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戻りを試す日本株とドル円相場~いつまで続くのか?【フィリップ証券】

市況
2025年4月30日 14時41分

日本株は、ドル円相場とともに戻り上昇を試す局面にある。日経平均株価は4/7に一時3万0792円と、昨年8月に付けた2024年安値の3万1156円を下回ったが、その後反転し、4/7から数えて15営業日目の4/25には3万5800円台まで上昇。トランプ米政権が相互関税を一時的に発動して大幅に下落した直前4/2終値(3万5725円)を回復した。また、ドル円相場は23年12月下旬、24年9月中旬に続き、25年の4/22に1ドル140円水準までドル安円高が進行したものの、その後、反転して4/25には1ドル143円台までドル高円安が進んだ。トランプ米大統領がパウエルFRB議長を解任する意図がないと言明したこと、米中貿易摩擦が緩和の方向に向かい始めたこと、および、日米財務相会談で通貨目標が一切ないとされたことなどが日本株とドル円相場の戻り上昇を後押ししている。

この動きはいつまで続くのだろうか? 先ず、企業決算の発表における会社業績予想の動向が鍵を握るだろう。トランプ関税の影響を合理的に見積もれないとして通期予想の開示を控える企業が出始めている。高コストで損益分岐点が高ければ、利益の変動幅が大きくなり過ぎて開示が難しくなる面がある。また、予想PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が相対的に高い企業は、将来期待で買われる面が強いことから、「期待で買って、開示できないという現実で売る」ということになりやすいと考えられる。

次に、2024年の金融環境が2007年と類似していたことから、2025年前半の景気・株価サイクルも2008年前半が参考になる。日経平均株価は、2007年6月下旬に1万8297円まで上昇後、反転して売り基調となり、2008年3月中旬に1万1691円まで下落。その後、6/6の1万4601円まで上昇期間が継続した。2025年も米国による相互関税の一時停止が90日間あることから、5~6月までは交渉による関税撤廃・緩和への期待が継続しやすいだろう。ただ、その後は、実体経済悪化に伴う企業業績への不安や参議院選挙に向けた不透明感などが株価の上値を重くする展開が考えられる。

東京証券取引所が4/24、上場会社に対し、個人が求める投資単位の水準を10万円程度と指摘するアクションプランに触れた。この水準は個人投資家へのアンケート調査に基づく参考値として位置づけられる。投資単位を下げるには株式の10分割以上が必要になる企業も少なくないと見られる。大幅株式分割により若年層の投資資金が流入すれば、株価にも好影響が期待できるだろう。

2025年3月期決算発表または業績予想修正では、内需関連の中でも建設に好調なものが多い。材料費高騰や人手不足によるコスト増加分を、契約見直しや設計変更、工事の追加などにより転嫁することで大型工事の利益率が高まる傾向が見られる。

■アジア消費関連株が資金逃避先~主力は香港株も、日本株の出遅れは魅力

世界的貿易戦争が激しくなる中、アジア消費関連株が恩恵を受けている。ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、4/2の米追加関税発表後に公表したレポートでアジアの生活必需品株への投資を推奨。その中でも香港上場の食品(康師傳や統一企業中国控股)、菓子(中国旺旺集団)、ビール(華潤ビール)などのメーカーのほか、ミネラルウォーター(農夫山泉)、火鍋レストラン(海底撈国際控股)など香港上場銘柄の株価が年初から堅調に推移。

即席麺では、日本の日清食品ホールディングス<2897>も中国で康師傳(カンシーフー)と同様に人気だが、香港ドル換算で見た昨年末以降の株価騰落率では、日清食品が出遅れている。同じアジア消費関連銘柄でも、香港株と比べて日本株が出遅れている面もあるだろう。

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■円相場は過度な円安の歪みあり~他の主力通貨と比較して大幅な出遅れ

トランプ米大統領がパウエル米FRB議長の解任を検討しているとの報道を受けて、ドル指数(複数の主要通貨に対する米ドル相場を指数化したもの)が4/21に2022年3月以来の安値を付けた。2022年2月末を100とした場合、4/23終値は、ドル指数が103.23、ユーロが対米ドルで100.86、スイスフランが同110.39であるのに対し、円は80.15と低水準にとどまる。

日本の長期金利が2023年初から緩やかな上昇基調を継続していた中、2023年10月頃までは、米国や欧州の長期金利上昇が急だったことから為替が円安に振れたことは自然な動きだった。その後、米国や欧州の長期金利の上昇が一服した後も円安が進んだことは、円相場の出遅れを際立たせた面があるだろう。

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参考銘柄

鉄建建設<1815>

・1944年に国内産業の根幹である陸運輸送力の確保・増強の国策の一環で鉄道建設興業として設立。土木工事・建築工事が主な事業。鉄道工事で首位級。JR東日本<9020>の持分法適用会社。

・2/13発表の2025/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比5.1%増の1394億円、営業利益が同173%増の26億円。期首手持工事の増加、大型工事の順調な進捗、追加変更や新規追加の契約締結が増収に寄与。大型工事における価格転嫁交渉が奏功し、利益率改善につながった。

・4/22に通期会社計画を上方修正。売上高を前期比1.4%増の1861億円(従来計画1840億円)、営業利益を同265%増の35億円(同29億円)、年間配当を同22円増配の122円(同110円)とした。4/24終値で予想PER11.1倍、PBR0.55倍。投資家の注目が内需株の代表格である鉄道株に向かう中、駅前再開発など、電鉄会社の非交通事業における不動産事業の成長性に注目が集まっている。

杏林製薬<4569>

・荻原廣が関東大震災を機に独立し、1923年に現・東京都大田区に東洋新薬社を創立。1931年に杏林科学研究所を設立。医薬品の製造、販売・仕入を行う。ぜんそく薬や去痰剤等を主力とする。

・2/5発表の2025/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比2.3%増の892億円、営業利益が同35.1%減の31億円。新薬の伸長が薬価改定や後発医薬品の減収を吸収。一方で、導入品(他社で開発した医薬品候補の権利を取得するもの)獲得に伴う研究開発費の増加が利益面で響いた。

・4/23に通期会社計画を上方修正。売上高を前期比8.8%増の1300億円(従来計画1234億円)、営業利益を同100.5%増の125億円(同65億円)とした。年間配当は同横ばいの52円で据え置き。自社創製化合物についてスイスのノバルティスとのライセンス契約に基づく契約一時金収入5500万USDを計上。今後の売上高次第で最大7億7750万USDに加え、段階的ロイヤリティを受け取る権利が発生。

日本信号<6741>

・1928年設立の信号機器国内最大手。鉄道・道路信号に強い。交通運輸インフラ事業(鉄道信号とスマートモビリティ)、ICTソリューション事業(AFC:自動料金収受システム、スマート・シティ他)を営む。

・2/4発表の2025/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比11.7%増の637億円、営業利益が同66.9%増の23億円。受注高は5.1%減の738億円。売上高は2事業ともに増加。セグメント損益はICTソリューション事業(売上比率53%)が78%増の一方、交通運輸インフラ事業(同47%)は69%減。

・4/23に通期会社計画を上方修正。売上高を前期比8.4%増の1068億円(従来計画1000億円)、営業利益を同45.1%増の99億円(同80億円)、年間配当を同12円増配の43円(同31円)とした。新紙幣対応に加え、鉄道事業者が業績改善に伴い安全設備投資を増やした恩恵を受けた。国土交通省が交差点設置センサーで車や人の動きを把握する仕組みの技術標準作りに取り組む点も追い風だ。

松田産業<7456>

・1956年に卵白の販売を目的として松田商店を設立。貴金属関連事業(貴金属回収製錬、貴金属地金・電子材料の販売、産業廃棄物の収集・運搬・処理)および食品関連事業を主に営む。

・2/13発表の2025/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比28.5%増の3486億円、営業利益が同51.2%増の108億円。売上比率76%の貴金属関連事業は、28%増収、営業利益が65%増の87億円。貴金属リサイクル取扱量が増えた。食品関連事業は、3%減収、営業利益が13%増の21億円。

・通期会社計画は、売上高が前期比22.0%増の4400億円、営業利益が同25.1%増の117億円。年間配当は同15円増配の75円(従来計画70円)へ増額修正。金市況の堅調な推移に加え、電子デバイス分野の生産が停滞し、スクラップからの回収が伸び悩む中でも宝飾分野からのリサイクル取扱量を増やしており、景気に左右されにくい点が注目される。金価格上昇の恩恵が引き続き期待される。

※執筆日 2025年4月25日

フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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