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Fブラザーズ Research Memo(2):質実剛健かつ金融と不動産が融合する分野のプロフェショナル集団

特集
2019年2月25日 15時02分

■会社概要

1. 会社概要と沿革

独立系の不動産投資運用会社。不動産私募ファンドのアセットマネジメント(以下、AM)会社としてスタートしたが、2014年頃から自己勘定投資を本格的に推進し、現在では主力事業となっている。

代表取締役社長の吉原知紀氏は、旧三井信託銀行、モルガン・スタンレー<MS>を経て2004年2月にファーストブラザーズ<3454>を設立。辻野和孝(つじのかずたか)取締役も旧三井信託銀行、モルガン・スタンレー出身で、不動産鑑定会社を経て2006年2月に同社に合流している。また、自己勘定投資を担う同社グループの主力会社であるファーストブラザーズキャピタル(株)代表取締役社長に旧三井信託銀行で要職を務めた鹿野太一(かのたいち)氏を迎え入れるなど、キーマンには旧三井信託銀行出身が多い。また、取締役には、不動産証券化法務の第一人者であり牛島総合法律事務所パートナー弁護士の田村幸太郎(たむらこうたろう)氏も名を連ねる。2015年2月に東証マザーズ上場。2016年10月に東証1部に市場変更した。

2. 事業概要

(1) 投資運用事業

同社は“クライアントファースト”“パフォーマンスファースト”の行動規範のもと投資運用サービスを行っており、最も利益の出るタイミングにおいて投資案件の売買を行うため、不動産売買市況の変動等により受託資産残高も大きく変動する傾向がある。現状、同社ファンドが取得対象としてきた大型物件(50億円超)は、取得競争が激しく過熱感の高い取引環境にある。この環境認識のもと、2018年11月期は、同社が主体的に投資活動を行うファンドの新規組成は行わなかった。ただし、顧客投資家の待機資金は潤沢であり、マーケットに波乱があれば、機動的にファンドを組成し物件を取得することは可能であり、投資対象となる案件の発掘活動は引続き行っている。リーマンショック時にも痛手を受けることなく成長を遂げてきた同社は、“無理して買わない”というスタンスが徹底されたプロフェッショナル集団である。

一方で、ファンドビジネスで培ったノウハウを活用し、投資家(顧客)が主体的に行う不動産投資活動において、アセットマネジメント業務を受託することを行っている。ファンドの受託資産残高は2018年11月期末で8,733百万円(前期末は0百万円)である。

(2) 投資銀行事業

中小規模の不動産(首都圏の商業・オフィス)に対する自己勘定投資が中心である。同社が組成したファンドへの共同投資(セイムボート投資)、PE投資(債権投資、事業再生投資、ベンチャー企業投資)、再生可能エネルギー関連投資や、M&Aにかかる助言などのアドバイザリー業務も展開している。

不動産の自己勘定投資を本格的に開始したのは2014年から。2015年2月のIPOにより手取り資金約30億円を得て潤沢になった手元資金と良好な資金調達環境を背景にした借入により自己勘定投資を加速化した。安定収益である賃料収入の拡大を主な目的とし、中長期保有を前提とするが、バリューアップ後に適宜入替を行うため固定資産とはせずにすべて販売用不動産に計上している。一般的に販売用不動産は減価償却を行わないが、同社は財務健全性を維持するため減価償却を行う保守的な会計処理を採用している。

私募ファンドとの利益相反を避けるため、投資対象はファンドの投資クライテリアから外れる物件とし、10億円前後の中小規模の賃貸不動産が多い。10億円前後の物件は、ストック・流通量が多く投資機会が豊富である。取得先は個人の資産家など不動産のプロでないことも多く、その不動産が本来持つ実力を十分に発揮できていない(相場の賃料とのギャップ、入居率の向上余地など)ため、NOI利回りの改善余地が大きい。

2018年11月期末の賃貸不動産ポートフォリオ(自己勘定投資)の残高は、取得価格ベースで33,012百万円(前期末比4,962百万円増)。期中増加額が17,934百万円、期中減少額が12,971百万円と積極的なポートフォリオの入れ替えが行われた。所在地別の内訳は、首都圏97.5%、その他主要都市2.5%であり、テナント需要が底堅い首都圏エリアに特化している。アセットタイプ別(複合ビルは主要用途で分類)の内訳は、商業40.7%、オフィス39.7%、ホテル13.9%、住居5.7%、と、事業用不動産が9割以上を占める。安定稼働時の想定NOI利回りは6.4%。外部鑑定によると含み益は4,487百万円である。

また同社は、ポテンシャルの高いエリアを見極め、当該エリアに集中的に投資し、個別不動産(点)からエリア全体(面)に視点を移してその街づくりに貢献することで地域社会との共生を図りながら、長期的観点に立ったバリューアップを図ることも計画しており、中長期的な賃貸不動産ポートフォリオのさらなる拡充を予定している。

3. 市場動向

同社の賃貸不動産ポートフォリオは商業・オフィスが中心で、エリアは首都圏に集中している。国土交通省の商業用不動産に関する統計では、南関東圏の店舗及びオフィスの取引価格指数(2018年1月~9月)は堅調であり、やや上昇傾向にある。取引面積に関しても前年同期を上回っており、流動性に大きな変化は見られない。同社では、不動産売買市場においては引き続き高止まりの相場が続いているとしつつも、将来については、楽観はできないとの認識である。

一方不動産賃貸市場においては、東京の主要商業エリアの店舗の賃料トレンドは、2018年秋時点で上昇傾向であり、実勢は高水準で安定的に推移している。インバウンド消費が依然好調で、ドラッグストアやディスカウントストアがけん引する。東京のオフィス需給に関しては、2018~2020年にかけての大量供給が開始しているものの、新規供給の多くで竣工前にテナントが内定する等の強い需要が続いており、結果として賃料は上昇傾向が続いている。東京ビジネス地区の賃料は2018年に入っても年3%以上上昇し、空室率は2%台に低下している。

4. 人材の強み

同社の強みは、国内の不動産証券化の黎明期から信託銀行や外資系AM会社などで当該分野に関わってきた、金融及び不動産のプロフェッショナル人材が多いことだ。2018年11月期末時点の連結役職員数は54名であり少数精鋭だ。弁護士、公認会計士、不動産鑑定士、一級建築士、不動産証券化マスターなどの有資格者も多数所属している。具体的には、有望な物件を冷静に見極める“目利き力”、豊富な経験によって培われる“バリューアップ力”が同社プロフェッショナルの特長となっている。比較的人材の流動性の高い不動産業界だが、コアとなる人材の定着率は高いと言う。

5. 資金調達

リーマンショック前後に多くの不動産会社がリファイナンスをできずに破綻に追い込まれたことから分かるように、不動産会社にとって資金調達は生命線である。同社では、コーポレートローンはすべて自己勘定投資の不動産に紐付いており、物件の事情に合わせて適切な条件で調達している。現在の調達先には、メガバンクのほか地銀や信金も含まれる。自己勘定投資におけるLTV※は2018年11月期末時点で82.1%である。

※Loan to Value:不動産の物件価値に対する負債(借入金など)の割合。借入残高÷賃貸不動産簿価。

賃貸不動産の取得にかかるコーポレートローンについては、加重平均残存期間16.2年と超長期で調達しており、多少の金融環境の下降局面があっても持ちこたえられる備えができている。すべて変動で調達しているが、金利スワップ取引により賃貸不動産の取得に伴う借入金残高の61.6%の支払金利を固定化している。また、日銀のマイナス金利導入を受け加重平均借入金利は0.79%と低利で調達できている。超長期で調達していることもあり賃貸キャッシュ・フローは十分なプラス(賃貸収益が支払利息と元本返済の合計額を十分に上回っている)の状態を維持しており、金融機関の協力も得られやすい。資金調達力は同社にとって大きな強みとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《HN》

提供:フィスコ

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