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【特集】今だからこそ「高配当バリュー株」、好業績で値幅取りも狙える有望6選 <株探トップ特集>

コロナショック以降、株価の戻りが鈍かった高配当銘柄に見直し機運が高まっている。3月期末を控えた権利取りの動きが始まるなか、減配リスクに注意を払いながら好業績・高利回り銘柄を選出した。

―権利取り本格化前に仕込む、配当利回り3%超で減配リスク低い妙味株リストアップ―

 配当の権利確定日が集中する3月末を2ヵ月先に控え、配当利回りが高水準な銘柄への注目度が高まりつつある。高配当銘柄の株価はコロナショックからの戻りが鈍く出遅れ感が強かったが、NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信 <1489> [東証E]が15日に約10ヵ月半ぶりの高値をつけるなど、ここにきて復調の兆しがみられるようになってきた。こうしたなか、今回は足もとの業績動向や過去の配当実績などを踏まえ、これから本格化する配当シーズンに向けて関心が高まる高配当利回り株を探った。

●21年3月期は3割の企業が減配

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて経営環境が悪化するなか、配当を減らす企業が増えている。21年3月期の配当予想を開示している約2050社を調べたところ、減配を予定する企業はおよそ600社に上った。全体の3割の企業が今期配当を減らす見通しだ。一方、増配の方針を示す企業は約270社と減配企業の半数以下にとどまった。上場企業はこれまでコーポレートガバナンス改革などを経て、欧米に比べて見劣りする株主配分を高めてきたが、コロナ禍の直撃で株主還元の見直しを迫られている。

 ただ、このような逆風下でも好業績かつ高配当が見込まれる銘柄は存在する。以下では、21年3月期業績が営業利益ベースで増益を見込み、かつ配当利回りが3%を超えている企業に注目し、高水準な配当を獲得でき、業績成長を背景にキャピタルゲインも期待できる銘柄として6社ピックアップした。高配当株は権利月に向けて株価が上がっていく傾向があるため、早めにチェックしておきたいところだ。

※配当利回りは1月25日終値ベースで算出。

【明和地所】 配当利回り5.15%

 明和地所 <8869> は首都圏を中心に展開する「クリオ」ブランドで知られるマンションデベロッパー。前期は新型コロナウイルス感染症対策として引き渡し時期をずらした住戸があり収益が落ち込んだが、21年3月期はマンションの引き渡し戸数が回復し、売上高490億円(前期比20.9%増)、営業利益31億円(同89.3%増)と大幅増収増益に転じる計画だ。好調な業績を踏まえ、配当も前期の15円から30円に増やす。期末一括配当の利回りは5%台と高水準で、3月29日の権利付き最終日に向けて株価を下支えする材料になることが予想される。また、株価水準が低く、配当獲得に必要な最低金額が6万円以内と手軽に購入できることも注目ポイントだ。

【VTホールディングス】 配当利回り4.64%

 VTホールディングス <7593> はホンダ<7267>や日産自動車<7201>、輸入車のディーラーを傘下に持つほか、子会社エムジーホーム <8891> [東証2]を中心に住宅関連事業も展開する。株価は400円台と明和地所と同じく低位に位置する。株主還元面では配当利回り4%台後半と高水準なうえ、株主優待制度も実施するなど、投資妙味は大きい。株主優待は今期から持ち分法適用関連会社KeePer技研 <6036> のカーコーティングと洗車の専門店「キーパーLABO」で利用できる20%割引券が優待品に加わり、魅力が一段と高まっている。今期業績は期初段階で2ケタ営業減益を見込んでいたが、上期に住宅関連事業で負ののれん発生益を計上したことに伴い、増益予想に大幅上方修正している。不安要素だった自動車販売ビジネスも回復基調にあり、減配リスクは小さいとみて良さそうだ。

【伯東】 配当利回り4.24%

 伯東 <7433> は半導体デバイスを主軸に電子部品や電子・電気機器を取り扱う独立系のエレクトロニクス商社。化学工業薬品メーカーの側面も持ち、好採算の工業薬品事業が利益を支えている。配当はリーマン・ショックの直撃で最終赤字に転落した09年3月期は減配したものの、その後は前期まで11期連続で減配なしと安定配当を続けている。21年3月期は前期の50円を据え置く方針だ。今期業績は5G(第5世代高速通信システム)の商用利用開始で市場が急拡大している光通信ビジネスに注力するほか、旺盛な半導体関連の設備投資需要を取り込み、営業利益段階で27億円(前期比11.8%増)と2ケタ増益を見込む。コロナ禍で落ち込んだ車載関連ニーズの回復もプラスに働くとみられる。

【オートバックスセブン】 配当利回り4.23%

 カー用品大手のオートバックスセブン <9832> は中期経営計画で、20年3月期から24年3月期までの5年間累計で配当と自社株買いを合算した総還元性向の目標を100%に設定している。21年3月期は年間配当60円(配当性向87.1%)の計画としており、自社株買いの実施に含みを持たせている。足もとの業績は昨春のコロナの影響や前期発生した消費増税前の特需がなくなったことで、上期時点の営業利益は35億8300万円(前年同期比19.4%減)となったが、期初計画の5億円を大きく上回って着地。直近では自動車利用頻度の向上に加え、前期の記録的な暖冬影響の反動もあり、10-12月期の国内既存店売上高は14.5%増と2ケタ増収を達成している。上期業績の大幅上振れや足もとの収益動向から見て、通期計画達成の可能性は高いとみられる。

【アサヒホールディングス】 配当利回り3.70%

 アサヒホールディングス <5857> は貴金属含有スクラップから金、銀、パラジウム、プラチナなどを回収・精錬して販売する貴金属リサイクルを主力とするほか、産業廃棄物の処理も手掛ける。剰余金の配当は配当性向50%以上をメドに実施する方針とし、21年3月期は年間160円(前期比30円増)を計画する。業績は絶好調で今期は営業利益段階で4期連続の過去最高益を更新する見通しだ。足もとでは巣ごもり需要に伴うパソコンやゲーム機などの製造関連からの回収が好調に推移するほか、北米の貴金属精錬分野では製品加工・販売や金融取引が拡大している。株価は高水準な収益成長や株主還元を背景に、上場来高値圏を舞う展開が続く。一方、指標面では予想PERが12倍台にとどまり、一段の上値追い期待は大きい。

【中国塗料】 配当利回り3.47%

 船舶用塗料で世界トップクラスの中国塗料 <4617> は、02年3月期から前期まで19年間も減配をしておらず抜群の安定感を誇る。自社株買いによる株主還元にも積極的で、21年3月期までの3年間で100~150億円を取得する目標を掲げ、7月までに125億円を取得する予定だ。更に22年3月期は別途25億円分の取得枠を検討している。今期業績はコスト削減や製品ミックスの改善を背景に、既に2度も上方修正し、営業利益60億円(前期比71.5%増)と大幅増益を見込む。また、注力分野の洋上風力発電用塗料では、国内シェア8割以上を有する。2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指す政府方針に沿って、洋上風力の導入加速が見込まれ、商機拡大が期待される。

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