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【特集】3密回避でコロナ禍でも安心!「おひとりさま」関連が飲食・レジャー株を救う <株探トップ特集>

コロナ禍の下、「密」にならないおひとりさま消費が盛り上がりをみせている。緊急事態宣言の延長で、苦境にあえぐ飲食やレジャー業界の救世主として更に注目を集めそうだ。

―緊急事態宣言の延長で再脚光、ラーメン・キャンプ・調理家電など新需要も―

 2月2日、政府は1月8日から実施している、新型コロナウイルス対策で2回目となる「緊急事態宣言」を3月7日まで延長すると発表した。期間の延長に伴い、外出や移動の自粛に関して「日中も含め」と新たに明記されたほか、事業所へのテレワークの更なる徹底の要請などがポイントとなっている。

 居酒屋を含む飲食店の営業時間の短縮要請で、最近では全体に占める会食による感染の割合は減りつつあるが、複数人での食事には感染リスクが付きまとう。こうしたなか「密」を避けるため、食事や宿泊、娯楽などのサービスを1人で楽しむ動きが加速している。今後も感染リスクを減らすためにこの流れは続くとみられ、「おひとりさま」に関連するビジネスの活躍の場は大きい。

●コロナ以前からおひとりさま市場は拡大傾向

 日本では、晩婚化や非婚化による単独世帯の増加などを背景に、コロナ禍以前より「おひとりさま消費」の市場は拡大傾向にあった。矢野経済研究所(東京都中野区)が2020年5月に発表した「おひとりさま関連市場の動向調査を実施(2020年)」によると、19年度の市場の規模は、外食で7兆9733億円、国内ホテルで5550億円の見込みで、それぞれ15年度から前年比プラスが続いていた。

 こうした傾向にコロナ禍が拍車をかけている。例えば内閣府のサイト「V-RESAS」によると、宿泊者数の前年比を利用者の分類別にみると、「1人」が全国的に増加しており、増加率は「2人」や「グループ」などを上回って推移しており、8月や10月には1人が全体より10ポイント以上高い週が続いていた。

●ニューノーマルでもニーズ続く

 このように以前から盛り上がりをみせ、コロナ禍で更に盛り上がりをみせるおひとりさま消費だが、今後も拡大が期待されている。

 緊急事態宣言が解除されても、コロナ禍以前の生活様式には戻れないためで、例えば今回の緊急事態宣言延長で唯一解除された栃木県では、飲食店への営業時間短縮要請などについては一気に解除せず、段階的に緩和するという。ウィズコロナ時代のニューノーマル(新しい生活様式)でもおひとりさま消費へのニーズは続きそうだ。

 おひとりさまへの関心が更に高まっていることを受けて、KADOKAWA <9468> は昨年12月1日に「おひとりさま専用Walker2021」を発売した。同誌は18年に発売し話題となった専用情報誌の第4弾で、「こんな時代だからこそ“おひとりさまが安心で安全に過ごせる”」がテーマ。1人専用の席や、ソロサービスなどを行う飲食店の紹介などの内容で、「ソロの時代到来」とうたっている。

●客単価上昇が続く牛丼チェーン

 飲食店では、居酒屋業態が苦戦する一方、おひとりさま消費の代表格といえる牛丼 チェーンの健闘が、客単価に表れている。吉野家ホールディングス <9861> の月次売上高では、客数の減少から既存店売上高は減収となっているが、客単価は20年5月から12月まで上昇が続く。同業の松屋フーズホールディングス <9887> や、ゼンショーホールディングス <7550> の「すき家」も同様に客単価の上昇が続いており、人気の高さがうかがえる。

 また、中華料理で1人客が多い「日高屋」を運営するハイデイ日高 <7611> も同様に客単価の上昇が続き、ラーメンチェーンの丸千代山岡家 <3399> [JQ]、ギフト <9279> なども同様の推移となっている。更にかつ丼チェーンの「かつや」を展開するアークランドサービスホールディングス <3085> では、客単価の上昇が既存店売上高を牽引し、プラス推移を維持している。

●1人カラオケの割合が増える

 レジャーでは、逆風下のカラオケ 業界で、「ひとりカラオケ」を楽しむ人が増えている。第一興商 <7458> が運営する「ビッグエコー」では、利用者のうち1人客の割合が増えているという。同社では17年4月に開始した「テレワークプラン」も堅調で、テレワークやオンライン会議のほか、オンライン飲み会などにも利用されており、これも奏功しているようだ。また、コシダカホールディングス <2157> は1人カラオケ専門店「ワンカラ」で室内換気システムを刷新し感染防止対策を徹底。「ゼロ密カラオケ」として需要の掘り起こしに注力する。

 アウトドアでは、アニメ「ゆるキャン△」や、芸能人ユーチューバーによる動画の影響などで、「ソロキャンプ」への関心が急速に高まっており、スノーピーク <7816> の売上高を押し上げる要因の一つとなっている。1人で釣りを楽しむ人が増えたことで、シマノ <7309> やグローブライド <7990> の釣り具も人気だ。

●家電にもおひとりさまの波

 このほか、20年にはおひとりさま+巣ごもり需要で1人用ホットプレートが話題となったが、こうした1人向けの調理家電を手掛けるドウシシャ <7483> や山善 <8051> にも注目したい。前者はこびりつきにくいフライパン「evercook(エバークック)」なども人気となっており、多彩な切り口で企画された商品が魅力といえよう。

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