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【特集】すご腕投資家・DUKE。さんに聞く「コロナ相場を乗り切る技」-第3回

損切りが遅れて1000万円を溶かした失敗が生んだ「10%ルール」

登場する銘柄
ベストワンドットコム<6577>、パワーアップ(上場廃止)


文・イラスト/福島由恵(ライター)、構成/真弓重孝(株探編集部)

DUKE。さんDUKE。さん(40代・男性)のプロフィール:
2003年の会社員時代から株式投資を開始。当時は割安成長株狙いの投資を続けていたが、目覚ましい成果は出ず。その後、ライブドア・ショック、リーマン・ショックを経て、本人いわく「けちょん、けちょん」になる場面もなんとか乗り越えつつ、成長株投資で著名なウィリアム・オニールの投資法に出合う。以降はこれまでのファンダメンタルズを追求する投資法にテクニカル要素も取り入れたテクノファンダメンタルに投資手法を改良し、新高値を更新して上昇トレンドに乗る銘柄に投資する「新高値ブレイク投資術」にたどり着く。その改良法が花開き、14年には累計利益1億円を突破する。現在は、専業投資家に転身。自身の投資をさらにパワーアップさせながら「新高値ブレイク投資塾」を主宰する。塾生から多くの億り人を輩出すべく、自身の投資法を伝授することに力を注ぐ。著書に『新高値ブレイク投資術』(東洋経済新報社)、『新高値ブレイクの成長株投資法』(共著、パンローリング)がある。

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 これまで紹介してきたようにDUKE。さん(ハンドルネーム)の投資手法は、トレンドフォロー(順張り)型。今は全体相場に上昇力が「ある」のか、「ない」のかを見極め、「あり」ならば「買い」、その逆ならばポジションを落として逆風が吹き止むのを待つのが、基本の態度だ。

 誰しも「これはイケる!」と思って選んだ銘柄が期待通りに株価が上昇してほしい。その可能性が高くなるのは、「皆が弱気な時より、強気の時期」だというのがDUKE。さんの考え方。このやり方で成功を収める鍵の1つが、前回紹介した相場の趨勢の見極めだ。

 だがどんなに優れた投資家であっても、100%の成功確率で相場の趨勢を見極めることはできない。また上昇相場に入っていても、自分が選んだ銘柄が逆の動きをすることは当然ある。そこで鍵になるのが、損切りだ。

 DUKE。さん自身は、「10%の含み損が出たら損切り」を徹底する。このルールを確立してから、運用成績は向上し、億り人達成の原動力となった。その経験から、「塩漬け株を抱え続けてしまう癖をなくさない限り、億の大台に乗ることは難しい」とまで言い切る。

 そこまで断言するのには、かつて損切りできなかったために1000万円もの資金を溶かした苦い体験があるという。ではこうした苦い体験を含めて、なぜ損切りが大事なのかを、インタビューで解き明かしていこう。

猛スピードで汽車が向かってくるなら、逃げるは当たり前

――第1回目記事で紹介したように、DUKE。さんはコロナショック大暴落の幕開けとなった2月25日の朝に主宰する塾の塾生全員に、"緊急事態宣言メール"を送りました。改めて、そのメールを送った背景について教えて下さい。

DUKE。さん(以下、DUKE。): 日本時間の25日朝は、米国時間では24日夜。この24日にダウ工業株30種平均(NYダウ)を始めとする米国の主要株価指数が軒並み大幅安となったことがきっかけです。

 NYダウは1031ドル安のマイナス3.5%、S&P500指数はマイナス3.3%、ナスダック指数はマイナス3.7%で引けました。この大幅下落は当日のアジア市場、そして欧州市場を引き継ぐ形で起こり、世界の主要株式市場で下落の連鎖が起きていました。

 実は日本時間の25日は三連休明けの火曜日で、前日24日は休場でした。ということは25日の日本市場は、この下落の連鎖が襲いかかる可能性が高い。24日のアジア、欧州、米国市場の状況は、世界中の投資マネーが今後の景気後退の可能性を織り込みにいったという危機感を覚えたので、すぐに塾生に向けて、ポジションを少なくとも半分に落とすようよう警告したのです。

 具体的には、その直前に伝えていた最適ポジションを、

 株式投資用の総資金を100とすると、
 投資を始めたばかりの初心者には、「最大20から、最大10へ(0でもよい)」 

 投資歴が浅い初級者から、数年の中級者には、「最大20~45から、最大10~25へ(0でもよい)」


――という形で半減させた方がいい、というものでした。

 もともと塾生には、塾で習得中の取引手法に慣れるまでは、保守的なポジションで取引することを勧めていましたが、それをさらにスリム化、ないしはノーポジの状態にさせるという趣旨です。

■日経平均株価の日足チャート(2019年秋~)
【タイトル】

――この時はまだ、「コロナで世界中が総悲観」というムードではなかったですよね。

DUKE。: とりこし苦労に終わればそれはそれでよし。でもこの時、「恐ろしい大暴落が来るとしたら、それこそ大変なことになる」という思いが頭をよぎり、私自身も意を決し注意喚起を行いました。

 私は、前回までの記事で紹介したウイリアム・J・オニール氏に加えて、伝説の相場師と呼ばれた米国の投資家のジェシー・リバモア氏の考え方も参考にしています。彼は、このような暴落の予兆を察した時にポジションを落とすことの重要性について、こう例えています。

 線路を歩いていて、向こうから機関車が猛スピードで走ってきたらどうするか?
 取るべき行動は「一旦逃げること」


 株式投資もこれと同じで、危険を感じたら逃げる行動が大事なのだとしています。これで、心配していたことが何も起こらなければ、また元の"線路"に戻ればいいだけのこと。私は常にこの考え方を思い出して、今回のように危機を感じた時は、躊躇なく行動を起こすようにしています。

指数は「見せかけの上昇」から危機感、暴落を察知

――米国市場の株価が大きく下がったことが判断材料だったのですか?

DUKE。: この24日(現地時間)の大幅下落以前から、世界的な相場をけん引していた米国市場について、やや危なげな印象を持って注視を続けていました。具体的にはNYダウ、S&P500に加えて米国の主要な小型株で構成されるラッセル2000を中心に見ていましたが、指数そのものは上がっているのに、中身を見ると、株価が好調な銘柄は指数構成銘柄の一部のみ。このことがとても気になっていたのです。

 端的な例をあげると、S&P500指数の価格は200日移動平均線からかなり上に乖離する水準でしたが、構成銘柄に分解してみると、いつもとは違った様相を見せていました。通常ならば、指数を構成する500銘柄の6~7割くらいが指数と同様に200日線より上にあるのですが、この時は半数程度に留まっていたのです。

 つまり、見かけでは指数は上昇しているのですが、実態は非常に頼りない状況で、そのことを心配していた矢先に、24日の下落があったのです。これまで私が見てきた暴落の典型パターンの1つであったため、「ただ事ではない」と感じずにはいられませんでした。

――結果的には、日経平均株価は2月25日に窓を開けて下落し、それから3月中旬までほとんどが始値より終値が安い陰線ばかりが続く状況になりました。

DUKE。: この私が発した「緊急事態宣言」で、いち早くポジションを落とした塾生さんからは「おかげで、かすり傷程度で済みました」という感謝の声を多くいただきました。一方で、「DUKE。さんの言うことを聞いていればよかった」という残念な声もありましたが……。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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