為替週間見通し:底堅い値動きか、FRBの金融政策姿勢を注視へ

通貨
2020年8月22日 16時16分

【今週の概況】

■米長期金利の反落を意識してドル弱含み

今週のドル・円は弱含み。米国経済の持続的な回復への市場の期待は低下しつつあり、米国株式は強い動きを見せたものの、長期金利は低下し、リスク選好的なドル買い・円売りはやや縮小した。8月19日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨(7月開催分)によると、イールドカーブ(利回り曲線)の上限設定(イールドカーブ・コントロール/長短金利操作)について、「多くのメンバーが現時点での設定は正当化されない」との見解を提示していたことが判明した。10年債などの長期債などの利回り水準は反転し、ドル・円は106円台前半まで戻した。

しかしながら、20日に発表された8月15日までの週の新規失業保険申請件数は110.6万件と、前週の97.1万件から大幅に増加したことから、雇用環境の大幅な改善に対する市場の期待は低下し、長期金利は反落。リスク回避的なドル売り・円買いが優勢となり、ドル・円は106円05銭から105円75銭まで売られた。

21日のニューヨーク外為市場でドル・円は、105円66銭から106円07銭まで買われた。

この日発表された7月中古住宅販売件数は大幅な増加となったことや、8月マークイット製造業PMI速報値は市場予想を上回り、昨年1月以来で最高となったことから、リスク回避的なドル売りは縮小。ドル・円は、105円80銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:105円10銭-106円68銭。

【来週の見通し】

■底堅い値動きか、FRBの金融政策姿勢を注視へ

来週のドル・円は底堅い値動きか。米国での新型コロナウイルスの感染流行が短期間で終息に向かう可能性は低いとみられており、持続的な景気回復への期待は低下しつつあることから、市場参加者の間では「連邦準備制度理事会(FRB)はいずれ追加の金融緩和策を検討する」との見方は根強い。19日に公表されたFOMC議事要旨(7月28-29日開催分)では、積極的な刺激策が従来見通しよりも長期間にわたり堅持される可能性が示されている。

米金融政策の見通しについて、市場参加者の関心は一段と高まっているが、27-28日に開催されるカンザスシティ地区連銀主催の年次経済シンポジウムにおいて、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は金融政策に関する講演を27日に予定しており、有力な手掛かり材料となりそうだ。7月開催のFOMC議事要旨にはイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)に否定的な見解が盛り込まれ、市場の金利低下期待は後退している。パウエルFRB議長の講演が金利低下につながる内容ではなかった場合、ドル売り圧力は弱まる可能性がある。

米国株式の上昇基調もドルの支援材料となろう。NY株式市場では、S&P500種やナスダック総合指数が過去最高値を更新する強気相場となり、株高がこの先も続けばドル売り・円買いを弱める要因となりそうだ。27日発表予定の4-6月期国内総生産(GDP)改定値は若干の上方修正が予想されており、市場予想とおおむね一致すれば、株買い・ドル買いに振れる展開もあり得る。

なお、米中両国は第1段階の通商合意を確認するための実務者レベルの会合が近く開かれる見通し。米政府関係筋によると、トランプ政権は米企業による中国国内でのWeChatの利用を承認するとみられており、米中関係悪化への懸念は和らぎつつあることから、リスク回避的な円買いは後退しそうだ。

【米カンザスシティ地区連銀主催の経済シンポジウム】(8月27-28日開催予定)

8月27-28日に米カンザスシティ地区連銀主催の年次経済シンポジウムが開催される。今年のテーマは「今後10年の進路:金融政策にとっての意義」。今年はウイルス感染拡大の影響でオンライン開催となるが、主要国の金融当局者の発言内容がユーロ買いを後押しする可能性がある。

【米・4-6月期国内総生産(GDP)改定値】(8月27日発表予定)

27日発表の米4-6月期国内総生産(GDP)改定値は、空前の落ち込みを記録した速報値の前期比年率-32.9%から上方修正された場合、ドル売りを弱める可能性も。

予想レンジ:104円50銭-107円50銭

《FA》

提供:フィスコ

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