エヌビディア・タイム、決算発表振り返り【フィリップ証券】
日本株の足元の環境は必ずしも悪くない。半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>が10日に発表した月次(4月)売上高が前年同月比約60%増とサプライズな内容だった。現地22日に予定されているエヌビディア<NVDA>の四半期決算発表に向けて、日経平均株価への寄与度の高い生成AI(人工知能)とAI半導体に関連する銘柄が買われやすい状況にある。
他方、信用取引の買い残を売り残で割った「信用倍率」や日経平均の「先物売り・現物買い」ポジションの裁定買い残などで見た需給改善は遅れている。「平成バブル」の象徴である嘗ての終値ベース史上最高値3万8915円、かつ、3/22高値から4/19安値まで下落した値幅半値戻し水準を20日に漸く上抜いてきたものの、先物売り建てのストップロスやコールオプション売り建てに係るデルタヘッジの先物買いの域を出ておらず、エヌビディア決算発表が「材料出尽くし」と受け取られた場合に再び下値を試すかどうか予断を許さないだろう。
15日までで2024年3月期四半期決算発表がほぼ一巡した。振り返って注目すべき点として以下3点が挙げられる。
(1)昨年から業績上方修正を続ける中での株価調整局面にあり、再度の上方修正可能性が高く「織り込み済み」リスクが限定的とみられた銘柄。生成AIの中核となる機械学習・深層学習に係るサービス提供のPKSHA Technology <3993> が挙げられる。
(2)全体業績は冴えず発表直後に急落したものの、成長期待の高い先端半導体製造関連事業セグメントが堅調だったことから翌日から急速な戻り上昇に転じた銘柄。先端半導体向け露光装置を擁するキヤノン <7751> 、EUV(極端紫外線)露光用フォトマスクブランクスを擁するAGC <5201> が挙げられる。
(3)事業再編・再構築による一時的費用を前倒しで大幅計上することで近い将来の業績回復への期待を高めた銘柄。既に回復過程に入ったと見られる花王 <4452> 、構造改革費用を前倒し計上した資生堂 <4911> などが挙げられる。
決算発表前に買うべき銘柄、あるいは、基本的な評価が変わらない中で発表後に急落したら拾うべき銘柄など、決算発表を好機と捉えて予め見定めておくことが望まれよう。
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