窪田朋一郎氏【平成から令和へ、10連休後の東京市場はどうなる】(1) <相場観特集>
―かつてない大型連休、相場の描く軌道に変化はみられるか―
週明け22日の東京株式市場は手掛かり材料難のなか方向感の定まらない動きとなり、結局日経平均株価は小幅ながらプラス圏で着地した。今週末から 10連休というかつてない大型連休に突入することもあって、買い手控えムードも漂うが、下値では買いが厚く、結果的に小幅なレンジでの値動きとなっている。連休前と連休後で株式市場は風景が変わるのかどうか。投資家としてもここでの投資スタンスの取り方には迷うところだろう。株式相場と為替の見通しについて、それぞれ先読みに定評のある専門家に話を聞いた。
●「10連休明け後は強調展開を想定」
窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)
日経平均は足もと狭いレンジで売り買いが交錯しているが、今週は引き続き上にも下にも動きにくい地合いが想定される。通常10連休前で買い手控えムードが漂うのは予想されるところだが、売り方にとってもポジションを調整しておく、つまり今は空売りの手仕舞いを強いられる局面にある。その観点では23日が売り方にとってのヤマ場ともいえ、逆日歩のついた銘柄についてはこの日のうちに買い戻すバイアスが強まるため、株式需給面から浮揚力が働きやすい。
大型連休明け後は、休み中の海外マーケットなどの動向に左右されることになるが、基本的に5月相場は強めに推移するとみている。日本が10連休で株式市場が動きを止めている間に、米国では5月1日のFOMC(米連邦公開市場委員会)や4月の雇用統計など経済統計が相次ぎ発表される。今回のFOMCについては“無風通過”が予想され、会合後のパウエルFRB議長の記者会見はあるものの、波乱要素には乏しそうだ。また、米経済指標も概ね堅調な内容が予想され、全体相場にネガティブに作用する可能性は比較的低いだろう。そうした状況下で東京市場でも10連休明けはギャップアップした形でスタートを切るのではないか。
その先で注目されるのは、やはり国内企業の決算発表である。連休明け後はマクロよりも個別企業の決算内容で明暗が分かれるミクロ面へと視点が移った相場展開が想定される。日経平均のレンジは、10連休前は2万2000~2万2500円の値動き。10連休後は、そこから水準をやや切り上げ2万3000円ラインをうかがう動きを予想する。
物色対象としては、ここ最近は半導体関連株などが大きく水準訂正をする一方で、医薬品や小売関連株といったディフェンシブセクターが行き過ぎて売られた感があり、こうした銘柄群のリターンリバーサルの動きが顕在化する可能性がある。武田薬品工業 <4502> や塩野義製薬 <4507> のほか、セブン&アイ・ホールディングス <3382> などのリバウンドに照準を合わせてみるのも一法かと思う。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。
株探ニュース