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【特集】ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (28)逆張り戦略に適した銘柄には短期売買を心がけよう【銘柄探検】


株価の方向性に逆らった取引は短期勝負!

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆逆張りで使うテクニカル指標(1) 「RSI」

 では、「テクニカルで探す」の「オシレーター系の指標【主に逆張り】」から、「RSI(14日線)20%以下」と「RSI(14日線)80%以上」を見ていきましょう。その前に、まずはRSIがどのようなチャートであるのかを把握しておきましょう。
 
 RSI(アールエスアイ)は「Relative Strength Index」の略で、相対力指数と呼ばれています。過去一定期間の株価の上昇幅(前日比)の合計を、同期間内の上昇幅の合計と下落幅の合計を足したもので割ることで算出されます。株価は常に上昇と下落を繰り返しており、株価が過度に値下がりすれば売られすぎ、過度に値上がりすれば買われすぎになります。過去の一定期間の株価変動分のうち、上昇幅がどのくらいの割合であるのかを数値化したテクニカル指標がRSIであり、株価の買われすぎ、売られすぎを判断するための尺度の一つとなります。

 オシレーター系のテクニカル指標は、株価が上昇から下落に変化するタイミングや、下落から上昇に変化するタイミングを比較的早い段階で捉えることができます。特に株価が一定の幅で上下に変動しているもみ合い相場や、下落相場にある株価がリバウンドする局面、上昇相場にある株価が反落する局面などで利用すると、売買サインが有効に機能しやすいとされています。きれいに波形に上下動するサイクルを描く銘柄に当てはまりやすい傾向があります。逆に、一方向的に上昇もしくは下降していく場合や、値動きなく狭い値幅で横ばいを続けるような局面では、売買サインの信頼性が低くなるとされています。

 RSIは「0%」から「100%」までの数値で表されます。株価が上昇するとRSIの数値は上昇し、反対に株価が下落するとRSIの数値は低下します。一般的には「30%以下になると売られ過ぎ」「70%以上になると買われ過ぎ」とされています。つまり、この数値が30%以下に低下してくると目先反発が近づいていると判断され、逆に70%以上に上昇してくると目先反落は近いと判断されます。

 株探では、「RSI(14日線)20%以下」で買いシグナル、「RSI(14日線)80%以上」で売りシグナルの銘柄を一覧で表示しています。これは「70%」よりも厳しめの基準を設けることで売買シグナルの精度を高めて銘柄を絞り込むための処理ですが、注意しておくべきこととして、買いシグナルの場合、実態が必ずしも良好とはいえない銘柄が紛れ込む可能性があります。たとえば、RSIの20%割れまで売られているような銘柄は、逆に考えるとよほど投資家に買われない理由、たとえばファンダメンタルズが相当に悪いなど、何かしらの理由があるのかもしれません。どのような理由で株価がその位置にあるのかをしっかりと確認することが必要でしょう。「RSI」の一覧を見ると、RSIの数値が今どういった状態にあるのかを確認することができますので、必ず株価の動きをファンダメンタルズとともに確認しましょう。


図3 「RSI(14日線)20%以下」一覧
【タイトル】

 「RSI(14日線)20%以下」の一覧で「ディアライフ <3245> 」を見てみると、RSIは「18.78」と売られすぎを示唆しています。チャートマークをクリックすると、個別銘柄のチャートのページを表示させることができます。チャートを見ると、株価は9月16日に大きく窓を空けて急落していることがわかります。何かあったのだろうと察しがつきますから、このような場合には何か「ニュース」が出ていないか確認してみましょう。すると、16日に「ディアライフはウリ気配、今期業績の大幅下方修正と配当減額・株主優待休止を嫌気」と報じられていることがわかります(図5)。

 RSIは確かに20%以下の水準にあり、売られすぎだとはいえます。ただ、チャートを見る限りでは、株価は悪材料が出たことで足元の上昇トレンドを終了させてしまったことがわかります。悪材料の出現からまだ日が経っていないこの状態で、すぐに反発するかはもう少し様子を見なければわからないというところでしょう。

図4 ディアライフ <3245> のRSI日足チャート
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(出所)「ストックボード」(株式会社ストック・データバンク)

図5 ディアライフ <3245> のニュース一覧
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 今度は「ハニーズHD <2792> 」を見てみましょう。RSIは「11.38」と、この一覧の中でもかなり低めの数値となっています(図3)。この銘柄の場合、おおまかにいって株価は3月中旬から下値930円、上値1200円あたりのゾーンで保ち合いの動きが続いていることがわかります。株探のRSIでは80%以上というシビアな基準のためか売りシグナルの出現頻度は限られますが、20%以下の買いシグナルとの相性はまあまあと言えそうです(図6)。直近の8月安値968円や、保ち合い下限の3月安値928円などを睨みながらタイミングをうかがってリバウンド上昇を抜いてもよさそうな感じがします。

 ただ、その際には、なぜこのような株価水準で、このような動きなのか、ファンダメンタルズがどのような状況なのかを先に理解しておく必要があります。ニュースを見ると、7月7日に業績を発表(「今期経常は68%増益、10円減配へ」)していますが、第1四半期の業績発表が1週間後の9月29日に迫っています(図7)。日本国内では自粛生活によって経済活動が停滞していた期間が長く、業績インパクトのリスクを考えると、決算を見極めたいとの判断に傾いても不思議ではありません。このように、テクニカル指標が発するサインを単純には鵜呑みにせずに、その銘柄のさまざまな情報をいろいろな角度で分析したうえで投資に臨むことが大切になります。

図6 ハニーズホールディングス <2792> のRSI日足チャート
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(出所)「ストックボード」(株式会社ストック・データバンク)

図7 ハニーズホールディングス <2792> の業績ニュースと決算発表予定日
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 なお、一覧で表示されるとはいえ、株式市場の地合いが悪化し始めた時などは候補として表示される銘柄はかなりの数になる場合もあるでしょう。これまでご紹介したように、実際に売買を行う銘柄を探す際には、自分が普段から取引している市場から銘柄を選んだ方がよいでしょう。表の上部にある「市場別」と「時価総額別」のフィルターを活用して、銘柄をある程度選別してみましょう。

 チャートの表示や分析については、過去の本コラムの連載記事「(7)有望株の選別はチャートがキモ!」「(8)大化け期待の有望成長銘柄をチャートで探そう」「(9)市場の評価をチャートで確認しよう」「(10)損をしたくないなら、売買タイミングをチャートで分析しよう」を参考にしてください。



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