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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ “恐龍”(巨大ファンド)時代の投資戦術!

経済評論家 杉村富生

「“恐龍”(巨大ファンド)時代の投資戦術!」

●NY市場の時価総額は30年間に12倍!

 NY市場(ナスダック市場を含む)の時価総額は46兆ドルを超えている。約4850兆円だ。30年間に、12倍になった。東京市場の7倍のスケールである。そこをブラックロック(運用資産810兆円)、バンガード(同730兆円)などの巨大ファンドが闊歩している。まさに、“恐龍”時代といえないか。

 もちろん、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人→運用資産169兆円)、カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金→42兆円)、ノルウェー政府年金基金(同125兆円)などを忘れてはいけない。さらに、日銀のETF買い(保有残高47兆円)がある。

 これらの巨大ファンドの存在がGAFA+M(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、およびマイクロソフトのこと)の時価総額を833兆円に押し上げたのだろう。この5社の時価総額は東京市場のそれを大きく上回る。

 悲しい話だが、これが現実である。テスラの時価総額は80兆円、トヨタ自動車 <7203> の3倍だ。ソフトバンクグループ <9984> の時価総額は21.6兆円である。PERは9.7倍にすぎない。「アメリカ企業だったら時価総額は30~40兆円になっているはず」といわれている。

 そんな銘柄をせっせとカラ売っている。巨大ファンド、日銀ETFは主軸株の浮動玉を執拗に吸収している。ソニー <6758> 、日本電産 <6594> 、東京エレクトロン <8035> 、リクルートホールディングス <6098> 、中外製薬 <4519> 、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などはとんでもない株価になるだろう。

●これが個人投資家の生きる道!

 “恐龍”時代の投資戦術(個人投資家が生きる道)は何か。まず、第1は主軸株の長期保有である。巨大ファンドに追随する小判ザメ戦法だ。バイ・アンド・ホールド。買ったら売らない。しかし、これは面白みに欠ける。退屈するのは間違いない、と思う。

 やはり、個人投資家には小物にマトを絞る作戦が有効だ。これが第2というか、最良の策だろう。ただし、筆者はひたすら値動きを追う短期・順張りは別にして、有望株の安いところをていねいに拾う戦術を提唱している。具体的にはリバーホールディングス <5690> [東証2]、アスコット <3264> [JQ]に注目できる。

 リバーホールディングスの21年6月期の連結営業利益は前期比倍増、1株利益は96円となる。配当は35円とする。コロナ禍にもかかわらず、資源リサイクル事業が好調だ。株価はやっと、昨年3月の上場時の公募価格(960円)を上回ってきたが、PERは9.6倍とまだ出遅れ感が著しい。それに、今期は増額修正含みである。

 アスコットは中国・平安グループ、SBIホールディングス <8473> の支援を受け再建中だ。21年9月期の第1四半期の連結経常利益は前年同期比4.7倍の7億9200万円、最終利益は4.9倍の6億6000万円を確保した。

 まあ、個人投資家は先物、インデックス、高速取引の影響を受けにくい銘柄を攻めるのが賢明だ。カンダホールディングス <9059> [東証2]、テクノホライゾン <6629> [JQ]は好業績、かつPERは7~9倍と出遅れが著しい。宮越ホールディングス <6620> は中国事業が開花期を迎えつつある。

2021年2月19日 記

株探ニュース

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