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【特集】19年7-9月期【利益倍増】企業はこれだ!〔第1弾〕 25社選出 <成長株特集>

野村 <日足> 「株探」多機能チャートより
 3月期決算企業の20年3月期上期(4-9月)決算がほぼ出そろった。上期決算では世界景気減速の影響を受けた製造業を中心に苦戦が目立ち、通期計画を下方修正する企業が相次いだ。本特集では、このような逆風下で利益を大きく伸ばした企業にスポットライトを当てた。

 今回は時価総額1000億円以上の銘柄を対象に、直近3ヵ月実績である7-9月期(第2四半期)に経常利益が前年同期比で倍増した25社をリストアップし、増益率の大きい順に並べた。下表では四半期ベースの「増益連続期数」、上期(4-9月)経常利益の通期計画に対する進捗割合を表す「対通期進捗率」も併せて記した。

 増益率トップとなった野村ホールディングス <8604> の19年7-9月期(第2四半期)税引き前利益は前年同期の4.6億円から1284億円に急拡大して着地。野村総合研究所 <4307> の一部保有株を売却し、売却益733億円が発生したことが利益を大きく押し上げた。また、海外ビジネスの好調やコスト削減でホールセール部門の収益も伸びた。株価は下値切り上げ基調を継続し、約1年ぶりの高値圏に浮上している。

 2位の豊田合成 <7282> はトヨタ自動車 <7203> の生産台数増加を背景に自動車部品の販売が伸びた。また、前期に計上した独禁法関連損失の反動や合理化効果で採算も大きく改善し、7-9月期の税引き前利益は前年同期比14倍の107億円に膨らんだ。

 4位のCKD <6407> は自動機械部門で固定費削減や原価低減、セールスミックスの改善が進み、7-9月期の経常利益は5四半期ぶりに増益に転じた。上期好調と半導体メモリー用設備投資が一部再開される見通しとなったことを踏まえ、20年3月期の経常利益を従来予想の9.5億円→24.6億円に大幅上方修正している。

 続く5位の大気社 <1979> は国内のビル空調分野で首都圏の再開発案件が大きく増加したうえ、塗装システムで前期に発生した北米プロジェクトの採算悪化が解消したことも利益を押し上げた。上期(4-9月)の経常利益は期初計画を20%も上回る76.7億円となり、同期間における過去最高益を7年ぶりに更新した。

 6位にリスト入りした家電量販店最大手のヤマダ電機 <9831> は消費税増税に伴う特需を背景に、4K・有機ELテレビ、洗濯機、冷蔵庫の高単価商品などの売れ行きが好調だった。また、前期に実施した在庫を最適化する収益モデルの改革効果が表れ、採算も改善した。

 7位の富士通 <6702> は産業・流通分野のソリューションやシステム開発など国内サービス部門が大きく伸びたほか、来年1月の「Windows7」サポート終了を前にパソコンの買い替え需要が旺盛だった。また、固定費圧縮など構造改革を進めた効果も大幅増益につながった。

 10位に入ったオリンパス <7733> の7-9月期は主力の内視鏡システムが国内や中国で好調だったほか、内視鏡処置具や病院・ライフサイエンス研究向け製品なども増勢だった。前期に計上した米国司法省との司法取引契約締結に伴う費用がなくなったことも利益拡大の要因となった。

 選出リストでは、ヤマダ電機を筆頭に、消費税増税前の駆け込み需要などが追い風となった企業が目立つ。12位のオートバックスセブン <9832> は10月からの消費税増税やタイヤの値上げを前に、既存店売上高が8月は前年同期比10.7%増、9月は同41.1%増と急拡大した。14位の三越伊勢丹ホールディングス <3099> は百貨店で高額品を中心に売り上げを伸ばしたほか、9月末で閉店した相模原店と府中店の閉店セールも収益を押し上げた。

 19位の東芝テック <6588> は消費税増税と軽減税率の実施を前にPOSシステムの販売が好調だったうえ、人手不足を背景にセルフレジも伸長した。また、医療機器や設備の販売などを手掛ける20位のシップヘルスケアホールディングス <3360> はトータルパックプロデュース事業で大型案件を一部前倒しで計上したうえ、増税前の駆け込み需要も追い風となり、7-9月期は四半期ベースの経常最高益を2四半期ぶりに更新した。

           ┌ 経常利益 ┐  増益  対通期 予想
コード 銘柄名    増益率 7-9月期 連続期数 進捗率  PER
<8604> 野村      27413  128486    2    -   -
<7282> 豊田合     1296  10708    1   44.7 13.1
<9506> 東北電      469  29354    3   88.4 12.1
<6407> CKD      424   786    1   44.2 60.3
<1979> 大気社      401   5373    1   50.2 12.7
<9831> ヤマダ電     316  20361    3   55.8 18.7
<6702> 富士通      269  74542    1    -  16.2
<6703> OKI      245   2788    7   18.9  9.3
<9513> Jパワー     219  22151    1   85.8 11.3
<7733> オリンパス    193  34962    2   56.5 34.3

<6744> 能美防災     189   4555    3   46.3 17.2
<9832> オートバクス   166   3338    4   54.0 24.9
<7222> 日産車体     159   3190    1   30.1 31.1
<3099> 三越伊勢丹    145   6340    1   50.2 27.3
<1719> 安藤ハザマ    144   8976    3   38.8  9.1
<5938> LIXILグ   141  19949    2   92.8 38.0
<3880> 大王紙      120   6501    2   41.8 11.8
<7261> マツダ      118  24887    1   48.6 14.0
<6588> 東芝テック    115   5466    2   53.8 19.3
<3360> シップHD    114   7757    3   57.0 19.0

<6651> 日東工      112   3067    2   44.5 13.6
<3167> TOKAI    106   2257    6   39.9 17.2
<8130> サンゲツ     106   2725    3   59.0 22.9
<1941> 中電工      103   3123    1   38.3 20.7
<8111> ゴルドウイン   103   3346    8   33.1 30.8

 ※経常利益の単位は百万円。増益率は前年同期に比べた増加率、単位は%。連続期数は四半期ベースの連続回数。対通期進捗率は経常利益の通期計画に対する4-9月期の進捗割合、単位は%。
※「-」:通期の経常利益もしくは最終利益が非開示のため、算出していません。

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