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【特集】恐るべき豪雨災害から身を守る 待ったなしの「水害対策関連株」 <株探トップ特集>

土石流による大規模災害が発生した。株式市場でも水害対策で実力を発揮する銘柄群に投資資金が流入しており、株価を相次いで動意させている状況にある。

―近年頻発する激しい雨による被害、事前の対策が必須となるなかで注目すべき8銘柄は―

●大規模土石流がもたらした戦慄

 コロナ禍という世界的なパンデミック状況が続いている。ワクチン接種の加速によって、ようやく収束に向かうかと思われたが、次々と生まれる変異株、そしてそれらの感染拡大によって日々我々は疲労感を強めている。しかし、こうした厳しい状況下にあっても、容赦なく襲い掛かってくるものがある。それは「自然災害」だ。

 直近では、温泉観光地として知られる静岡県熱海市において、大規模な土石流が発生し、甚大な被害に見舞われた。「土石流」というワードのみが大々的に取り上げられがちだが、そもそも今回の土石流の発生に関係した要因の一つは「豪雨」だ。今回の熱海の事例に限らず、わずか数年さかのぼるだけでも2017年の九州北部豪雨をはじめとして、多数の被害が発生している。近年のこうした大規模な豪雨被害には、「線状降水帯」が関係しているようだ。

●「線状降水帯」が集中豪雨を引き起こす

 気象庁によると、線状降水帯とは、「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300キロメートル程度、幅20~50キロメートル程度の強い降水を伴う雨域」のことを指す。実際、台風の直接的な影響によるものを除く集中豪雨の6割以上はこの線状降水帯によって引き起こされているとされる。

 それだけに警戒感は非常に強く、防災科学技術研究所、日本気象協会及び気象庁気象研究所は、一体となって線状降水帯の自動検出技術を開発したと今年6月11日に発表。同技術は気象庁に採用され、同月17日から気象庁による運用が開始されている。

●流域治水関連法成立で対策も新局面に

 また、回答数は少ないものの、足もとで公表された「防災(水害)に関する調査(月刊総務調べ)」の結果では、回答企業のうち約2割が水害対策を「何もしていない」と答えた。最も回答が多かったのも「ハザードマップの確認」というコストのかからない基本的なものであり、水害を意識したBCP(事業継続計画)の策定など高いレベルで対応を行っている企業はまだほんのわずかしか存在しないことが浮き彫りになった。

 気候変動の影響により、21世紀末には、全国平均で降雨量1.1倍、洪水発生頻度2倍になるとの試算があるなか、心もとない状況といえる。直近の国会では、流域治水関連法が成立したことで、今後中長期的計画に基づく堤防整備などのハード対策を更に推進し、ハザードマップ作成エリア(浸水想定区域)を、現行の大河川などから住家などの防御対象のあるすべての河川流域、下水道、海岸に拡大するなど、ハード・ソフト一体となった施策を推し進めていく方針が明確化された。

 そこで、今回は水害対策関連として、今後株式市場で注目すべき厳選8銘柄を紹介する。

水害対策関連で活躍が見込まれる8銘柄

◆ベルテクスコーポレーション <5290> [東証2] 水災害対策や下水道施設の耐震化など「防災・減災」に対応した製品を展開。河川地域の保水遊水機能の低下、水質汚濁などの有力な対策として地下調整池・地下貯留槽のほか、流出量抑制装置、組立式箱形マンホールや落石・崩壊土砂・土石流・雪崩対策に関連した製品を手掛けている。

◆前田工繊 <7821>  盛土補強・地盤補強、独自の二重壁構造を有したジオテキスタイル補強土壁、構造物の基礎部を補強材で包み込む軟弱地盤対策、急傾斜地崩壊対策事業の擁壁工に補強土壁を用いた工法など防災関連技術に強みを持つ。

◆NJS <2325>  上下水道事業のIT化による事業効率化や上下水道施設のリスクマネジメントを推進。地震、浸水、津波対策の策定やICTと浸水シミュレーション技術を活用したリアルタイム浸水対策システムを提供。

◆日特建設 <1929>  特殊土木大手であり、環境防災、維持補修、都市再生分野の専門工事に特化した地質に強い。法面防災に欠かせないアンカー工法のほか、工事現場で発生する土や伐採木を使った植生基材吹付工法、環境に配慮した防災工法を持つ。

◆ライト工業 <1926>  地山に挿入された補強材によって斜面・法面の表層崩壊を防止するなど斜面・法面対策や地盤改良、インフラ施設の補修や補強、地山の崩壊や地下水の流入を防ぐ地中連続壁といった製品に強み。

◆イトーヨーギョー <5287> [東証2] 集中豪雨による都市部での路面冠水を抑制する路面冠水抑制システムや小型水路内蔵型境界ブロック、補強部材と高強度コンクリートの組み合わせによりマンホールふたの浮上を防止するマンホールなどを手掛けている。

◆日本基礎技術 <1914>  基礎工事を手掛けており、建設基礎工事の分野で地盤改良や斜面安定、基礎杭、アンカー工法、地すべり対策、構造物の支持力対策などの技術・ソリューションを持つ。

◆土木管理総合試験所 <6171>  土木・建築工事において、調査、試験、提案を行う。地すべり調査では、現地踏査、平面測量、横断測量、縦断測量、ボーリングなどの最適な対策工事を提案し、設計する。

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