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【特集】ウィズコロナで成長加速、「動画広告」関連は株高ストーリーの宝庫 <株探トップ特集>

新型コロナウイルスの感染拡大を機に生活様式が大きく変化したことを背景に、動画配信サービスの視聴時間が増えている。これに伴って急成長をみせているのが動画広告の市場だ。

―消費者行動の変化で需要増加、25年の国内市場規模1兆円超えへ―

 米国時間26日(日本時間27日未明)に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が注目されるなか、この日の東京市場は引き続き不安定な展開で日経平均株価の下げ幅が270円超となる場面があった。市場では3月の利上げ開始が示唆されるとの見方が多く、会合後の声明や議長会見で金融引き締めに前向きな姿勢が示されれば、オーバーキル(過度な金融引き締めによる景気後退)が懸念される可能性が意識された。FOMCを通過してもウクライナ情勢を巡る地政学リスクへの警戒感は残り、相場の先行きは見通しづらい。ただ、弱気に傾き過ぎると投資チャンスを逃すことも多く、今回は成長を続ける 動画広告の関連銘柄に着目した。

●拡散力など他媒体にないメリット

 サイバーエージェント <4751> は19日、2021年の国内動画広告市場が前の年に比べ42.3%増の4205億円だったとの推計を発表した。これは同社の研究機関であるオンラインビデオ総研においてデジタルインファクト(東京都文京区)と共同で、インターネットを通して配信される動画広告の年間広告出稿額を推計し市場規模予測を算出したもの。高い成長の背景には、コロナ禍での動画コンテンツ視聴の増加とともに、大手動画広告媒体のユーザー数も大きく伸長したことなどが挙げられ、広告の種類別では動画の前後や途中で表示される「インストリーム広告」が4割超を占めた。今後の市場規模については、22年に5497億円、25年には1兆465億円に達する見込みだとしている。

 動画広告は、文字や静止画よりもインパクトがあり、見ている人の頭の中に印象が残りやすいほか、テキストのみの広告に比べて多くの情報を伝えることができるのが大きなメリットだ。また、ツイッターなどのSNSユーチューブなどで拡散されやすいといった特徴があり、テレビCMと違って場所や時間に縛られずにターゲット層に届きやすい利点もある。若年層のテレビ離れが進み、雑誌や本など紙媒体の広告も消費者の目につく機会が減っているなか、広告主企業にとって動画媒体の魅力が一段と増しているといえそうで、動画広告に関連する事業を手掛ける企業のビジネスチャンスが更に広がりそうだ。

●更なる需要見込み事業強化の動き

 アライドアーキテクツ <6081> [東証M]は、動画を内製化する企業を支援する動画制作サービス「レトロスタジオ」を展開している。これまで各媒体や各業界の動画活用パターン、シーンなどの研究を通して、フェイスブックやインスタグラム、LINEなどに最適化された約900個の動画テンプレートを提供。昨年12月にはLINEの動画プラットフォーム「LINE VOOM」に対応したテンプレートを拡充するなど、SNSプラットフォームの進化に応じたテンプレートの追加や機能の開発・拡充に努め、企業の施策成果向上を図っている。

 セプテーニ・ホールディングス <4293> [JQ]は昨年12月、ポストCookie時代に向けた新計測基盤ソリューション「プリコグベース」の提供を開始した。デジタルマーケティング領域でCookieは広告の配信や成果の計測などに利用されるが、世界的にデータプライバシーの重要性が高まるなか、Cookie規制の動きが広がっている。「プリコグベース」は、各広告配信プラットフォームが提供する計測補完の実装方法を広告主企業の目的にあわせてプランニングし、最適な方法で計測基盤を構築、一元管理することが可能だという。

 アドウェイズ <2489> は昨年11月、博報堂DYホールディングス <2433> と資本提携した。子会社の博報堂DYメディアパートナーズとは19年11月に資本・業務提携しているが、急成長するアプリマーケティング市場でのクライアントニーズにスピーディーかつ適切に応え、事業成長につなげるため、より強固なパートナーシップを構築した。また、アドウェイズ子会社のUNICORNは昨年11月にTeads Japan(東京都港区)とモバイル向け広告の分野で、同年7月にはジーニー <6562> [東証M]とWeb動画リワード広告で連携している。

 オロ <3983> は昨年11月、インストリーム広告に特化したCM制作サービスを開始した。同広告はターゲットごとにメッセージを出し分けることで複数のターゲット層に効率的に訴求でき、更に5秒でスキップ可能という媒体の性質を考慮したクリエイティブや、ターゲティングの行動にあわせた媒体選定など、テレビCMとは異なった広告戦略となる。同社は過去のクリエイティブや広告配信の蓄積から得たノウハウを生かし、施策効果の最大化を目指す考えだ。

 フリークアウト・ホールディングス <6094> [東証M]は昨年11月、世界最大級のスポーツストリーミングサービス「DAZN」と提携。フリークHDが提供している広告収益最大化プラットフォーム「Scarlet」を用いて、DAZNサービス内のプレミアムなインストリーム広告枠を開発支援するとともに、広告枠の販売を開始した。加えて、同月にはマーケティングプラットフォーム「Red」が無料動画配信サービス「GYAO!」とRTB(リアルタイムビディングの略で、オンライン広告の仕組みのこと)接続し、動画広告枠での配信を拡大した。

●デジタルHD、ブランドTなど注目

 このほかでは、グループ会社がプロモーション活動における広告配信の純増効果を可視化できる統計学を用いた新たな広告評価ツール「Geo Analysis」を開発したデジタルホールディングス <2389> 、動画広告活用ソリューションを提供するKaizen Platform <4170> [東証M]、企業向け動画配信プラットフォームなどを手掛けるJストリーム <4308> [東証M]に注目。

 マーケティング動画クラウドサービスを運営するリチカ(東京都渋谷区)と共同開発した動画パッケージを販売しているGMO TECH <6026> [東証M]、子会社が動画広告の制作から認知拡大・獲得の施策まで最適なプロモーションをワンパッケージ化したサービスを展開するアクセスグループ・ホールディングス <7042> [JQ]、デジタルマーケティング総合支援を行うブランディングテクノロジー <7067> [東証M]なども関連銘柄としてマークしておきたい。

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