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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】アルゴ発動によるショート中心の下落、押し目狙いのロングスタンス継続

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「アルゴ発動によるショート中心の下落、押し目狙いのロングスタンス継続」

●需給状況に悪化みられず、メジャーSQで反転も

 今週の日経平均株価は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げペースを減速する可能性に言及したことを受けて、リバウンドを強める場面があった。ただし、利上げ減速観測の広がりに加えて、予想を下回る米経済指標の発表が相次ぐ中で米長期金利の低下傾向が強まり、為替市場では大きく円高に振れる状況となった。この急速な円高進行がトリガーとなって、週末の東京市場では日経平均株価の下げ幅は一時560円を超し、引けも448円安とセンチメントを冷ます相場展開で週を終えた。

 日経平均株価は週末の下げによって、これまで上昇トレンドを形成する中で支持線として機能していた25日移動平均線を下回り、75日線水準まで一気に調整した。2日発表の米雇用統計の結果を受けた一段の円高には警戒しておきたいところだが、週末の急落はアルゴ発動によるショートが中心であり、需給状況は悪化していないとみられる。来週末に先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控え、VIX指数が節目の20を下回りリスク選好に傾く中で、修正リバウンドの可能性を踏まえると、引き続き押し目狙いのロングスタンスで対応したい。

●今後、活躍が期待される「注目5銘柄」

◆TDCソフト <4687> [東証P]
独立系システムインテグレーター。11月18日にNTTデータ <9613> [東証P]がバンキングシステム専用の「統合バンキングクラウド」の提供に向けて検討を開始すると発表したことをきっかけに、翌営業日の21日には金融向けのITソリューションに強みを持つ同社が買われ、窓を空けて13%超も急騰。その後は急ピッチの上昇に対する利益確定が優勢だったが、窓の上限水準で底堅さを見せて再び動意づいてきている。金融業界では古くなったIT資産(ハードウェアやソフトウェア)を、最新の製品や設計に置き換えるモダナイゼーションが活発化しており、金融関連に強い同社への追い風となろう。

◆テセック <6337> [東証S]
半導体用ハンドラ大手。個別半導体用テスターでは世界首位級。半導体の高品質・高性能化に伴い、低消費電力、高効率電力変換に重要なパワーデバイスの測定装置に対する需要は一段と高まろう。株価は業績上方修正や自社株買いの発表を手掛かりに強いトレンドを継続。短期過熱感は警戒されるものの、2021年高値の3500円を上回ってきたことにより、一段の上昇が期待される。

◆スマレジ <4431> [東証G]
POSレジ「スマレジ」など決済ソリューションを手掛ける。マルチ決済プラットフォーム「PAYGATE」を開発・販売するロイヤルゲート(東京都港区)を21年12月に連結子会社化し、22年7月に吸収合併した。日本郵政 <6178> [東証P]傘下の日本郵便が、23年秋までに全国約2万の直営郵便局すべてでキャッシュレス決済の導入を計画する中、スマレジを含めた決済ソリューション全体の需要拡大が期待される。株価は22年6月安値の904円で底打ち後、リバウンド基調を継続。直近の調整場面でも25日移動平均線が支持線として意識されている。

◆ジャパニアス <9558> [東証G]
IT・通信業界向けを中心にエンジニア派遣と受託開発事業を展開。慢性的なIT人材不足を背景に、オンサイト(現場)型開発支援業務、受託開発業務ともに堅調。株価は9月上場直後につけた上場来高値2549円を高値に調整を続けていたが、10月3日に付けた1241円を安値に25日線を下値支持線としてリバウンドを継続。2549円を意識したトレンド形成に期待したい。

◆ティムス <4891> [東証G]
東京農工大学発の創薬型バイオベンチャー。研究機関との共同研究や受託企業との連携のもとに医薬品開発を早期臨床段階までを行い、後期臨床段階からは国内外の製薬会社と提携して製品化を目指している。11月22日に上場し、初値形成後はストップ安となるなど荒い展開でのスタートとなった。ただし、足もとではリバウンドを強めて、12月2日には上場来高値を更新。一気の4ケタ乗せで一旦は達成感が意識されやすいものの、IPO銘柄の需給が良好な中、資金流入の広がりが期待される。

(2022年12月2日 記)

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