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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─異彩高の銘柄を機敏に攻める!

経済評論家 杉村富生

「異彩高の銘柄を機敏に攻める!」

●Don't Fight the Fedの教え!

 世界の株式市場は各国中央銀行の金融政策に一喜一憂し、振り回されている。今週の東京市場は3日営業だけだ。盛り上がりに欠けるだろう。FRB(米連邦準備制度理事会)の9月20日~21日のFOMC(連邦公開市場委員会)での0.75%(75ベーシスポイント)の利上げはほぼ株価に織り込んでいると思う。

 とはいえ、利上げは11月、12月、来年3月と続く見通しである。現状の8.3%(8月)のCPI(消費者物価指数)上昇率はFRB(物価目標は2%)にとって、絶対に容認できない。実際、パウエルFRB議長は「無条件の物価安定」を唱えている。

 これは雇用、景気指標の悪化、資産(住宅、株式)価格の下落は「やむなし」という意味だ。2023年の世界景気は確実に急減速となる。マーケットはオーバーキル(金融引き締めが効きすぎて景気が失速すること)、スタグフレーション(不況下のインフレ進行)をリスクとして受け止めているが、「現実になる」とは想定していないだろう。

 政策金利の上限は6月までは3.9%だったが、現在は4.3%に切り上がっている。いずれにせよ、ウォール街には「Don't Fight the Fed(FRBに逆らうな)」の教えがある。当面、NY市場は不安定な相場となろう。東京市場はこの動きに引きずられる。もちろん、クアドルプルウィッチング(16日)、FOMC通過後は反発する、と期待する声もある。

 ただ、しょせんはベアマーケットラリーだ。ブル(強気→上昇トレンド)ではない。下降トレンド下の自律反発との認識は必要だろう。すなわち、短期・順張りは別にして、徹底した逆張りの投資戦術(全般が強気の時は売り、万人が総弱気の局面に買い向かう)が不可欠になる。

●ANYCOLOR、M&Aキャピタルパートナーズなど!

 それに、中間選挙(11月8日)の年のNY市場は「9~10月に荒れる」とのジンクスがある。だからこそ、個別銘柄対応が重要と主張している。アメリカ市場ではインデックスの動きとは裏腹に、電子署名のドキュサイン<DOCU>、太陽光発電のファースト・ソーラー<FSLR>、電気自動車のテスラ<TSLA>などが人気を集めている。

 日本市場はどうか。やはり、個別銘柄が集中的に物色されている。ビジョナル <4194> [東証G]、アドベンチャー <6030> [東証G]、アサカ理研 <5724> [東証S]、任天堂 <7974> [東証P]、インバウンドテック <7031> [東証G]などがそうだ。いずれもテーマ性を有する。

 テーマ的には インバウンドゲームリサイクル M&A人材派遣 パワー半導体関連セクターが強い。パワー半導体の富士電機 <6504> [東証P]は切り口多彩だ。リチウムイオン電池関連のダブル・スコープ <6619> [東証P]、田中化学研究所 <4080> [東証S]は異彩を放っている。

 このほか、買いづらい銘柄だが、アミタホールディングス <2195> [東証G]、プレミアアンチエイジング <4934> [東証G]、INTLOOP <9556> [東証G]、ANYCOLOR <5032> [東証G]、M&Aキャピタルパートナーズ <6080> [東証P]は"独歩高"を演じるだろう。

 数カ月前のマツモト <7901> [東証S]、三ッ星 <5820> [東証S]のような足取りだ。多くの投資家は参戦をためらう。しかし、INTLOOP、ANYCOLORがそうだが、買っている人達は気合いが入っている。50万、100万株と玉を吸い上げている個人が存在するらしい。おそらく、理外の理的な相場展開となろう。

2022年9月16日 記

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