市場ニュース

戻る
この記事はプレミアム会員限定です

【特集】あなたの口座はなる・ならない? 毎年1200億円が発生する「休眠預金」

清水香の「それって常識? 人生100年マネーの作り方-第26回
清水香(Kaori Shimizu)
FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表
清水香1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランナー(FP)業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任。2019年よりOfficeShimizu代表。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、テレビ出演も多数。 財務省の地震保険制度に関する委員を歴任、現在「地震保険制度等研究会」委員。日本災害復興学会会員。

前回記事「進む銀行サービスのDX化、メガ3行で使いやすいのは」を読む

前回、銀行業界では新たに開設した口座で紙の通帳が有料化されたり、一定期間にわたり取引のない口座に口座維持手数料が掛かる流れがあるとお伝えしました。ただし、既存の口座はこれまで通り通帳発行は無料ですし、口座維持にも手数料はかかりません。

しかしながら、10年間取引がない預金は「休眠預金」となり、預金保険機構に移管されます。移管後も、預金残高と利子の払い戻しを受けることは可能ですが、通帳やキャッシュカードは使えなくなります。書類等を揃え、金融機関の窓口で手続きが必要で、支払いまでに日数がかかってしまう場合もあります。

【タイトル】

政府広報によれば、過去の実績では10年以上取引がない預金は毎年1200億円程度も発生しているといいます。驚くべき金額ですが、いつしか使わなくなった口座は、いつのまにか忘れられてしまうものなのでしょう。

発生した休眠預金のうち、500億円程度はその後払い戻されていますが、それを差し引いても、所有者が名乗り出ない休眠預金は毎年700億円。最終的に払い戻されなかったこれらのお金は、法律に基づき、民間公益活動のために活用されることとなり、2019年度からすでに制度運用が始まっています。

どうしたら休眠預金になる?もし休眠預金を発見したらどうしたらよい?そしてどのような活動に活用されているか、見ていきます。

最後に取引してから10年経過した場合に該当

休眠預金とは、資金の預け入れや引き出しなど、各金融機関が規定する取引をした最後の日から10年経過した預金のことをいいます。銀行をはじめ、信用金庫や労働金庫や農協などが取り扱う預金が対象です。

具体的には、預金保険法が定める「一般預金等」・「決済用預金」、または農水産業協同組合貯金保険法に定める「一般貯金等」・「決済用貯金」で、以下のようになっています。

■休眠預金の対象
対象 対象外
普通預金/定期預金/当座預金
別段預金/貯蓄預金/定期積金
相互掛金
金銭信託(元本補填)
金融債(保護預かり)など
外貨預金
譲渡性預金
金融債(保護預かりなし) など
ただし、休眠預金になるのは、2009年以降に10年以上使われなかった預金で、最終取引が2008年12月末以前の預金は原則として対象外となります。

長期にわたり取引がない預金は、これまでは最終的に金融機関の収益として計上されてきました。ですが、このお金を民間公益活動に活用して、支援の必要な人を支えられる可能性について、政府さらには民間でも議論が起こり、2016年に「休眠預金等活用法」が成立、2018年に施行されました。

こうして、2019年1月以降に発生した休眠預金については、預金者等に払い戻す努力を尽くしたうえで、民間の公益活動を支援するために活用されることになりました。

休眠預金になりそうな場合、残高1万円以上なら通知あり

休眠預金になる流れについて、具体的に見てみましょう。

最後に取引(金融機関により取引の定義は異なります)をしてから9年が経過して、休眠預金になりそうな預金がある場合、金融機関はウエブサイトで2カ月間継続して公告を行わなければなりません。

たとえばソニー<6758>のグループ会社であるソニー銀行のウエブサイトには、2020年の5月に「休眠預金等活用法に係る電子公告」を掲載しており、そこで、

「2010 年 1 月 1 日から 2010 年 12 月 31 日に最終異動日等があった預金等」

――を2021年5月21日の納付期限をもって預金保険機構に移管するとし、
「預金債権が消滅することとなります」としています。

を、2021年5月21日の納付期限をもって預金保険機構に移管するとし、「預金債権が消滅することとなります」としています。

あわせて、その後も必要な手続きをすれば「当該預金の元本および利子に相当する額の金銭(休眠預金代替金)の支払いを受けることができます」とも記しています。

休眠預金になると、口座は解約され、預金残高は預金保険機構に移管されますが、金融機関で手続きをすれば、窓口で払い戻しを受けることはできるのです。金融機関により異なりますが、その際はキャッシュカードや通帳、印鑑、身分証などが必要になります。
 
1990年以降は、ご存じのように銀行の合併が相次ぎました。すでにない銀行の通帳やキャッシュカードが出てくることもあるでしょう。その場合は、合併後の銀行に問い合わせて手続きをします。



 

...
こちらは株探プレミアム限定記事です。 プレミアムプランをご契約して読むことができます。
株探プレミアムに申し込む(初回無料体験付き)
プレミアム会員になると...
株価情報をリアルタイムで提供
企業業績の表示期数を拡大
限定コラムが読み放題

株探からのお知らせ

    日経平均