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【特集】雨宮京子氏【夏枯れかサマーラリーか、8月の展望を読む】(2) <相場観特集>

雨宮京子氏(雨宮総研 代表)

―新型コロナ感染拡大懸念と好決算発表期待の狭間で―

 週明け2日の東京市場は、日経平均株価が急反発に転じた。ただ、米国株市場などと比べて日本株の出遅れ感が際立っていることに変わりはない。名実ともに8月相場入りとなるなかで、夏枯れの地合いが続くのかそれともサマーラリーに転じるのか。当面の相場展望と物色の方向性について、先読みに定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。

●「戻り売り圧力強く、依然として下値リスク警戒」

雨宮京子氏(雨宮総研 代表)

 東京株式市場は日経平均がきょうは急反発に転じたものの、株価が戻れば売り圧力が意識され上値が重くなることが予想される。一本調子の戻り相場は見込みにくい。ここから秋口にかけてはやや下値リスクが意識されやすい地合いになるとみている。中国の規制強化の動きを背景に香港ハンセン指数などの下げが気がかりなほか、日本株は国内の新型コロナウイルスの感染者数拡大に伴う経済活動への影響が懸念される。

 米国株市場は好調でも最近の東京市場はこれに追随しにくくなっており、海外投資家の売り越しが続いている。企業の決算内容は良好でも業績相場の地合いには遠く、8月相場は夏枯れの様相となる公算が大きい。向こう1ヵ月の日経平均のレンジについては、上値は13週移動平均線が位置する2万8500円どころが上限となりそうだ。また、下値については深押しも想定され、2万6000円を割り込むような局面に遭遇する可能性も否定できない。

 ただ、3月企業の第1四半期決算発表がたけなわとなるなか、通期業績予想を増額する企業が想定以上に多く、好業績銘柄を中心に個別株物色ニーズは失われていない。今週のトヨタ自動車 <7203> の決算発表で、マーケットがどういう反応を示すかが一つのカギを握ることになりそうだ。

 個別ではまず岩谷産業 <8088> に着目。究極のクリーンエネルギーである水素は脱炭素をテーマに注目度が高まっており、その本命格である同社は改めて存在感を高めそうだ。半導体関連ではシリコンウエハーのトップ企業で22年3月期大幅増収増益見通しの信越化学工業 <4063> をマークしたい。ここ業績好調で買いを呼び込んでいる海運株では乾汽船 <9308> の上値余地が大きいとみている。補正予算編成が予想されるなか、豪雨災害などに対応した国土強靱化関連の一角であるライト工業 <1926> にも目を配りたい。足の速い銘柄ではアートスパークホールディングス <3663> [東証2]の押し目に妙味ありとみている。同社は車載ソフトが好調なほか、イラスト製作ソフトも急拡大傾向で収益成長が際立っている。このほか、光学フィルムを展開する恵和 <4251> も面白い。5G対応スマートフォンで需要を取り込み、業績も上方修正が見込まれ注目したい。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。

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