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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「煮詰まる膠着」

株式評論家 富田隆弥

◆「それにしても動かない。毎日、開店休業だ」。日経平均先物でデイトレを行っている知人の嘆き節だ。日経平均株価(15日終値2万3507円)を見ると、2万3000円台でジリ高基調にあるものの、このところ日中の振幅は150円前後という日が多い。これでは知人が嘆くのも仕方ない。

◆チャートを見ると、6月に2万2000円台に乗せてから小動きが4ヵ月にわたって続き、振幅を徐々に狭めてきている。チャート的には「膠着、煮詰まり」であり、ここからの放れ足がポイントになるのは言うまでもない。

◆だが、これほど長く動かない日本株は異常だ。コロナ禍でもあり日銀のETF買いなどで「下げさせない相場」を演出している可能性はある。まさに官製相場と呼ぶべき状況だが、これだけ長く動かないと相場からは活力が失せ、マネーの流出も危惧される。

◆直近の東証1部の出来高は10億株に満たない日が珍しくない。このような状態を続けておいて「金融都市、金融立国を目指す」などと言えるのだろうか。政治家や黒田日銀総裁には「動くところにマネーは向かう」「株式市場は経済の血管」というマネーの原則を学んでいただきたいものだ。

◆米国株は躍動感に溢れ、世界のマネーを集めている。NYダウは12日に高値2万8957ドル(ザラバ)をつけ、9月の下落幅(2662ドル)を90%取り戻した。9月24日の安値2万6537ドルから3週間で9.1%の上昇だ。ただし、ここまでくると2万9000ドル台が厚い節として立ちふさがり、11月3日の大統領選を控えて調整を挟むのは仕方ない。風雨が強まる高値圏だけに、乱高下もしやすくなる。

◆米国株の上昇についていけなかった日本株だが、下げるときだけ歩調を合わせることは珍しくない。米国株に合わせて日経平均が乱高下するのならば、動き出すキッカケにはなるだろう。チャートは上下のポイントを押さえておきたい。下値は2万3000円水準に迫る75日移動平均線や13週移動平均線を、上値は節目の2万4000円台乗せを、それぞれ放れ足のポイントとして見ておきたい。

(10月15日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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