横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (46)新たなトレンド発生をキャッチ、レンジブレイクで「放れにつく」

特集
2024年1月22日 13時30分

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆トレンドラインのブレイクが重要な売買シグナルに

このように株価の勢いが変化するタイミングを逸早くキャッチするためには、何を参考にすればよいのでしょうか?

人それぞれ分析手法は異なりますが、私は株価の方向性に合わせた売買、いわゆるトレンドフォロー戦略をとっていますので、トレンド分析を重視します。トレンド分析は簡単に述べると、株価の推移から値動きの方向性(トレンド)を分析する手法です。

株価のトレンドは一般的に、①上昇基調、②下落基調、③横ばい(もみ合い)の3つのパターンに分けられます。そして、いずれかのトレンドが始まると一定期間、その動きは続きます。トレンド分析では、株価の方向性を分かりやすく視覚化するために、高値と高値、安値と安値を結ぶ線、いわゆるトレンドラインを活用します。

図3、図4では、日経平均株価は10月上旬、TOPIXは9月中旬以降の推移を鮮明にするためにトレンドラインを引きました。なお、トレンドラインは投資スタイルに合わせて、人それぞれさまざまな期間でラインを引くことができますので、皆さんもトライしてみてください。

●図3 日経平均株価のトレンドライン

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●図4 TOPIXのトレンドライン

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図の高値と高値を結んだ上のトレンドラインを上値抵抗線(レジスタンスライン)、安値と安値を結んだ下のトレンドラインを下値支持線(サポートライン)と呼びます。上値抵抗線は、株価が上昇することを妨げる役割を果たす線であり、一方、下値支持線は株価が下落した際に下げ止まる水準の目安として機能します。

両指数の2本のトレンドラインは、右に行くにつれて株価が上値を切り下げ、下値を切り上げていくことで先端が細くなり、三角形になっていくことがわかります。この三角形を形成する動きを「三角保ち合い」と呼びます(図5参照)。トレンドは上下に株価があまり変動せずに一方向に動くことで生じる場合もありますが、一般的には上下にジグザグと変動しながら上昇、下降、横ばいのいずれかを指向することがほとんどです。「三角保ち合い」はこの上下の振幅が次第に小さくなることで上値抵抗線と下値抵抗線が接近し、先端が細まっていくことで生まれます。

「三角保ち合い」は一見、株価の変動エネルギーが次第に減衰していくように見てとれますが、この期間に次の株価変動に向けたエネルギーをマグマのように蓄積していることがあります。そして、株価はいずれ収束する上値、下値のラインのいずれかを突破し、次のステージに向けて動き始めます。このトレンドラインの突破を「レンジをブレイクする」という風に形容します。

●図5 三角保ち合いとレンジブレイク

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一般にレンジをブレイクする方向に沿って、上昇トレンドか下降トレンドが発生します。株式市場では「保ち合い放れにつけ」という格言があります。保ち合いを上下いずれかに抜けて均衡が破れたポイントをトレンド発生のシグナルと捉え、上放れた場合は買いで、下放れた場合は売りで臨むことを意味します。

今回のTOPIXによる上値抵抗線のブレイクは買いシグナルが点灯した瞬間でしたが、もう一つのポイントは、ハイテクなど値がさ株の影響の大きい日経平均株価に先駆けてシグナルを発したことにあります。株式市場全体の動きを表すTOPIXの動意は全体の地合いが良好であり、幅広い銘柄に買い需要が発生していることを示唆します。過去の動きを踏まえると、TOPIXが先行してシグナルを発生した場合、株式市場は大幅に上昇する可能性が出てきたと考えることができたのです。

なお、注意していただきたいのは、株価がレンジをブレイクしたとしても、セオリー通りにはトレンドが生じず「ダマシ」となるケースもあることです。トレンド分析を含めてテクニカル分析はその結果が100%正しいという絶対的なものではなく、「ダマシ」の発生は避けられません。「ダマシ」であるのか否かは慎重に判断しなければなりませんので、様々な指数のチャートを見るなどして、新たなトレンドが発生したのか、それともダマシにすぎないのかを総合的に判断していくとよいでしょう。

 

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