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【特集】雨宮京子が斬る!亥年「有望株!」 <新春お年玉企画>

雨宮京子氏(SBI証券 投資調査部 シニア・マーケットアドバイザー)

「カオスな一年に!!多彩なテーマを丹念にチェック」

●内憂外患、参院選の行方にも注意

 平成最後の年末相場は大波乱の展開。そう言えば、日経平均株価が最高値を形成したのが平成最初の年で、それを思うと新元号となる2019年は強い相場になるとの期待があったが、ここに来てのきつい下げにより、甘い期待は抱かない方が良いと言える状況になってきた。

 バブル後最高値を付けた後の軟調な相場の背景には、米中の貿易戦争があることは語るまでもないだろう。加えて、イギリスのEU離脱問題もあり、海外要因は引き続き不透明感が強い状態が続く。これまでは海外の環境が悪化しても、2020年の東京五輪・パラリンピックを控えた日本は内需に期待できることから、どことなく楽観的な見方があったものの、秋には消費増税を控えているため、2019年は株式市場にとって内憂外患、カオスな一年となりそうだ。

 アベノミクスの長期上昇相場も、スタートしてからちょうど6年。これだけ長期間上昇してきただけに、調整やむなしといったところか。

 ざっと、以下に年間の主なタイムテーブルを示しておいたが、仮に、参議院選挙で与党が惨敗するようなことがあれば、アベノミクスが揺らぐ可能性もあることから、その点に十分留意しておきたい。

3月下旬~4月下旬 統一地方選挙
4月30日 現天皇退位
5月 新天皇即位
7月 参議院選挙
10月 消費税率引き上げ「増税に買いなし」

※伊勢湾台風(1959年)など西暦で末尾が「9」の年は災害に注意

●年後半に高い?

 末尾が「9」の年が災害に注意と記したものの、実は、株式相場にとって末尾「9」の年は悪い年ではないというアノマリーがある。日経平均の上昇率を東証開所来でみた場合、上昇率は平均27.2%となり、末尾が「2」の年の27.4%に次いで二番目に高い。

※末尾「9」の年の上昇率 50年代31.3%、60年代37.6%、70年代9.5%、80年代29.0%、90年代36.8%、2000年代19.04%(値上がり5回、値下がり0回、平均+27.2%)

 また、2019年は米国をみると大統領選挙の前年であり、これもアノマリーでは高くなる傾向がある。トランプ大統領は何をするかわからないため、その点は注意しなければならないが、大統領選挙前には政策面で期待が膨らむのも事実。トランプ大統領も景気対策に前向きな取り組みを示すことも考えられる。発言も少しは自重するかもしれない。そんな点を加味すると、2019年は前半安の後半高となる可能性がある。

●相場テーマは多岐にわたる

 マクロでみた場合は以上に記したように不安定となりそうだが、個々にみた場合、国内で成長分野はたくさんあり、つれて相場テーマも多岐にわたる。テーマを丹念にチェックして銘柄を拾えば、全体がカオスな一年となろうとも高いパフォーマンスを挙げることも可能だろう。以下にテーマを検証しつつ、銘柄を挙げてみた。

 まず、日本国内で避けて通れないのが超高齢化社会。これに関連する銘柄は引き続き見逃せない。高齢化に関わるテーマで主軸になるのが「ヘルスケア・テクノロジー」だ。その中で、武田薬品工業 <4502> は大型買収によって世界トップ10の製薬企業入りしたことで、国内医薬業界のリード役としてだけではなく、グローバルな医薬品メーカーとして存在感を増そう。さらに、アルツハイマー薬の開発進捗に期待がかかるエーザイ <4523> もマークできる。朝日インテック <7747> は、循環器治療のPTCAガイドワイヤーで注目したい。

 AI(人工知能)+AP(人工知覚)では、人工知覚技術の研究開発でKudan <4425> [東証M]。このテーマでは、人材の流動化や省力化なども絡んでくるが、働き方+AI関連で、IBMのワトソン(AI)を活用した顧客との対話支援システムの開発を手掛かりにブリッジインターナショナル <7039> [東証M]、Webで弁護士向け営業支援を展開する弁護士ドットコム <6027> [東証M]。さらには、倉庫の在庫管理システムをクラウドで提供するロジザード <4391> [東証M]。同社は恒常的な人手不足に対応した事業で時流に十分乗ると言えるほか、安定的に収益を積み重ねるストック型ビジネスモデルも魅力だ。

 他方、インバウンド &アウトバウンドで注目したいのが竹本容器 <4248> 。化粧品や食品向けのプラスチック製包装容器専業だが、インバウンドの隠れた銘柄と言えよう。

●「国策に売りなし」

 消費増税に対応する形で経済対策に期待が膨らむ。公共事業については、昨今の災害続きで国土強靱化がクローズアップされる一方、ポスト2020年の大材料として2025年大阪万博も注目されており、関連銘柄は「国策に売りなし」の相場格言を地で行くような相場展開になることも期待できる。具体的には、4%台後半の高利回りが魅力となっている日特建設 <1929> 、仮設機材を手掛けるエスアールジータカミヤ <2445> をマークしたい。

 さらに、政策絡みでは、政府のデジタルファースト法案(行政手続きをインターネット申請に統一する法案)に絡んで個人認証に強みがあるエルテス <3967> [東証M]、消費増税前の駆け込み需要期待でLIXILグループ <5938> なども注目できそうだ。LIXILは5%台の高利回りも魅力となる。さらに、インバウンド関連でソースネクスト <4344> を注目銘柄として付け加えるほか、障がい者雇用でウェルビー <6556> [東証M]なども関心を集めよう。

 そのほか、個別の一本釣りの対象としてストック型ビジネスのUUUM <3990> [東証M]、ネット上で人材マッチングを行うクラウドワークス <3900> [東証M]なども注目できる。

 以上の注目銘柄から、ポートフォリオを組んでみた。

◆株のお姉さんのお勧め「2019年ポートフォリオ10銘柄」

日特建設 <1929>
エスアールジータカミヤ <2445>
エルテス <3967> [東証M]
竹本容器 <4248>
ロジザード <4391> [東証M]
Kudan <4425> [東証M]
武田薬品工業 <4502>
弁護士ドットコム <6027> [東証M]
ブリッジインターナショナル <7039> [東証M]
朝日インテック <7747>

(※本稿はあくまでも個人的な見解です)

2018年12月25日 記


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