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【特集】31期ぶりの最高益更新など、通期業績の上方修正が相次ぐ(和島英樹)

「明日の好悪材料Next」~第38回

和島英樹和島英樹(Hideki Wajima)
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

【今回チェックした「明日の好悪材料」記事一覧】
2月5日分
2月8日分
2月9日分
2月10日分

2月5日~10日は引き続き決算発表が多い期間。上方修正を発表する企業も多かった。GSIクレオス<8101>は新型コロナ感染症防止用製品の拡大で実に31年ぶりの営業最高益に増額、メディカルシステムネットワーク<4350>は後発薬の比率増で上方修正。ハーモニック・ドライブ<6324>は産業用ロボット向けの精密減速機が想定以上となっている。

2月5日分 GSIクレオス<8101>
■好悪材料~今期経常を70%上方修正・31期ぶり最高益、配当も20円増額。3月31日現在の株主を対象に1→2の株式分割を実施

繊維と工業製品の輸出入を中心とする専門商社。カーボンナノチューブなどナノテク事業を育成。電動やすり、研磨・切削用具、ニッパーなどのホビー用工具にも展開している。特にプラモデルを制作する際に使用する塗料や各種工具に強みがある。

2021年3月期の第3四半期累計(20年4月~12月)の業績を発表、同時に通期業績を上方修正した。

まず第3四半期累計の実績は、売上高が877億9300万円(前年同期比0.4%増)、営業利益が33億200万円(同3.4倍)となった。

繊維関連事業で新型コロナウイルス感染防止用の医療・衛生消耗品の取引が順調に推移。工業用製品関連事業ではホビー関連の取引が国内・海外向けともに大きく伸長した。コロナ感染拡大での巣ごもりが追い風になったとみられる。

通期業績の上方修正では、売上高は前回予想を60億円上乗せの1160億円(前期比0.4%増)、同13億円増額の営業利益は34億円(同2.8倍)、1株利益303.2円を計画している。

営業利益は1991年3月期の33億5500万円を30年ぶりに更新する。経常利益は90年3月期の25億400万円を31年ぶりに抜き、34億円の見通し。期末一括配当は前回予想比10円増配の60円(前期実績は45円)とする。

上方修正は医療・衛生消耗品やホビー関連商材などの高付加価値商材の拡大が要因。

なお、過去最高益を計上当時の社名はグンゼ産業だった。現社名には2001年に変更している。

■『株探』プレミアムで確認できるGSIクレオスの通期業績の長期成長性推移
【タイトル】

2月5日分 メディカルシステムネットワーク<4350>
■好悪材料~今期経常を36%上方修正

医薬品情報ネットワークと調剤薬局運営の持ち株会社。薬局向けの医薬品情報仲介で設立。M&A(合併・買収)で薬局事業に参入し、買収しつつ店舗網を拡大している。

2021年3月期の第3四半期累計(20年4月~12月)の業績を発表、売上高は781億6700万円(前年同期比1.0%減)、営業利益は27億7300万円(同2.25倍)となった。

新型コロナ感染拡大の影響による受診控えなどで処方箋応需枚数が減少。利益面では経済性に優れた後発医薬品への切り替えの推進や業務効率化、生産性の向上および経費圧縮に取り組んだことなどで大幅増となっている。

通期の業績予想を上方修正、営業利益と経常利益は前回予想を9億円上回る34億円とし、経常利益は前年同期比2.2倍になる。1株利益は前回から20.24円上乗せ位65.9円(前期は▲29.5円)を計画している。

処方箋単価が想定を上回って推移しているほか、発表資料では「医薬品ネットワーク部門においては、加盟店の医薬品取扱高が想定を上回って推移」しているという。

■『株探』プレミアムで確認できるメディカルシステムネットワークの業績修正履歴
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同社では20年10月にネット広告専業代理店大手のデジタルホールディングス<2389>の中核子会社であるオプト(東京都千代田区)とファーマシフト(東京都港区)を設立し、通話アプリのLINEを活用した調剤薬局向けのデジタルシフト事業を開始している。

ファーマシフトは調剤薬局運営企業7社750店舗とデジタル薬局コンソーシアムを結成、LINE公式アカウントを活用した「かかりつけ薬局支援サービスを導入する。

患者が病院で受け取った処方箋を希望する薬局にLINEから簡単に送信できる。紙の問診票に替えて患者自身の携帯で問診に回答する。薬履歴の管理や、服薬のフォローなども利用が可能。

これまで10店舗で実証テストを実施。来局者の3人に1人、LINE利用者では約半数が公式アカウントを「友だち登録」するなど、各年代で極めて良好な感触を得たとしている。

21年1月末で友だち登録者は5000人を突破。アプリをインストールする必要がないことや、高齢者でもLINEは使っている人が多いことが要因。

会社側では21年末に2000店舗、23年末には1万5000店舗でのサービス導入を目指している。中期的には収益に寄与する可能性がある。

2月8日分 ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324> ~ ☆テクニカル・チェック銘柄
■好悪材料~今期経常を一転黒字に上方修正

産業用ロボットや半導体・液晶製造装置に使われる中小型の精密減速機で世界首位。ユーザー側の特殊仕様対応に強みがある。

2021年3月期の第3四半期累計(20年4月~12月)の業績を発表、同時に通期業績の計画を上方修正した。

第3四半期累計の売上高は266億4600万円(前年同期比9.9%減)、営業利益は1億1500万円(同84.6%減)となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で車載向けやアミューズメント機器向けが落ち込んでいる。

ただし、10~12月期の営業利益は1億9600万円と、7~9月期の2億9500万円の赤字から急回復となっている。

■『株探』プレミアムで確認できるハーモニック・ドライブの四半期決算の成長性推移
【タイトル】

通期の売上高は前回予想を20億円上回る370億円(前期比1.3%減)、営業損益は従来の8億円の赤字予想から10億円の黒字(前期は6700万円の黒字)になる見通し。

発表資料では「新型コロナ感染拡大からいち早く回復した中国市場における自動化投資拡大と半導体の増産投資などの影響により、日本を中心とする産業用ロボットメーカー、半導体製造装置メーカーからの需要が旺盛になってきことによるもの」などとしていた。

チャートのテクニカル面をチェックすると、週足チャートの26週移動平均線との乖離(かいり)率が一時は30%前後まであり過熱傾向だったが、値幅調整で解消している。26週線がサポートラインであることを確認した格好。

一方、日柄調整には未了感が残る。下向きの5週線や13週線がレジスタンス(抵抗)になる可能性がある。

■ハーモニック・ドライブ<6324>の週足チャート
【タイトル】
注:週足チャートの乖離率は25週移動平均線

一気に12月高値9510円を抜ければ解消するものの、出来高の推移を見る限り、それだけの推進力は望めそうにない。

高値をつけに行く過程では大商いの時期があり、戻れば売りが出そう。短期的には26週線に沿う形でのジリ高展開を想定する。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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