中国本土個人の香港株配当課税が免除された場合の影響に関する考察【フィリップ証券】
■中国本土個人の香港株買いに係る配当課税免除への期待
個人投資家が「ストックコネクト(中国本土と香港の株式市場の接続)」を通じて購入した香港株について、中国当局が20%かかる配当課税を免除する案を検討していることが5/10に報道された。香港では配当金は非課税であることから中国本土の投資家と公平に扱うことや二重課税を避けることが目的とみられる。
中国当局の相次ぐ政策を評価して海外投資家の資金流入が続く中で、中国本土と香港に重複上場する銘柄の乖離が5年ぶりの高水準となるなど本土株に対する香港株の割安度合いが大きいこともその大きな要因とみられる。4月以降はハンセン指数が日米欧の主要株価指数を大きく上回るパフォーマンスを示している。
■恩恵を受けるのは香港取引所と高配当利回り銘柄
ストックコネクトを通じた香港株の売買が拡大することで直接的な恩恵を受けると見込まれる代表的銘柄は香港取引所(388香港)だろう。4/24発表の24年1-3月期決算では、中国本土向け(北行き)取引金額が前年同期比37%増。配当課税免除案が決まれば本土から香港向け(南向け)の増加も期待される。足元業績は現物株式と有価証券デリバティブが伸び悩むも傘下のLME(ロンドン金属取引所)を通じた非鉄金属などコモディティ取引増加が加速している点は注目される。
本土株の配当課税免除で恩恵を受けるとみられる高配当利回り銘柄も買いが加速。ハンセン指数構成銘柄の中で高配当利回りとして知られる国有企業系銘柄も予想配当利回り(直近発表の配当額を支払い頻度に応じて年率換算したもの)が、概ね1月下旬から大幅ピークアウトに転じた。予想配当利回りでは1/22に10%超だった銘柄も足元で6~7%台となるなど、国有企業系で信用力の高い銘柄が他市場との比較で「特別に異様な」高配当利回りで放置されることが無くなってきている。
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