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【特集】夏相場に舞う、「物言う投資家」関連株に照準を絞れ! <株探トップ特集>

株主総会ではアクティビストからの提案が相次いだ。その提案は否決されたものの、企業価値向上に向けた意味は小さくなく、市場活性化の役割を果たしたと評価する見方もある。

建設株への積極投資目立つ、香港・オアシスなど存在感高まる―

 11日の日経平均株価は、前週末7日終値に比べ420円高の2万2750円で取引を終えた。東京市場は4日ぶりに大幅反発した。全般相場はなお2万2500円台を中心とする一進一退基調にあるが、市場では徐々にだが夏相場への期待感も強まり始めた。そんななか関心を集めているのが、「物言う投資家(アクティビスト)」関連株だ。日本企業がコーポレートガバナンス(企業統治)の改革を進めるなか、アクティビストの活動も活発化。積極的な株主提案も、全体相場を活発化させる要因となっている。

●足もとの海外投資家は売買まちまち、アクティビストの活動は活発化

 足もとで海外投資家の動向は、現物ベースでは年初から7月第5週までで、5兆円近い売り越しを記録している。ただ、先物ベースでは、7月第3週まで9週連続で買い越すなど、海外短期筋のショートカバー(買い戻し)が、東京市場の下値を支えてきた格好だ。

 その、海外投資家の先物も直近では2週連続で売り越しと息切れ気味。東京市場の動向に高い影響力を持つ海外投資家が売買まちまちとなっていることも、全般市場が方向感に欠ける展開となっている大きな要因だ。

●奥村組、戸田建、大豊建など建設株への積極投資が目立つ

 そんななか、日本株への攻勢を強め関心を集めているのが、「物言う投資家」と呼ばれるアクティビストだ。なかでも、最近では建設株に対するアクティビストの積極投資が注目されている。例えば、英国のシルチェスター・インターナショナル・インベスターズは、奥村組 <1833> や戸田建設 <1860> の大株主となっており、前田道路 <1883> にも積極投資していた。

 ホライゾン・グロース・ファンドが大株主となっている佐藤渡辺 <1807> [JQ]は5月に、同ファンドの代理投資運用会社から、老人ホームの処分や自社株買いなどの株主提案を受けたが、株主総会で同提案は否決されている。

 旧村上ファンド出身者が設立したストラテジックキャピタルは、大株主となっている淺沼組 <1852> や世紀東急工業 <1898> に対して、政策保有株の売却や増配などの株主提案を行った。ただ、株主総会でこの案は否決された。また、大豊建設 <1822> にも村上ファンド系が投資している。

●オアシスは安藤・間や三菱倉、フジテックなどに株主提案

 香港を本拠とするオアシス・マネジメントは、同じく中堅ゼネコンの安藤・間 <1719> に対して、自社株買いの実施などを提案した。オアシスは日本企業に積極的に関与する海外ファンドの1社で、安藤・間のほか、三菱倉庫 <9301> に自社株買いに加え、独立性のある社外取締役を選任することを求める株主提案を行った。また、フジテック <6406> に対しては金庫株の消却を提案した。同社の提案は6月の株主総会でいずれも否決されている。直近ではオアシスは、ファミリーマート <8028> に対して、1株当たり最大1062円の特別配当を実施することを求めたことが注目された。

 また、ダルトン・インベストメンツは、デジタルホールディングス <2389> やマクニカ・富士エレホールディングス <3132> 、ステラ ケミファ <4109> などに投資している。

●「エフィッシモ」や「レノ」など旧村上ファンド系の積極投資は続く

 国内系で活発な動きがみられるのは、前出のストラテジックキャピタルを含む旧村上ファンド系だ。エフィッシモ・キャピタル・マネージメントは、7月末の東芝 <6502> [東証2]の株主総会で社外取締役の3人選任案を提出した。同案は否決されたが、4割近くの賛成票を集めたことが注目された。ニチイ学館 <9792> のMBO(経営陣が参加する買収)では、TOB(株式公開買い付け)価格を1株1500円が1670円に引き上げられた時点で、全株応募する方針を示している。エフィッシモは、第一生命ホールディングス <8750> やUACJ <5741> 、ヤマダ電機 <9831> 、日産車体 <7222> 、ライフネット生命保険 <7157> [東証M]、関東電化工業 <4047> などに積極投資を行っている。

 また、「レノ」や「オフィスサポート」「南青山不動産」「シティインデックスイレブンス」など旧村上ファンド系ではレオパレス21 <8848> や中国塗料 <4617> 、フージャースホールディングス <3284> 、ヨロズ <7294> 、セントラル硝子 <4044> などが投資先となっている。

 株主総会では、アクティビストの提案は否決されることが多いが、その後、増配や自社株買いなどで株主還元を積極化する例は少なくない。それだけに、これからのアクティビスト関連銘柄の動向は要注目だ。

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