に買い増す手法のことです。この取引の根本には、対象銘柄が上昇トレンドの中にあり、足元の下落が一時的な利食いか調整だという前提があります。上昇トレンドの銘柄は、主に中長期の移動平均線が右上がりかなのかで簡単に見極められます。

 もちろん、現在の市場環境でも一時的な下落の後で再び強い上昇軌道を描く銘柄もあります。一方でそれまでの上昇など無かったことのように下落し続ける銘柄も少なくありません。今年は特にその傾向がひどいようです。

順張り効果が働きにくい日本株

 そこで、この押し目買いの効果の明暗を分ける要素を定量的に判別できないものかを考えました。まず踏まえておきたいのは、一般論として日本株市場では「順張り投資は機能しない」が定説だということです。たしかに、市場全体の傾向を定量的に把握するかぎり順張り効果を認めることはできません。

 下の図はそれを示したものです。TOPIX500指数を構成する銘柄のうち、過去1カ月間で高リターンの銘柄群を抽出し(3分位上位)、それらの翌1カ月間の平均リターン(市場相対)を5年、累積した値です。

 2015年秋から累積リターンのマイナスが、拡大傾向であることがわかります。ここ1カ月は平均より上のパフォーマンスだった銘柄が、翌月には平均に見劣りする銘柄になる傾向が強まっているのです。

TOPIX500銘柄の順張り効果が働きにくい状況

 ただ、これは当然のことでもあります。買われて上昇した銘柄は、常に「利益確定の売り(利食い)」にさらされているからです。一方で、利食いにもめげずに延々と上昇し続ける銘柄も存在することも事実です。

 仮にそれを判別できるなら、順張り投資は安定リターンの獲得においては大きなメリットを持ちます。それは2点あります。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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