貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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1963 日揮ホールディングス

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原油関連株の“逆襲高”は続くか、WTI上昇継続に対立する強弱観 <株探トップ特集>


―「OPECプラス」の結果を注視、旅行需要回復が価格押し上げも―

  原油価格の動向が注目を集めている。今年に入ってからの原油高は、経済活動の正常化に伴う需要回復期待にイラン情勢、それに環境問題に絡む供給制約要因などが重なったことが背景にある。二酸化炭素(CO2)を排出する石油は、環境重視の潮流のなかでは、その市場規模は縮小傾向を強めるとみられている。しかし、足もとでは「基幹エネルギーとして再評価する見方」(市場関係者)も強まっている。その一方で、増産に伴う需給悪化や新型コロナウイルスの感染再拡大も懸念されている。果たして、原油関連株の逆襲高は続くのか――。

●経済活動再開期待が原油価格を押し上げ

 米原油先物相場で、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)価格は今月に入り、一時1バレル=74ドル台と2018年10月以来の高値をつけた。昨春には、新型コロナ感染拡大の影響で一時、マイナス価格をつけたことが市場に衝撃を与えたが、その急落を跳ね返し平時と比べても高値水準に上昇してきた。

 28日に同価格は73ドル割れに下落したものの、依然として高値水準にある。この原油高の背景として、まず挙げられるのは新型コロナワクチンの接種拡大に伴う経済活動再開に対する期待だ。米国では、夏場のドライブシーズンに向けてガソリン需要が高まるとの観測は強く、バカンスシーズン突入による旅行需要への期待とともに原油価格も上昇している。

●「座礁資産」懸念で油田開発に二の足踏む

 また、供給要因も見逃せない。昨年の原油価格急落で産油国は大規模な協調減産を実施し、需給は引き締まった。加えて、今月のイラン大統領選では対米強硬派のライシ師が当選した。米国とのイラン核合意の立て直し交渉は難航するとの見方が浮上し、同国産原油の禁輸解除は遅れるとの観測が強まった。

 更に、環境重視による「脱炭素」の流れが強まっていることも新たな油田開発を躊躇(ちゅうちょ)させ、原油の供給抑制の要因に働いている。CO2を排出する石油関連資産は、環境重視の視点からは将来的には価値が消滅していく「座礁資産」との見方もあり、積極投資には二の足を踏まざるを得ない。このため、原油価格の上昇を受けても米シェールオイル関連会社の生産回復はさほど進んでいないとの見方もある。

 こうした要因が絡み合い、原油価格は予想を上回る強調相場を演じてきたのが実態だ。今後、経済活動再開が順調に進むことを前提に「WTI価格は22年に100ドルを意識する展開も」という観測が市場には流れている。

●強弱観対立もタイトな需給は続くとの見方も

 原油価格は高値警戒感が強まる一方で、強弱観が対立し始めている。今後の動向をみるうえで注目されているのが、7月1日に予定されている「OPECプラス」の動向だ。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国で構成される同会合では、足もとの原油高を背景に、増産に向けた動きが強まる可能性も指摘されている。もし、OPECプラスで予想を超えた増産が決定されれば、原油価格の弱含み要因となる。加えて、警戒されるのが新型コロナ変異株の感染拡大の影響だ。感染力の強いデルタ株のまん延を防ぐため、欧州では渡航制限の動きも伝えられた。「原油相場は今後調整局面入りする可能性も」(市場関係者)との警戒感は強い。

 ただその一方で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員は「基本的には今後もタイトな需給は続くのではないか」と先行きの上昇基調継続を見込んでいる。OPECプラスに関しては増産があっても原油価格を維持するための協調体制は変わらない、と予想している。また、新型コロナの感染再拡大の懸念も経済再開の流れを変えるまでには至らない、との見方だ。今後、夏場の旅行需要の回復による原油需要の増加が見られれば「先行きWTIは80ドル前後まで上昇する可能性も」と同氏は予想する。

●高水準の価格続けば増額修正、富士興産や富士石油も注目

 原油価格の右肩上がりの上昇が続くとすれば、関連株の調整場面は格好の拾い場となる。INPEX <1605> の今12月期の想定原油価格は北海ブレントベースで1バレル=60.3ドルだが、足もとで同価格は74ドル近辺にあり今期業績には増額修正期待がある。同社の株価はPER約8倍、配当利回り4%前後の水準にある。

 ENEOSホールディングス <5020> の22年3月期想定の原油価格は中東産ドバイ原油ベースで同60ドルだが、同価格は72ドル前後と想定を上回っている。出光興産 <5019> やコスモエネルギーホールディングス <5021> も株価は低PER・高配当利回りで再評価余地がある。

 原油価格上昇は中東を中心にプラント建設需要増加につながり、日揮ホールディングス <1963> や千代田化工建設 <6366> [東証2]、東洋エンジニアリング <6330> といった大手エンジニアリング会社には追い風だ。更に、原油関連企業では、東亜石油 <5008> [東証2]や「物言う株主」の買い増しが注目される富士石油 <5017> 、それに「敵対的TOB」に揺れた富士興産 <5009> の動向なども注目されている。

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