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エヌ・シー・エヌ Research Memo(5):2023年3月期第2四半期は増収増益での着地(1)

特集
2023年2月2日 14時35分

■業績動向

1. 2023年3月期第2四半期の業績

エヌ・シー・エヌ<7057>の2023年3月期第2四半期業績は、売上高4,629百万円(前年同期比26.8%増)、売上総利益1,107百万円(同20.8%増)、営業利益238百万円(同65.1%増)、経常利益245百万円(同59.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益161百万円(同47.1%増)と増収増益での着地となり、売上高及び売上総利益以下の段階利益は過去最高となった。世界的な原材料インフレ、ロシア・ウクライナ問題による合板原料・木材等の輸入制限など、原材料の価格動向と調達は予断を許さない状況にある。このような状況のなか、同社グループでは独自のサプライチェーンを強みとして、SE構法の出荷見込みに応じた木材を確実に調達し、安定的に供給を行うことができた。また、第2四半期はN&S開発への出資(49.9百万円)、MAKE HOUSEの株式取得(29.4百万円)、CADの開発(53.8百万円)など、今後の事業拡大に向けた積極的な投資を実行している。

2. 事業セグメントとセグメント売上高

2023年3月期第2四半期累計期間における住宅業界の状況については、新設住宅着工戸数が2022年7月は前年同期比5.4%減となり3ヶ月連続で前年同期を下回ったが、8月以降は対前年同期比で増加に転じ、8月は同4.6%増、9月は同1.1%増となり2ヶ月連続の増加だった。なお、第3四半期となる10月の新設住宅着工戸数は、前年同月比1.8%減の7万6,590戸となり、3ヶ月ぶりに減少。11月は同1.4%減の7万2,372戸で、2ヶ月連続の減少。持家は前年同月比15.1%減で12ヵ月連続の減少となるなど住宅市場の環境としては逆風の状況であろう。ただし、同社が手掛けるSE構法の別荘など高付加価値住宅は完全注文住宅であるほか、新しいライフスタイルを提案するセカンドハウスマーケットの開拓などは、新たな生活様式の浸透によって需要拡大が見込まれている。

また、2022年6月通常国会において、建築基準法の改正が決議された。これにより、2025年より木造住宅の省エネルギー性能の確保が義務となり、また木造における確認申請基準(4号特例)の変更が決定した。同社は創業以来木造住宅の構造設計を主業務としており、これまで国の政策に先駆けて取り組んできた様々な成長投資の成果が業績面に表れてきているなか、さらに3年後の構造計算ニーズ増大に対応すべく、脱炭素社会に向けた「建築物の木造化」「設計のDX」への準備を整えている。

住宅分野の売上高は3,903百万円(前年同期比29.5%増)だった。当第2四半期のSE構法出荷数は630棟(前年同期比12.0%減)となったが、SE構法出荷1棟当たりの平均売上金額が前年同期比1.5倍程度に上昇した。また、SE構法登録施工店は新規に20社加入し(退会5社)、592社となった。

非住宅分野の売上高は568百万円(前年同期比26.7%増)だった。SE構法出荷数は42棟(前年同期比40.0%増)となった。SE構法以外の大規模木造建築を扱う木構造デザインでは計画通りにプロモーション活動を実施し、順調に営業活動を推進。また、今後さらに高まることが予想される大規模木造建築のニーズを捉え事業を拡大していくことを目的として、2022年10月1日付で翠豊の株式51.2%を取得し子会社化した(取得金額は2億2,680万円)。翠豊の木構造の加工・施工力、同社の営業力という、互いにないものを補完し合うことで、木構造市場のさらなる拡大を図る考えである。なお、翠豊は2023年3月期第3四半期から連結財務諸表に含まれる予定。

環境設計分野の売上高は101百万円(前年同期比15.8%増)だった。2021年4月より説明義務化となった住宅の省エネ性能に対して、補助金の受給に関するコンサルティング業務と合わせてサービス提供することで、木造住宅、集合住宅及び非住宅木造物件向けの一次エネルギー計算書の出荷数は1,315件(前年同期比21.0%増)となった。

DX・その他の分野の売上高は55百万円(前年同期比44.8%減)だった。木造建築向けITソリューションを開発・展開するMAKE HOUSEでは、2021年10月に開設した「MAKE HOUSE BIM BASE」を拠点に事業拡大に向けた人材育成を行い、BIM技術を活用した高画質建築空間シミュレーションサービス「MAKE ViZ」の営業活動を進めた。なお、今期よりその他の売上高を「環境設計分野」と「DX・その他の分野」に区分して表記している。また、前期までDX・その他の分野に含まれていた資材関連の売上高について、今期からは木造耐震設計事業で計上している。

子会社及び関連会社について、サブスク型セカンドハウス事業を行うSanuとの合弁会社N&S開発を設立し、セカンドハウスの商品開発を行うとともに、同社の登録施工店ネットワークを利用したセカンドハウス建設を計画し、新規需要増加へ向けた取り組みをスタートさせた。

同社は受注が行われると先に構造計算を行う。安定供給を可能にするサプライチェーンを、構造設計会社としては珍しく持っており、受注した図面ですぐに構造計算するため、材料がどの程度使われるのか、どのくらいの強度が必要なのかがわかる。ダイレクトに国内の集成材工場、または製材工場にデータを送り、そこから製品を作り在庫を管理し、全国にある提携プレカット工場にタイムリーに届けるシステムとなっている。一般的な流通では、工場に発注して材料を手配するが、同社は約5ヶ月前から使用する材料を既に発注しているため、納期遅れや材料不足は起きていない。

木材が不足するウッドショックやロシアのウクライナ侵攻を受け、商社などは木材の供給不安から積極的に調達しようという動きが強かったが、新設住宅着工が減ってきたなか、需給が緩和している。米国では長期金利上昇を受けた住宅投資の減少によって木材の需要が落ち込んでおり、シカゴ(CME)木材先物は2021年5月の1,686ドルから、足元では2023年1月に344ドルまで低下した。ウッドショック時に大量に在庫を増やした商社やメーカーなどは相当利益を上げたと見られるが、住宅需要が弱くなり始め、在庫がだぶつき出しているなか、影響は避けられないだろう。

また、直近1年間の集成材の輸入価格単価を見ると緩やかに下落していることが窺える。ロシア産については2022年9月から輸入量が大きく減少しているが、ウクライナ戦争が長期化するなか、人道的観点から輸入を減らしている状況である。

同社は構造用集成材をすべて国内メーカーから調達しているが、同社社長の田鎖氏は、商社の木材部で米国・カナダ・ニュージーランドから材木を輸入していた経験を有しているため、木材の流通についての知見も豊富であり、ウッドショックへの対処という点で大きな強みがある。実際、ウッドショック下で過度な在庫を積み増さず、適正な分だけを調達してきた経緯がある。木材・木製品・林産物、合板、集成材などの輸入物価指数は依然として高い水準で推移しているものの、ピークアウト感が見られてきたなか、同社の強みが生かされている。

なお、2021年4月から施行の改正建築物省エネ法において、新築の非住宅建築物(延床面積300平方メートル以上)の省エネ基準への適合が義務化された。省エネ基準への適合が義務化されると、外壁の断熱材、高断熱性の窓設置、高効率の空調や発光ダイオード(LED)照明の導入などが求められる。また、中規模非住宅も「省エネ適判」が必須となり、省エネ計算は新築計画に欠かせない業務に加わった。

なお、同社は10年以上前から省エネルギー計算を実施し、多くの計算書の実績を誇っている。豊富な経験値を基に、「省エネ性能説明義務化の対応」において優位性を発揮すると見られ、同セグメントの売上成長は今後も伸びていくことになると、弊社では考えている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《YI》

提供:フィスコ

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