さらばタッチパネル、「空中ディスプレー」関連株に出番到来 <株探トップ特集>

特集
2020年10月31日 19時30分

―新型コロナで急浮上、コンタクトレス社会で一躍スポットを浴びる新テクノロジー ―

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、新しい生活様式として3密(密閉・密集・密接)の回避のほか、ソーシャルディスタンス(社会的距離)をとりつつ、経済活動正常化の取り組みが行われている。その具体的な姿の一つとして挙げられるのが、できる限り接触を避ける「コンタクトレス社会(非接触)」で、今やニューノーマルとなりつつある。

コンタクトレスという文脈で言えば、例えば新型コロナウイルス感染症が流行する以前から政府主導によるキャッシュレス化が進められていた。ただ、紙幣にもウイルスが付着して感染の原因になる恐れがあることから、政府の施策に加え新型コロナウイルスの拡大がキャッシュレス決済 の普及に寄与した面もある。実際、海外においてもATM利用が急減する一方で、キャッシュレス決済が急拡大している現実がある。

●空中ディスプレー時代は加速的に訪れる

感染症の拡大防止に向けたコンタクトレス社会に移行するなかで、新たなテクノロジーも生まれている。ここにきて社会ニーズが高まってきているのが「空中ディスプレー」だ。これは、空中タッチパネル、非接触タッチパネルともいわれている技術であり、パネルに直接触れることなく、浮かび上がった映像パネル(浮遊映像)を操作することができるソリューションである。

コンタクトレス社会を実現する上では、既にさまざまなところで使用され利便性を高めていたタッチパネルが皮肉にも障壁となってしまう。なぜなら、タッチパネルは人と直接会話する機会を減らす半面、多数の人々が接触することによる連鎖的な感染リスクを生むからだ。だからこそ、タッチパネルの代替として、感染防止の観点から空中ディスプレーの需要ニーズは大きいと考えられる。医療機関や金融機関、公共施設、交通機関、工場などの幅広い分野でタッチパネルが使われており、これらが空中ディスプレーに代わる時代は加速的に訪れることになりそうだ。

●アスカネットが同分野の先駆で注目集める

なお、空中ディスプレーといえば、開発者である大坪誠氏が某日、テレビ番組「情熱大陸」に出演しており、「空中に自在に“映像を浮かび上がらせる”世界を変える画期的な技術を開発」として放送された。同氏は2011年にこの技術の実用化のため、新たな技術開発に意欲的に取り組もうとしていたアスカネット <2438> [東証M]で空中ディスプレーの実用化に成功した経歴を持つ。今般の新型コロナウイルス感染防止に有効な非接触技術として内外の注目を集めており、当然ながら、アスカネットは関連株の中核に位置する銘柄となり得る。同社は空中に実像を結像させることに成功した「ASKA3Dプレート」を販売しており、羽田イノベーションシティに採用されているほか、くら寿司 <2695> の店舗での実証実験にも採用されている。

そのほか、日本カーバイド工業 <4064> は、道路標識などに使用される再帰反射シートを製造してきたが、この技術やノウハウを応用して鮮明な映像を再表示させることができる「空中ディスプレー用リフレクター」を製品化している。

また、東通産業(東京都港区)は、空中ディスプレー「AERIAL Magic(エアリアル マジック)」を販売している。高輝度・高画質、スムーズに画像が動く優れた操作性が同商品の特長だ。同社は1958年にソニー <6758> の特約店として設立しており、その後ソニーの厚木テクノロジーセンター内にサテライトオフィスを開設するなど、ソニーとの関係性がある。また、社長の大賀昭雄氏は、教育のICT化を進めるチエル <3933> [JQ]の大株主上位10傑に入っている。一方で、チエル社長の川居睦氏は2012年に東通産業取締役の経歴を持つなど関係が深いことから、教育ICT化における空中ディスプレー活用への思惑にもつながりそうだ。

●三菱電機、NEC、大日印なども高技術

三菱電機 <6503> は、三菱電機エンジニアリングが3Dセンシング技術を用いた「タッチレス機能付タッチパネルモニター」と、空中ディスプレー技術と空間タッチ操作技術を採用した「空中タッチディスプレー」を開発している。凸版印刷 <7911> は従来品と比べ筐体の50%薄型化を実現した空中タッチディスプレーを開発している。薄型化だけでなく左右15度に固定された視野角を活用することで、暗証番号などののぞき見を防止することができる。20年12月からサンプル出荷を開始し、22年の本格量産を目指している。

NEC <6701> では、NECソリューションイノベータが手先・指先をセンシングデバイスでキャプチャーし、フィンガージェスチャーにより非接触で操作できるソリューションを開発。リョーサン <8140> は、表示デバイスを各種レンズを用いて空中上に結像し、モーションキャプチャーデバイスで結像上の映像を操作できる空間結像アイリス面型・空中結像ディスプレーを開発している。ジャパンディスプレイ <6740> は位置に応じた物体からの反射光を再現することにより、裸眼で実物を見ているかのような立体感のある映像を表示できるディスプレーを販売している。

このほか、大日本印刷 <7912> はアスカネットが開発したAIプレート(エアリアルイメージングプレート)を使用し、アイキャッチ効果の高い販促ツールとして販売しており、マークしておきたい。パナソニック <6752> も画面に直接触れることなくインタラクティブな操作が可能な製品として、AIプレートを活用している。また、新光商事 <8141> はアスカネット、NECソリューションイノベータと共同で「AIplay」の空中触覚ユニット付き非接触受付端末を開発している。触覚技術には日本セラミック <6929> の空中超音波送信用振動子などが使われている。

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