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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 上昇転換への準備は整った!

株式評論家 植木靖男

「上昇転換への準備は整った!」

●株価の後押し材料をチェック

 日経平均株価は明らかに膠着状態に陥っている。売買高も傾向的に細っている。株価はここ2万200~2万800円の狭いレンジの中で、すでに10日以上も閉じ込められているのだ。

 となると、市場では強弱感が対立するのが常。この水準、つまり6月安値を下回らずにもみ合っているので、もはや下値不安は乏しいとする強気派。一方、いまは依然として下降相場での中段の保ち合いに過ぎないとする弱気派。いうまでもないが、もみ合っているのであるから、まだ結論は出ていない。

 目先的には週末の動きが注目されたが、わずかに8月20日の水準を上回り、これで8月26日以降、上昇への準備が整ったとみてよさそうだ。あとは、この動きを後押しする材料が顕在化するかどうかだ。では、後押し材料を探してみよう。

 まずは、米中貿易戦争、どうやらトランプ米大統領はかなり不利な戦いを強いられているように見える。9月からの追加制裁関税の一部を12月に延期したことに象徴的に表れている。所詮、米国はいまは自給自足ができず、中国に頼らざるを得ないのだ。手打ちは近いとみる。これは株価にとって好材料だろう。

 トランプ大統領は、FRBに強圧的に利下げを迫っているが、利下げが株価を反転上昇させることが難しくなっていることを知っているはず。だからこそ、減税案、つまり財政刺激策を促しているのだ。減税はもちろん株価にとってプラスだ。

 また、G7がフランスで開催されているが、これまで財政均衡にこだわっていたEUの盟主ドイツが、景気後退懸念を理由に財政出動に転じる可能性もある。EUの盟主が脱落すれば、EU内で混乱が生じることも考えられるが、ともあれ、ドイツの財政出動もあれば好材料だ。

●個別の材料株物色の流れは変わらず

 かくして8月最終週は、世界的にこうした材料に支えられて、一度は反転上昇に転じると期待される。先週末の2万677円(20日終値)の突破があって、こうした材料が生かされてくるとみたい。

 このもみ合いでは、核となるような主役は存在せず、まったくの個別株物色であった。当分、こうした材料株が買われる展開に変化はなさそうだ。

 今回は、内需中心に検討してみた。まず、富士急行 <9010> だ。テーマパークの入場料は無し、音に聞こえた恐怖のジェットコースターは魅力的だ。富士山登山鉄道構想もある。

 次はエイチ・アイ・エス <9603> だ。ユニゾホールディングス <3258> のTOB撤退は好材料と見なされている。

 また、10年来の高値更新をしたアドバンテスト <6857> も引き続き注目したい。

 また、ここへきて金融株。銀行、証券株などの底固めが終わりつつあるかに見える。世界的な低金利に変化が起きるのか注視したい。

2019年8月23日 記

株探ニュース

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