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【特集】レベル3解禁でギアチェンジ、「自動運転関連」再脚光へのロードマップ <株探トップ特集>

次世代成長市場として注目される「自動運転」。昨年改正された道路交通法と道路運送車両法が今年4月1日に施行され、名実ともにレベル3が解禁された。株式市場でも改めて同関連株に視線が集まりそうだ。

―5Gの商用サービス本格化やスーパーシティ法案成立も追い風に普及加速局面へ―

 自動運転に関する規定を盛り込んで2019年に改正された道路交通法と道路運送車両法が今年4月1日に施行され、名実ともにレベル3(条件付き自動運転:システムがすべてを操作するが、緊急時にはドライバーの操作が必要)が解禁された。これまでも実証実験は可能だったが、今後はレベル3のクルマが普通に公道を走行することが認められる。これにより、開発競争が一段と活発化するとともに市場規模の更なる拡大が見込まれ、アフターコロナ時代の有望産業として改めて関連銘柄に注目したい。

●レベル4サービスも視野

 今回改正されたポイントは、自動運行装置による走行も運転に定義されたほか、同装置を保安基準の対象に追加したこと。道路運送車両法では保安基準を満たしているクルマでなければ運転してはならないと決められている。改正の背景には政府が「官民ITS構想・ロードマップ2019」で、20年にも高速道路でのレベル3を実現すると掲げていることがあり、高度自動運転システムの実現に向けた取り組みを加速させたい考え。経済産業省と国土交通省が共同で設置している自動走行ビジネス検討会は今年5月に「自動走行の実現に向けた取組報告と方針」バージョン4.0をとりまとめ、早ければ22年度頃には廃線跡などの限られた空間で遠隔監視のみの無人自動運転サービス(レベル4)が開始され、25年度をメドに高速道路や生活道路など40ヵ所以上にサービスが広がる可能性があるとしている。

 少子高齢化や人口減少が進むなか、旅客や貨物の輸送では人手不足が深刻化しており、自動運転技術の確立は国策といえる。こうしたなか、今春に大手通信キャリアが「高速・大容量、低遅延、多数端末との接続」といった特長を持つ第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスを一斉にスタートし、今国会で先端技術を活用した都市「スーパーシティ」構想を実現するための改正国家戦略特区法が成立したことで、自動運転車の普及に向けた動きは一気に加速することが見込まれる。また、自動運転は人との接触機会を減らす有効な手段となることから、新型コロナウイルスの感染拡大によって変化した生活行動・意識にも合致する。今月24日には東証マザーズ市場にモビリティ検知認識機能の技術などを持つフィーチャ <4052> [東証M]が新規上場する予定であり、これも自動運転関連を見直すきっかけとなりそうだ。

●政府検討会の参加企業に関心

 関連銘柄としては、5月に新たなロードマップを公表し、国の自動運転行政にも大きな影響力を持つとされる自動走行ビジネス検討会に参加している企業に注目。この検討会には日産自動車 <7201> 、いすゞ自動車 <7202> 、トヨタ自動車 <7203> 、日野自動車 <7205> 、マツダ <7261> 、ホンダ <7267> 、SUBARU <7270> といった自動車メーカーのほか、ジェイテクト <6473> 、ルネサスエレクトロニクス <6723> 、パナソニック <6752> 、デンソー <6902> などが名を連ねている。

●アイサンテクノは特許取得

 このほか直近では、アイサンテクノロジー <4667> [JQ]がトヨタマップマスター(名古屋市)や三英技研(広島市)とともに「走行軌道生成装置、走行軌道生成方法、走行軌道生成プログラム、及び、記録媒体」の特許を共同取得したと発表。高速道路や国道など車線で区切られた複数の走行レーンが並行して存在している場合、同じ道路上のカーブであっても内側と外側では曲率が異なり、走行レーンごとに最適な走行軌道を生成することが必要となるが、この特許により自動運転システムへの最適な走行経路を提供することができるという。

 また、村田製作所 <6981> は自動運転の高精度化に貢献する6軸ワンパッケージの3D MEMS(微小電気機械システム)慣性力センサー「SCHA600シリーズ」を新たに開発。ディジタルメディアプロフェッショナル <3652> [東証M]はフランスのプロフェシー社と組み込みマシンビジョンやAI(人工知能)アプリケーションの開発で協業することを明らかにしており、注力分野としてIoT及び自動運転システム向けを挙げている。

●LiDAR、SLAM関連にも注目

 自動運転の目と呼ばれ、必要不可欠なコアセンサーと位置付けられている「LiDAR(ライダー)」の関連銘柄にも注目したい。ライダーはレーザー光を対象物に照射することで光源からの距離や方向を測定できるセンサーで、レベル3以上では不可欠な部品だ。

 この分野では欧米勢が先行しているものの、今年3月には三菱電機 <6503> がMEMS式車載LiDARを開発したと発表。小糸製作所 <7276> は2月にLiDAR製造・販売会社の米セプトン社に出資したことを明らかにしており、キヤノン <7751> はパイオニア(東京都文京区)子会社と共同開発を進めている。

 加えて、各種センサーから取得した情報から自車の位置を把握し、地図を作成する技術「SLAM」関連も見逃せない。自動運転車が周囲の環境を判断し、走行するときに役立つもので、フィックスターズ <3687> とKudan <4425> [東証M]は昨年12月に高性能なSLAM機能を自動運転分野などに提供することを目的に業務提携。モルフォ <3653> [東証M]は自社の画像処理技術とQoncept(東京都千代田区)で研究開発されているSLAM技術を組み合わせて、各事業分野への応用展開を推進中だ。

 これ以外では、自動運転に必須の地図高度化でNTT <9432> とタッグを組むゼンリン <9474> 、自動運転バスの実証実験でソフトウェア開発支援を行った実績のあるシステナ <2317> 、今年2月に行われた自動運転車両に携帯電話網を用いて信号情報を送り走行する実証実験に参画したディー・エヌ・エー <2432> 、自動運転分野でトヨタと連携するALBERT <3906> [東証M]などもマークしておきたい。

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