伊藤智洋が読むマーケット・シナリオ【週間展望】 8月18日版
日経平均株価は、日柄をかけて3万1156円を目指す流れへ入る公算
1. 日経平均株価の8月中の展開は2通りが考えられる
図1は、本年と同様、8月の 日経平均株価が月初から一本調子の下げを経過した年の8月の値動きです。
1990年から2023年までの期間で見ると、8月が月初から一本調子に下げた年は「急落後、押し目をつけた後、すぐに上昇を開始して月末頃まで上値を試す動きを経過する展開(パターン1)」と、「急落後、安値圏で保ち合いになるか、月末まで下降の流れを継続する(パターン2)」のどちらかになっています。
パターン1とパターン2の違いは、月末まで上昇の流れを作るか、月末まで上値重い動きとなるかです。パターン2の場合、当然、8月の月初の高値を月末まで超えることなく推移します。
図1 日経平均株価の月の値動きのパターン
本年は8月5日に押し目をつけた後、すぐに上昇を開始していますが、8月1日高値の3万8781円を超えていないため、まだパターン2の展開になる可能性を残しています。
8月16日の高値は、3万8143円です。1日の高値3万8781円まであと638円に迫っています。
本年がパターン2の展開になるには、週明け後、すぐに上値を抑えられた後、3万8143円が意識される格好で上値の重さを確認して下降の流れへ入る必要があります。
言い換えると、週明け後の価格が下げても、上値の重さを示す動きにならなければ、本年8月は月末まで上昇の流れを継続して、パターン1の展開になる可能性が出てくるということです。
ところで、8月がパターン1、パターン2のどちらになるかによって、8月以降の値動きに違いが表れています。
パターン1になる場合、8月以降も下値堅く推移して、上値を試す動きとなっているケースが目立ちます。
1992年は、8月の安値が年間の最安値となって、8月以降、年末まで下値堅く推移しています。
2003年、2016年は、8月の安値を割れることなく、年末まで堅調に推移して、年末へ向けて年間の最高値を更新しています。
2004年は、8月の安値を割れることなく、下値堅く推移しています。
パターン2になる場合、8月以降も下げの流れを継続するか、上値重く推移しているケースが目立ちます。
1990年、1991年、1997年、1998年、2007年、2011年は、どの年も年末まで下げの流れを作っています。
2010年は、9月上旬の安値が年間の最安値となって、その後、堅調な展開となっています。
2019年は、8月の安値が押し目になって、年末へ向けて上昇しています。
2023年は11月まで上値重く推移しています。