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【特集】「ジャパニーズ・アニメ」関連株を狙え! “鬼滅の刃”が社会現象化 <株探トップ特集>

日の丸アニメは海外でも人気だが、日本は有力コンテンツを持ちながら配信分野では遅れを取っている。それだけに、有効な戦略を取れば業績が急拡大し株価も大化けする銘柄が誕生する可能性も。

―海外向け市場は初の1兆円突破、動画配信ビジネスの隆盛で成長加速局面へ―

 いま、日本のアニメが熱い。アニメの市場規模は6年連続で過去最高を更新したほか、海外での映画の上映やゲーム販売などの「海外展開」において、全体の46%にあたる1兆92億円と初めて1兆円を超えたと各メディアが伝えた。世界規模で高い人気を誇る「ジャパニーズ・アニメ」は投資家の間でも注目を高めており、ここからアニメ関連株への物色人気が本格化しそうだ。

●米ネットフリックスやアマゾン向けなどで日本アニメの需要が拡大

 アニメ産業の調査を実施している日本動画協会では、国内のアニメ関連会社などを対象に売り上げを算出し、2009年から「アニメ産業レポート」を刊行している。その「アニメ産業レポート2019」の調査結果では、海外向けの市場規模は全体の46%と、ほぼ国内と同規模に拡大してきた。ここからも、日本アニメの人気の高さがうかがえる。また、DVDなどのビデオパッケージと配信との売り上げが逆転するなど、ネットフリックスやアマゾンプライムなど 動画配信ビジネスの台頭が明らかに影響していると考えられる。動画配信ビジネスへはウォルト・ディズニーが参入するなど競争が激化しており、各社とも有力なコンテンツを欲している状況だ。それだけに、世界規模で拡大している日本アニメに対する投資家の関心も集まりやすいだろう。

●映画では「天気の子」が大ヒット、有力作品はメディアミックスで拡散

 今年は新海誠監督による「天気の子」が公開され、興行収入は公開から1ヵ月程度で100億円を突破し、現在は140億円に迫っている。その他、「ドラゴンボール」や「ワンピース」なども世界的に人気の高い作品であり、「名探偵コナン」は成人女性に人気の高いコンテンツと言われるほか、「ジブリ作品」「ポケットモンスター」などは幅広いファンを獲得している。そして、有力コンテンツはテレビ放映、ネット配信から、ビデオパッケージ、書籍、ゲーム、フィギュアなど関連製品、実写化、舞台化といったメディアミックス展開によって拡散されている。

 アニメというと、従来は漫画雑誌の人気がアニメ化、そして映画化につながっていたが、今ではいわゆるライトノベルズなどからアニメ、ゲームからアニメへの発展性も頻繁にみられている。斬新なストーリー性のほか、デジタル技術によって高精細な映像なども人気の一つであるほか、動画配信からのユーチューブやツイッターなどの口コミによってじわじわと人気が高まり、その後シリーズ化されるアニメ作品も多い。ダウンロード配信での視聴が増えていることもあり、時間帯をそれほど気にしなくなり、深夜時間帯でのアニメ放送も増えている。

●アニメビジネスでもソニーの存在感高まる

 例えば、アニメ「転生したらスライムだった件」は、小説投稿サイト「小説家になろう」で累計4億ページビューを誇る同名小説のコミカライズが原作であり、アニメで大ヒットし、第2期の制作が決定している。また、「週刊少年ジャンプ」連載の人気漫画「鬼滅の刃」はアニメ化の後、現在は劇場版が制作されており、ここにきて人気が加速している。

 しかし、有力コンテンツを持ちながらも、「配信」の分野では日本は後れを取っているのが現状だ。それだけに、有効な戦略次第では業績の急成長が期待できそうだ。アニメ関連というと、一般的には有力コンテンツの制作などを手掛けている企業がまず挙げられる。具体的には、バンダイナムコホールディングス <7832> は、「機動戦士ガンダム」シリーズ、「アイドルマスター」シリーズ、「ドラゴンボール」シリーズ、「ラブライブ!」シリーズ、「ワンピース」などを保有する。

 KADOKAWA <9468> はメディアミックス戦略を積極化しており、アニメでは「Re:ゼロから始める異世界生活」、「幼女戦記」、「慎重勇者」、「オーバーロード」シリーズ、「涼宮ハルヒ」シリーズなど数多くの有力タイトルを持つ。また、同社の文庫レーベル「電撃文庫」において、原作小説の累計発行部数が2000万部を大きく超えている「ソードアートオンライン」シリーズは12年にアニメ化され、現在もシリーズは続いている。

 この「ソードアートオンライン」シリーズのアニメ制作を行っているのが、A-1 Pictures(エー・ワン・ピクチャーズ)であり、アニプレックスの子会社である。アニプレックスは「鬼滅の刃」のほか、こちらも社会現象をみせている「Fate」シリーズを手掛ける。アニプレックスの親会社はソニー・ミュージックエンタテインメントであるため、出遅れ感がある日本のアニメビジネスにおいて、ソニー <6758> がカギとなる可能性もある。

●東映アニメやブシロード、マーベラス、寿屋などに注目

 更に注目されるところでは、テレビアニメや劇場アニメなどを企画・制作し、テレビや劇場、DVDなどさまざまなメディアで展開している東映アニメーション <4816> [JQ]や、セガサミーホールディングス <6460> の子会社であるトムス・エンタテインメントは、「名探偵コナン」、「ルパン三世」シリーズで実績がある。ブシロード <7803> [東証M]はカードゲーム、トレーディングカード、ゲームソフト、キャラクターグッズの開発、制作、販売など、メディアミックスを展開。IMAGICA GROUP <6879> は、映像ビジネスを幅広く手掛けており、アニメ作品では「ポケモン」シリーズの制作に携わっている。創通 <3711> [JQ]は、「機動戦士ガンダム」シリーズなど、数多くのアニメーション作品の版権を管理。IGポート <3791> [JQ]は、アニメ制作会社のプロダクションI.Gなどを傘下に収める。

 その他、マーベラス <7844> は、ソーシャルゲーム、コンシューマーゲーム、アミューズメント機器、音楽映像、舞台興行など、エンターテインメント事業を展開しており、アニメでは「プリキュア」シリーズを手掛けている。壽屋 <7809> [JQ]は日本の模型メーカーであり、「鬼滅の刃」、「ポケットモンスター」など、キャラクターフィギュアを手掛けている。その他、最近では吉野家ホールディングス <9861> がポケットモンスターとコラボした「ポケ盛牛ドンセット」を展開しており、こういった有力コンテンツにはコラボ商品展開によって数多くの関連商品も発売されることがある。成熟期に入ったともいわれる日本のアニメ産業だが、まだまだ成長路線は続きそうだ。

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