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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「戻り正念場」

株式評論家 富田隆弥

NYダウ平均は2018年12月26日安値2万1712ドルから2万4288ドルまで2576ドル(11.8%)上昇と堅調な展開が続く(16日現在)。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の柔軟姿勢を好感したほか、シティグループやゴールドマン・サックスなど金融株の好決算が続き、マーケットをリスクオンムードにさせている。また、17日に発表予定のネットフリックスの決算にも市場は期待を膨らませている。

◆昨年の10-12月といえば同時株安で株式運用は苦戦を強いられたところが多いはずだが、ゴールドマン・サックスの10-12月期の株式トレーディング収入は17%増だった。売買したのが人間(ディーラー)なのか自動売買(機械・AI)であるのかは不明だが、いずれにせよ下げ相場にうまく対応した(下げで儲けた)ということだ。

◆片やわが日本。日経平均株価は2万0580円まで戻しているが(16日現在)、決算は不振なものが目立つ。安川電機 <6506> や日本電産 <6594> など中国の景気減速の影響を受けたものや、良品計画 <7453> といった消費関連にも業績下方修正が相次ぎ、さらに地銀の苦戦も伝わってくる。

◆日本経済新聞の1面で「地銀波乱」が連載(1月14日~17日)され、地銀の苦しい実情が語られていた。とくに「リパッケージローン」というデリバティブ商品や「投信」に多額のマネーを振り向けている点が気になった。運用難の折、高利回りをうたうETFやヘッジファンドに資金を振り向けているのは想像するに難しくないところだが、ゴールドマン・サックスのようにうまく立ち回ったファンドはごく僅かで、ETFもヘッジファンドも10-12月期は大きく損失を出した可能性が高い。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は10-12月に四半期ベースで過去最大規模となる14兆円の損失を出したという。このように10-12月期の同時株安が業績に影響したところは多く、また米中の貿易戦争の影響も小さくはなく、今後の決算発表にも注意は必要と思われる。それは日本だけでなく米国にも当てはままろう。

◆NYダウの16日終値は2万4207ドルで、日足は25日移動平均線(2万3541ドル)を突破したものの、節目のネックラインに到達し、週足の13週移動平均線(2万4370ドル)に迫ってきた。つまり、ここから「戻りの正念場」とみることできる。

◆日経平均は17日終値2万0402円で、日足は25日移動平均線(2万0609円)に迫ってきた。ネックラインである2万1000円処まで戻す余地はあるものの、12月26日安値から日足12本を経過、短期RCI(9日線、13日線)が80%台で注意信号を発しており、ここからはアヤ戻りの「正念場」とみることもできる。日米ともにこのような地合いにあることを頭に入れながら、個別株投資では小まめに動くことが望まれよう。

(1月17日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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