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【特集】久々の最高益更新でも株価軟調、押し目はどこ(和島英樹)

「明日の好悪材料Next」~第51回
和島英樹和島英樹(Hideki Wajima)
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

【今回チェックした「明日の好悪材料」記事一覧】
5月7日分
5月10日分
5月11日分
5月12日分
5月13日分

5月7日~13日は決算発表のピーク時期(最も多いのは14日)となった。オリンパス<7733>が久々の最高益更新予想のほか、日本製鋼所<5631>は今期回復見込み。SCREENホールディングス<7735>も順調な決算を発表した。

5月7日分 オリンパス<7733> ~ ☆テクニカル・チェック銘柄
■好悪材料~今期税引き前利益は58%増で14期ぶり最高益、前期配当を2円増額・今期は2円増配へ。また、発行済み株式数の5.22%にあたる7162万630株の自社株を消却する。消却予定日は6月4日

光学機器の大手メーカー。消化器内視鏡で世界シェア7割と圧倒的。2021年1月にデジカメ事業を譲渡し撤退。内視鏡用処置具、呼吸器科デバイス、泌尿器科デバイスなどの治療機器事業にも展開している。

21年3月期の売上高は7305億4400万円(前年比3.3%減)、営業利益は819億8500万円(同11.1%減)となった。新型コロナの影響は下期から回復したものの、上期の落ち込みをカバーするまでには至らなかった。

一方で、第4四半期(1~3月期)では内視鏡事業の売上高が前年同期比13%増、営業利益は同53.7%増と急回復。治療機器事業も同14%増収、18%営業増益となっている。

■『株探プレミアム』で確認できるオリンパスの四半期決算の成長性推移
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22年3月期は売上高8060億円(前期比10.3%増)、営業利益1260億円(同53.7%増)、1株利益は69.2円を計画している。営業利益は2008年3月期の1128億2600万円を抜き、14年ぶりの過去最高益更新を見込む。

配当は前期実績12円(前年比2円増配)、22年3月期は14円(いずれも期末一括)とする方針。内視鏡は前期に発売した消化器内視鏡の時期基幹製品が貢献するとみられる。

株価動向を週足チャートで分析する。今回は、上段に移動平均線を、下段にスローストキャスティクスを表示する。

ストキャスティクスはオシレーター系と呼ばれ「売られ過ぎ」「買われ過ぎ」を示し、値動きをスムーズにした「スローストキャスティクス」と、相場の感応度が高いがいわゆるダマシも多い「ファスト・ストキャスティク」がある。

スローストキャスティクスは%Dとその移動平均線であるSDで表される。SDは80%以上買われ過ぎ20%以下売られ過ぎを示す。また、%DがSDを下から抜くゴールデンクロスで買い、%Dが上から下に抜けるデッドクロスで売りと判断する。

オリンパスの過去の動きを見ると、安値付近はおおむね教科書通りの動きとなっているが、上昇局面では80%以上が天井になっていないケースもある。

移動平均線では52週線に接近、あるいは割り込んだ場面では買いチャンスになっているケースが多い。現状は%DとSDがまさにゴールデンクロスの局面だが、35%台で調整は今一つ。

52週線との乖離(かいり)率は低下傾向だが、接近とまではいいにくい。本来は引き付けてから買いの局面を探るところ。しかし、見切り発車で3月高値2475.5円を超えて基調を強める可能性もある。

■オリンパスの週足チャートとスローストキャスティクス
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5月10日分 日本製鋼所<5631>
■好悪材料~今期経常は49%増益、10円増配へ

火力・原子力向け鋳鍛鋼の世界大手。プラスチック射出成型機マグネシウム合金で高い技術力を有する。EV(電気自動車)リチウムイオン電池のセパレータフィルムの製造装置で世界トップシェアと推計される。

2021年3月期は売上高1980億4100万円(前年比9.0%減)、営業利益102億2600万円(同45.3%減)となった。決算短信では「受注高は、成形機は増加したものの、樹脂製造・加工機械で大型案件の受注が次期にずれ込んだ」などとしている。

22年3月期は売上高2260億円(前期比14.1%増)、営業利益160億円(同56.5%増)、1株利益149.6円を計画している。短信では「電動化シフトを始めとする自動車業界の設備投資拡大などを背景として、樹脂製品需要は堅調に推移していくことが見込まれる」などとしている。

配当については「今年4月からの中期経営計画期間中は連結配当性向30%以上を目標としたうえでDOE(連結株主資本配当率)2%を下限に配当を実施する」とし、年45円配当(前期比10円増配、うち中間配22円50銭)とする方針。

■『株探プレミアム』で確認できる日本製鋼所の通期業績の収益性推移
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5月11日分 SCREENホールディングス<7735>
■好悪材料~前期経常が上振れ着地・今期は52%増益、前期配当を25円増額・今期は65円増配へ

半導体製造装置(SPE)の大手。ウエハ洗浄装置は圧倒的な世界首位。「枚葉式」という1枚ずつ丁寧に洗う方式に定評。コータ・デベロッパー(塗布・現像装置)、デジタル印刷機、プリント基板製造装置などにも展開している。

21年3月期の売上高は3203億2200万円(前年比0.9%減)、営業利益244億9200万円(同95.0%増)となった。営業利益は会社計画210億円を34億9200万円上回っている。

主力のSPEはロジック(演算)向けの売上高は減少したものの、ファウンドリ(受託生産)やメモリー(記憶)向けの売上高が増加。特に中国向けの売上が大幅に伸びている。

■『株探プレミアム』で確認できるSCREENホールディングスの業績修正の長期履歴
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22年3月期は売上高3725億円(前期比16.3%増)、営業利益37億5000万円(同53.1%増)、1株利益515.4円を計画している。

オンラインによる決算説明会で廣江敏朗社長は「デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展で、各種半導体デバイスの需要は拡大傾向にある」とし、SPE21年も前年比20%以上の成長になると予想している。

ファウンドリは半導体の線幅3ナノと5ナノへの大型投資が継続し、レガシーノード(汎用品)の投資も並走する。また、ロジックでは大型量産投資があり、メモリーではDRAMで微細化、フラッシュで積層化投資があるという。

稼働率は21年3月期の第3四半期から100%だが、治具の投入による生産効率向上や人員投入などで生産量を上げていく見通しとしている。今期の第1四半期は台湾のファウンドリの受注環境が順調。

中期計画で今期から総還元性向30%以上としており、年間配当は前期比65円増配の年155円(期末一括)とする方針。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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