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【特集】太田千尋氏【日経平均700円安! この暴落は売りか買いか】(1) <相場観特集>

太田千尋氏(SMBC日興証券 投資情報部部長)

―俄かに存在を大きくした景気後退懸念とどう向き合う?―

 週明け25日の東京株式市場は欧米株安と円高、アジア株下落などが覆いかぶさり、日経平均株価が一時700円を超える急落となった。昨年12月25日の“クリスマス暴落”以来の下げ幅で文字通りの全面安商状、にわかにリスクオフ相場の色を強めている。じりじりと上値を慕う動きをみせては一気に値を崩す展開が年初から続いているが、中期トレンドの分水嶺である75日移動平均線近辺で売り買いを交錯させる今回はどうか。第一線で活躍する市場関係者に見解を聞いた。

●「世界景気減速懸念で当面は下値探る展開も」

太田千尋氏(SMBC日興証券 投資情報部部長)

 欧米の経済指標が事前の市場コンセンサスを下回り、米長期金利の急低下に伴い3ヵ月物金利と逆イールド現象が発生したことで、世界景気減速に対する警戒感が改めて強まった。(今回の世界同時株安で)これまでの戻り相場のイメージから軌道が逸脱したことは否めず、当面は短期的なリバウンドはあるものの上値は限定的であり、日経平均の下値としては2万円大台攻防も否定しきれない状況にある。

 世界経済については中国の景気減速が顕著ななか、欧州もその影響が浮き彫りとなっている。今後は、こうした環境下で米国経済の一人勝ちが続くかどうかがポイントだが、既にトランプ減税などの効力が切れかかっており、次の政策ステージにマーケットの関心が高まることになる。一方、中国は全人代で打ち出された政府の景気刺激政策が奏功することに期待したいところだが、これが実体経済に反映されるまでには早くて3~4ヵ月の期間を要することになろう。したがって、市場心理が安定を取り戻すのは一朝一夕には難しく、年央までは厳しい相場環境を覚悟しておく必要はある。

 中国への輸出で影響を受けやすい日本企業は業績面で懸念が拭えない。また、米長期金利の低下が鮮明となるなか、外国為替市場ではドル安・円高に振れやすく、その面からも企業の収益環境に吹く逆風は強い。東京市場では半導体関連株などの水準訂正が期待されていたが、目先はリバウンドしても戻り売り圧力は回避できず、本格的な浮上には依然として時間がかかる。

 今後の物色対象を考えた場合、輸出株の戻りに乗るのも一法ながらこれはあくまで短期の話であり、内需系の銘柄が相対的に優位性を発揮するだろう。内需といっても銀行や保険セクターなどは金利低下の流れのなかで上値は見込みにくいが、不動産や建設、電鉄株などは強さを発揮する可能性がある。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおた・ちひろ)
1985年日興証券入社。投資情報部、金融法人営業部、日興ソロモン・スミス・バーニー証券(現シティグループ証券)出向(リサーチ部門)、エクイティマーケティング部、株式アドバイスセンター、機関投資家営業部を経て、2013年10月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

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