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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ ハイテク株主導は変わらず

株式評論家 植木靖男

「ハイテク株主導は変わらず」

●注意すべき3つの懸念

 日経平均株価は、世界的なリスクオンの風潮のなか、多くの市場関係者にとって最大の関心の的であった7月2日の高値2万1754円を25日にわずか2円ほどであるが上回った(終値ベース)。

 しかし、引けにかけて上昇して上回ったのではなく、寄り高のあと、ずるずると下げて、かろうじて2円上回って引けたという点からすれば、残念ながら真の意味で上回ったとはいえない。翌日、大きく下落したことを見ても、突破に至らなかったとみた方が良いだろう。今後、買い方は再び体勢を立て直し、上昇エネルギーを蓄えて再挑戦することが望ましい。

 ところで、ここに至る点で気になる3つの材料に留意したい。

 第一に、米中貿易協議への進展期待が株価を押し上げたとみられるが、肝心の中国関連株、たとえばコマツ <6301> などは逆に下押しているという事実。

 また、日本電産 <6594> の永守会長が年初“尋常ならざる変化が起きた”と警告したが、あれから約半年を経て、同会長は“中国について売上が上向くのはまだ先だ”と慎重な発言に終始している。

 第二に、これまで上昇相場を牽引したのは先物主導であった。そして、わずか2社ほどの業者の買いに株価が振り回されたという事実。逆に、この2社がそっぽを向けば株価が急落するという懸念。

 第三に、物色対象が半導体関連株に絞られている点。確かに、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が史上最高値を更新していることは評価できるが、半導体だけでは全般相場は長続きしないのでは、という懸念。もっと物色範囲が広がるのかどうか。

 今後、こうした懸念に留意しておきたい。

 ところで、大枠としては、世界的な金融緩和の流れに対する期待と、IMFの指摘する世界経済の成長鈍化という不安との綱引きになっている。7月末のFOMCまでは金融緩和の流れが優位かもしれない。

●アドバンテスト、11年ぶり高値の意味するものは?

 さて、当面の物色銘柄であるが、NYダウ平均ナスダックの動きからしても、ハイテク株が主導権を握ることは容易に判断できよう。

 そこで、筆者がもっとも驚いたのはアドバンテスト <6857> だ。なにに驚いたかといえば、25日に高値を更新したのだが、それも実に11年10ヵ月ぶりの更新という。半年、1年前の高値更新なら驚きはしない。

 11年ぶりということは、当時とよほど商製品構成が大きく変わっているか、変わろうとしているか、である。あるいは、環境に大きな変化の可能性を内包しているのか。いずれにしても、さらなる株高を期待したい。

 このほかでは、JCRファーマ <4552> だ。再生医療の最先端に位置するが、140億円の国内市場が30年には1兆円を超すという。ベイカレント・コンサルティング <6532> も妙味大。これも10年来の高値更新だ。

2019年7月26日 記

株探ニュース

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