スマホ・PC市場回復恩恵銘柄と信用倍率の全体悪化と個別株1.0倍近辺【フィリップ証券】
■スマホ・PC市場回復の恩恵銘柄
市場調査会社IDCは四半期ごとのパソコンとスマートフォンの世界出荷台数を公表。8日発表の2024年1-3月の世界パソコン出荷台数は前年同期比1.5%増の5980万台と、インフレ鈍化を受けて約2年ぶりのプラス転換。また、14日発表の2024年1-3月の世界スマートフォン出荷台数が前年同期比7.8%増の2億8940万台と、前四半期(同8.5%増)に続いて回復傾向を示した。いずれも、年後半に向けて「生成AI(人工知能)」活用新製品が期待される。
この恩恵を最大限に享受しやすい米国株の1つとして挙げられるのは省電力性能の高い半導体チップ設計の英アーム・ホールディングス<ARM>。同社は半導体設計ライセンス世界スマホ市場の99%超の独占企業。スマホ以外の市場はシェア拡大によるプラスアルファも見込まれよう。日本株では、アームの親会社であるソフトバンクグループ <9984> が挙げられよう。
■信用倍率の全体悪化と個別株1.0倍近辺
東証が16日に発表した12日申し込み時点の信用取引買い残(2市場制度信用・一般信用合計)は3週連続増の4兆5953億円と2006年7月以来の高水準を更新。買い残を売り残で割った倍率(信用倍率)も4/5基準で2016年1月以来の6倍超えまで上昇。端的に言えば日本株全体の需給は近い将来の潜在的売り圧力が高い状態で、上値追いのハードルは高い。
他方、個別銘柄では信用買い残の減少または信用売り残の増加により信用倍率が急低下し、買い残と売り残が均衡する1.0倍近辺になった銘柄もある。4/12基準で見た場合の主な銘柄を挙げると、MonotaRO <3064> 、花王 <4452> 、安川電機 <6506> 、東京瓦斯 <9531> などである。これらの他にも、And Doホールディングス <3457> は3/29以降の売り残急増により3/8基準までの100倍超から足元4/19基準で1.11倍まで低下している。なお、安川電機は4/19基準で1.52倍へ上昇している。
信用倍率が1.0倍を下回る「売り長」ならば潜在的買戻し需要が株価上昇圧力になり得ることから、1.0倍近辺でのせめぎ合いも期待される。需給悪化銘柄から需給良化銘柄への入れ替えも検討されよう。
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
<日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項>
・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。
※フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。