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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ 「経済活動再開を意識した銘柄に注目!」

RAKAN RICERACA 代表取締役 会長 村瀬智一

「経済活動再開を意識した銘柄に注目!」

●保ち合いレンジ上放れの展開も想定

 日経平均株価はテクニカル面では25日線が支持線として意識される形から、こう着感を強めていたが、世界各国の経済活動再開に向けた動きを背景に、再び2万円を回復してきている。日本においても外出自粛によって新たな感染者数に減少がみられる。ゴールデンウイーク中の巣ごもり効果も表れてくると考えられ、再来週辺りからの感染者の動向が注目されるところであろう。

 また、来週は決算発表がピークを迎え、1900社程度の発表が予定されている。決算内容を見極めたいとする模様眺めムードにより、機関投資家は動きづらいところであり、個別の決算を手掛かりとした個人主体の売買が活発化しやすい。中小型株では急伸が続いていたアンジェス <4563> [東証M]が週末に高値を更新した後にストップ安を付けている。これまでであれば個人の需給悪化が警戒されるところだが、連騰が続いていたことで資金回転が進んでおり、週末ということもあって波乱は想定されていた面もある。ショートから入っていた参加者も多く、需給懸念の影響は限られるだろう。

 反対に、経済活動再開に向けた動きが本格化する中、長期目線での物色に広がりがみられる可能性がある。来週は決算ピークで手掛けづらいだろうが、再来週以降は 新型コロナウイルスに感染封じ込めの兆しがみられてくるようだと、自律反発の流れが強まるだろう。それ故にショートポジションは取りづらい需給状況となり、手掛けづらさはありつつも、来週もリバウンドを意識する展開に向かおう。

 日経平均は保ち合いレンジでの推移だが、2万円から2万1000円処は出来高が薄く、真空地帯でもある。長期目線での物色の広がりが、保ち合いレンジからの上放れに向かわせる展開を想定しておきたい。物色としては、経済活動再開を意識した銘柄に注目している。

●今週の活躍期待「注目5銘柄」

◆コムシスホールディングス <1721>
NTTグループをはじめとした電気通信工事の通信インフラ整備を主力に、土木工事や下水道工事など社会インフラ整備を幅広く展開している。NTTグループに関連した設備事業が売上高の半数を占めるほか、官公庁・自治体向けの社会システム、ITソリューションなどがその他を占める。IoTAIの活用による新たなICT投資や 5Gインフラ、ローカル5G構築など事業を取り巻くビジネス機会は拡大。経済活動再開に向けた機運が高まる中、5Gサービス普及に向けた設備工事需要が高まりそうである。

◆トレンドマイクロ <4704>
ウイルス対策ソフトで国内首位であり、クラウドセキュリティワークロード製品でトップシェアを占める。新型コロナの影響により、在宅勤務など テレワークが急速に浸透してきている。これに伴いセキュリティ環境が整ったオフィスに比べてサイバー攻撃に遭うリスクも高まっている。新型コロナウイルスに便乗したフィッシングメールなどによる不正サイトへの誘導件数は世界で急増しており、テレワークが恒常化する中、 セキュリティ関連への関心が集まりやすい。

◆TOKAIホールディングス <3167>
LPガスを中心としたエネルギー・住生活関連事業、情報通信事業などを展開。 巣ごもり消費が長期化しており、生活インフラである家庭用LPガスの需要などは堅調とみられる。一方、緊急事態宣言の緩和の動きが各地で見られてくるなか、産業用ガスの需要なども徐々に回復をみせてくることが期待される。地域防災情報の発信なども行う地域のコミュニティーネットワークを有するCATV事業についても、安定した需要が見込まれる。

◆シマノ <7309>
世界中のさまざまな 自転車に高品質・高性能なパーツを供給。競技用自転車では世界トップシェアを誇る。その他、釣り具やボート用品事業も展開する。自転車は欧州で高いシェアを持つが、ロックダウン(都市封鎖)の解除に向けた準備が進む中、パリやミラノなどで自動車専用道計画も出ており、需要が高まりそうである。

◆トリケミカル研究所 <4369>
半導体製造用の高純度薬剤や配線材料が主力。化学薬品製造メーカーの中で最高レベルの純度を誇る化学薬品を提供している。Si半導体など先端半導体向け材料中心に堅調に推移しており、5Gサービスの普及加速が見込まれる中で、需要拡大が期待される。また、取り組みを強化している韓国市場においては、ロックダウン解除によって需要が急回復することになりそうだ。

2020年5月8日 記

株探ニュース

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