横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」―(10)信用残や全体の地合いを確認して、株価の動きを分析しよう

特集
2021年9月3日 11時40分

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆信用残高の推移で個別銘柄の需給を探る

まずは株探の「株価注意報」を使って、信用取引が活発に行われている銘柄を確認してみましょう。「株価注意報」のページでは「信用取引需給」の項目で「信用売り残の増加ランキング」と「信用買い残の増加ランキング」をチェックできます(図1)。ここでは「信用売り残の増加ランキング」をクリックします。すると、2番目にビックカメラ <3048> が表示されています(図2)。表の右側にある「売り残」をみると「10,073,700」と、「対前週増加幅」は「+3,168,300」と記載されており、信用売りの取引が増加していることがわかります。

図1 「株価注意報」の「信用取引需給」

【タイトル】

図2 信用売り残の増加ランキング

【タイトル】

次に、ビックカメラの個別銘柄のページに移ります(図3)。ページ左下の「信用取引(単位:千株)」の枠内の数字を確認しましょう。下の方が日時が古いので、下から上へと日時を確認します。「売り残」は「7/30」が「880.3」でしたが、「8/06」に「1,524.5」、「8/13」に「3,395.1」、「8/20」に「6,905.4」、「8/27」には「10,073.7」と次第に信用売りが増えている様子がわかります。

図3 ビックカメラ <3048> の「信用取引」推移

【タイトル】

そこで、銘柄欄の下のタブから「チャート」を選択して株価の動向を確認してみましょう(図4)。すると、株価が7月12日に1154円の高値をつけた後、下落を続けていることがわかります。つまり、株価の下落を見込んだ投資家が、信用売りの取引を増やしてきた様子がみてとれます。一方、「買い残」をみると、「7/30」には「521.1」であったものが、「8/06」に「527.4」、「8/13」に「607.1」、「8/20」に「770.0」、「8/27」には「646.3」と売り残に比べて低水準ではありますが、こちらも直近の数値を除けば増加しています。株価が安値圏に向けて下落する過程では、どこまで下がるのか見極めたい人が多いこともあって信用買い残は減少していますが、安値水準に近づいたあたりから、そろそろ下げ止まるのではと考える人が増え始め、信用買いの取引を行う人が増えている様子がわかります。

図4 ビックカメラ <3048> 日足チャート

【タイトル】

教科書的には、株価が新安値を更新する場合、さらなる株価下落を狙って信用売りを行うのが基本ではありますが、それは下降トレンドが継続している場合のことです。私たち人間は欲深いもので、「新安値を更新している最中だし、まだまだ下がるだろう」とつい調子に乗って信用売りを仕掛けがちですが、意を決して信用売りを行ったら「そこが底だった」という笑えない事態に陥ってしまうことも少なくありません。株価が反転上昇すれば、膨らむ損失に耐え切れなくなった信用の売り方はいずれ買い戻しを迫られることになり、それがさらに株価を押し上げる「踏み上げ」につながっていきます。新安値を更新中の銘柄の信用売りは、業績や中長期の株価推移を確認し、トレンド転換の兆しには十分に注意することが必要です。


<    >

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.