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【特集】檜和田浩昭氏【止まらない下落トレンド、撤退かそれとも……】(2) <相場観特集>

檜和田浩昭氏(東洋証券 投資調査部部長)

―米中摩擦で世界景気減速懸念再び、揺れるマーケット―

 名実ともに6月相場入りとなった週明け3日の東京株式市場は日経平均株価が4日続落となった。米中摩擦問題が長期化の様相を呈すなか、世界景気先行きに対する不安心理が膨らみ、株式市場では投資資金が足もと離散傾向を強めている。急激な円高進行も主力株にはネガティブ材料で、ヘッジファンドなど海外短期筋の先物絡みの売り圧力に屈する相場展開を余儀なくされている。ここは撤退すべきかそれとも買い向かうチャンスなのか。市場第一線で活躍する有力マーケットアナリスト2人にここからの見通しを聞いた。

●「物色テーマは“働き方改革”など政策関連に注目」

檜和田浩昭氏(東洋証券 投資調査部部長)

 これまでの米中貿易摩擦問題に加えて、トランプ米大統領が5月30日、メキシコの不法移民対策に改めて不満を示し、同国からの全輸入品に制裁関税を課すと表明したことで、より深刻な世界経済へのマイナス影響が懸念され、日本企業に対しても更なる打撃が想定されるとの見方から、週明け3日の東京株式市場は、日経平均が大幅安の4日続落となった。

 6月の東京株式市場は、今後、米中貿易交渉の進展がない場合、6月28~29日に大阪で開催される20ヵ国・地域首脳会議(G20サミット)まで、全体相場は上値の重い推移となりそうだ。G20開催に前後して米中間で何らかの妥協点が見いだせれば、これを評価して投資家が上値を追う可能性もある。

 このところの株価下落で、日経平均のPERは11倍台半ばまで低下し、騰落レシオ(25日移動平均)も70%台と、売られ過ぎのシグナルを発している。今後1ヵ月間の日経平均は、ほぼ下値2万円、上値2万1000円程度の狭いレンジでの推移となりそうだ。だだ、下値は一時2万円台を割り込んで、1万9500円に接近するような場面となる覚悟も必要とされそうだ。

 今後の物色テーマとして、内需関連では夏の参院選が接近してくることもあり、政策面の後押しが想定できる“働き方改革”に関連した人材派遣、社員教育、AIを活用した生産性の向上といった分野に関心が高まりそうだ。更に、外需関連では、商用化に向けて世界の通信事業者や通信機器メーカーが一斉に前倒し的な取り組みをみせている5G関連銘柄の押し目買いに引き続き注目している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長、マーケット支援部長を経て現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。

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