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決算発表一巡後に動き出した主要テーマ~債券市場動向が鍵【フィリップ証券】

市況
2025年5月28日 15時22分

米中貿易摩擦の緩和、米国と各国との関税交渉進展への期待に続き、トランプ米大統領の中東3ヵ国歴訪に伴う半導体輸出規制の緩和と巨額投資の約束の取り付け、外国の脅威から米国を守るための大規模な次世代ミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」構築計画など、株式投資の好材料が出てきている。

5月中旬で3月決算銘柄に関する決算発表と業績見通しが出揃ったことは、材料出尽くしとみられる一方、出揃った材料を基に、証券会社が投資判断の格付けを見直すタイミングとなる面もある。同じ業種でも、高ROE(株主資本利益率)銘柄や中期経営計画でROE向上のための選択・集中、事業や資本の再編を図る銘柄の評価が上がりやすい面が強まることもあるだろう。

トランプ氏の中東歴訪でサウジアラビアとの蜜月が強調された。サウジアラビアの「ビジョン2030」国家政策の下、同国はエンターテイメント大国としてアニメやゲームのキャラクター権利(IP)獲得を目指してしており、IP関連銘柄は注目されやすい。特に最近は、IPを活用したトレーディングカード・ゲームが海外で大人気である。

最近は中国で開催されたヒト型ロボットのマラソン大会が話題となっている。日本時間5/29早朝に決算発表が予定されている米半導体大手エヌビディア<NVDA>も先端AI(人工知能)半導体のヒト型ロボットへの適用を大きな事業チャンスと捉えている。ファナック<6954>や安川電機<6506>などロボット関連銘柄を証券会社が投資判断を格上げする動きも出始めた。

7月の参院選を控え、高止まりが続くコメの店頭価格を中心に政局が動き出した。備蓄米の一般競争入札でJA(農協)が大半を落札する状況が続く中、石破政権は備蓄米の随意契約による売り渡しの検討を打ち出した。小泉新農水大臣とJAとの対立が過熱すれば、かつて2005年9月の小泉純一郎首相の下での「郵政選挙」のように選挙の争点として有権者の耳目を集めそうだ。日本株の上昇に向けての舞台装置としては興味深い展開だろう。

問題は債券市場と「米国売り」の動向だ。超長期の30年国債利回り(5/22終値)は、格付け最高位(トリプルA格)のドイツ国債で3.17%、ダブルAプラス格の米国債で5.04%に対し、シングルA格の日本国債は3.18%。長期国債(10年ゾーン)で日銀が買い入れオペをしているとはいえ、超長期ゾーンの利回りがドイツ国債と同水準なのは均衡を欠いている。それに加え、トランプ米政権による税制・歳出法案が可決すれば、連邦債務増加を嫌気した米国債売り・米ドル売りが出やすくなり、円高が進む可能性が高い。これらは短期的に日本株の下落要因になるとみられる。

■日経平均200日・200週移動平均~下向き200日戻り高値・200週下値目処

日経平均株価の日次終値は5/13-15の3日間、200日移動平均線を上回った後、5/16以降に再び下回った。200日移動平均価格の過去最高値は1/9の3万8706円であり、5/21の3万7821円まで緩やかに下降している。200日移動平均が下落する中では、戻り売り圧力の強さに押されて上昇継続が難しかったと考えられる。今後も相場の戻り上昇局面で移動平均線の傾きが重要となるだろう。

過去6年間の日経平均株価の推移を見ると、下落局面では週次終値の200週移動平均価格近辺から反転上昇する傾向が見られる。終値の2025年最安値は4/7の3万1136円で、その前週末までの200週移動平均価格は3万2009円だった。上昇基調の200週移動平均線を割れた水準が押し目買い好機となった。

【タイトル】

参考銘柄

東鉄工業<1835>

・1943年に当時の鉄道省からの要請で東京鐡道工業として設立。JR東日本<9020>が18.6%の株式を保有。鉄道保守や駅舎工事等JR東日本関連工事が大半を占める。土木、建築事業を主に営む。

・5/15発表の2025/3通期は、売上高が前期比12.8%増の1600億円、営業利益が同32.1%増の155億円。受注高が同3.1%減の1494億円。「JR東日本および公営・民間鉄道」、「鉄道近接工事など鉄道関連分野」、「公共事業体および民間事業者」の3つの重点事業領域を中心に受注活動を展開。

・2026/3通期会社計画は、売上高が前期比3.1%増の1650億円、営業利益が同3.1%増の160億円、年間配当が同5円増配の140円。受注高は同6.7%減の1394億円。JR東日本は同社のほかに筆頭株主として、土木大手の鉄建建設<1815>で17.6%、鉄道電気工事の日本電設工業<1950>で18.9%の株式を保有。人材不足が深刻化する中、JR東日本を中心に提携関係強化が見込まれる。

ジャパンエンジンコーポレーション<6016>

・1910年に神戸市で神戸発動機製造所を創立。船舶用内燃機関(主機関)の製造販売が主な事業内容。三菱重工業<7011>が14.8%の株式保有。関連会社で水素燃料エンジンの開発・設計を行う。

・5/13発表の2025/3通期は、売上高が前期比37.6%増の288億円、営業利益が同132.6%増の50.9億円。受注高は同2.4%減の296億円、3月末受注残高は同3.1%増の273億円。事業別売上高は、売上比率58%の舶用内燃機関(主機関)が77%増収、同42%の修理・部品等が5.3%増収だった。

・2026/3通期会社計画は、売上高が前期比0.9%増の291億円、営業利益が同6.5%減の47.6億円、年間配当が80円(株式分割考慮後で同4円増配)。新造船市場が長期的な好況局面に突入する中、同型エンジンの連続生産による製造効率化、船舶の高稼働運航によるアフターサービス伸長が見込まれる。トランプ政権が中国船籍の入港規制を表明。日本の造船所への発注増が期待される。

ライフコーポレーション<8194>

・1978年に清水実業(1956年設立)がライフを吸収合併。食料品販売を中心に生活関連用品・衣料品の総合小売業を営む。三菱商事<8058>の持ち分法適用会社で首都圏と近畿で集中展開する。

・4/10発表の2025/2通期は、営業収益が前期比5.0%増の8504億円、営業利益が同4.8%増の252億円。主な部門別売上高は、生鮮食料品が6%増の3597億円、一般食品が5%増の3669億円、生活関連用品が3%増の693億円、衣料品が1%減の228億円。売上高販管費率が1.2ポイント改善。

・2026/2通期会社計画は、営業収益が前期比4.1%増の8850億円、営業利益が同1.7%増の257億円、年間配当が65円(株式分割考慮後で同10円増配)。同社は岩崎社長をはじめ三菱商事が経営陣の人材供給源となっている。三菱商事は食品業界の環境変化への対応で5/8、子会社の三菱食品<7451>に対し完全子会社化を目的に株式公開買付を発表。食品小売りへの対応も見込まれる。

吉野家ホールディングス<9861>

・1958年に牛丼専門の吉野家を設立。牛丼老舗で国内2位の「吉野家」のほか、セルフ式讃岐うどん「はなまる」の店舗経営およびFC店舗への経営指導を行う。米国・中国・マレーシア他で海外展開。

・4/10発表の2025/2通期は、売上高が前期比9.3%増の2049億円、営業利益が同8.4%減の73億円。2月末グループ店舗数は同55店舗増(国内51店、海外4店)の2821店。既存店増収率は、国内が6%増(吉野家7%増、はなまる8%増、ラーメン6%増)、海外が5%減(米国4%減、中国7%減)。

・2026/2通期会社計画は、売上高が前期比9.8%増の2250億円、営業利益が同1.3%増の74億円、年間配当は同横ばいの20円。同社が5/19に発表した中期経営計画で「ラーメンを第三の柱に育て、10年後に提供食数で世界首位」の戦略目標を掲げた。原材料価格の高騰が利益率圧迫要因となる中、海外での日本食人気が上昇中で、牛丼よりも客単価の高いラーメンへの取組みは注目される。

※執筆日 2025年5月23日

フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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