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【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─米次期政権を睨み上値重い展開、データセンター関連などに注目

市況
2024年12月1日 14時00分

「米次期政権を睨み上値重い展開、データセンター関連などに注目」

●米株高を素直に好感しにくい東京市場

12月の東京株式市場は、トランプ次期米大統領の関税強化政策や日本の金融政策などを睨み、上値の重い展開となりそうだ。為替の円高傾向も警戒されつつある。

日経平均株価の予想レンジは3万7000円~3万9500円。ただ、年末にかけては株高アノマリーである「掉尾の一振」になるとの期待感も強い。

外部環境ではトランプ氏の大統領返り咲きに加え、上下院ともに共和党が過半数を握る「トリプルレッド」となった。減税や規制緩和を進めるとされるトランプ次期大統領の意向が反映されやすくなり、米景気の拡大期待が浮上している。

一方、景気刺激策は金利上昇要因でもあり、必ずしも好材料ばかりではないとの懸念もある。また、他国に対する関税引き上げ観測もあり、米国の株高がそのまま日本では好感されにくい状況だ。

主なスケジュールは、米国では2日にISM製造業景況感指数、6日に雇用統計、11日に消費者物価指数、17日に小売売上高、18日にFOMC(米連邦公開市場委員会)結果発表など、日本では16日に日銀短観、19日に日銀金融政策決定会合の結果発表、30日に東証大納会などが予定されている。また、月内に25年度予算案・税制改正大綱の決定がある見通し。

米国ではFOMCで0.25%の利下げを行うとみられていたが、実施されない可能性も高まってきている。データとしては雇用統計が注視されそうだ。可能性は低いが、日銀が利上げに踏み切るかもポイントとなる。為替市場への影響を含めて注目しておきたい。

また、11日には半導体関連の展示会であるセミコン・ジャパンが開幕する(13日まで)。

●大容量記憶媒体として復権が進むHDD関連に妙味

第2四半期決算では、当初の期待に反して芳しくない内容の企業が多く見られた。当初は上方修正に進む企業が多いとみる向きが多かったものの、決算発表直前の日経平均株価の1株利益は2490円程度だったのに対し、直近では2470円台とむしろ後退している。上期最終損益が大幅黒字だったソフトバンクグループ <9984> [東証P]の決算発表(11月12日)の直前は2440円前後だった。7-9月期の中国の景気低迷、国内では酷暑や豪雨といった天候要因が下押し圧力となったようだ。足もとの日経平均株価のPERは15.4倍で、業績面からは上値の余地が限られる公算が大きい。

こうした中、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]の3メガバンクは揃って通期業績の上方修正、増配、自社株買いを発表している。バリュー株の代表的銘柄の前向きな還元策により、来期に向けても増配などへの期待感が高まってきている。

また、古河電気工業 <5801> [東証P]、住友電気工業 <5802> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]の「電線御三家」がいずれも通期業績を上方修正している。フジクラを軸に、各社が手掛ける光ファイバーは、AI(人工知能)の普及に伴い大規模 データセンター向けなどの需要が急増しており、来期にかけても順調に拡大するとみられる。

7-9月期に決算が好調だったのは、データセンター向け空調工事の日比谷総合設備 <1982> [東証P]、飲料用充填装置のほか半導体向けメカトロ装置に展開する澁谷工業 <6340> [東証P]、美容室向けヘア化粧品専業のミルボン <4919> [東証P]、プリント基板向け電子材料の有沢製作所 <5208> [東証P]、オフィス家具のイトーキ <7972> [東証P]などが挙げられる。

AI半導体の米エヌビディア<NVDA>の8-10月期決算は予想を上回る健闘を見せた。次期モデル「ブラックウェル」の立ち上がりも順調で、大量の演算を行うAIデータセンター向けなどは来年に向けても拡大が予想される。

また、大容量の記憶媒体としてHDD(ハードディスク駆動装置)が見直されており、引き続きHDDモーターのニデック <6594> [東証P]、サスペンション(精密ばね)のニッパツ <5991> [東証P]、磁気ヘッドのTDK <6762> [東証P]、HDD用ガラスディスクのHOYA <7741> [東証P]などに妙味がありそうだ。

このほか、データセンターでは総合設備工事のダイダン <1980> [東証P]、伝送損失を抑える特殊ガラスを手掛ける日東紡績 <3110> [東証P]、放熱用セラミック基板のMARUWA <5344> [東証P]などもチェックしておきたい。

(11月27日 記/次回は2025年1月2日 配信予定)

株探ニュース

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