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中東情勢緊迫化に逆行上昇の日本株、月替わり反動に要警戒【フィリップ証券】

市況
2025年6月25日 17時03分

イスラエルのイラン攻撃を巡り、米国の関与、およびそれに対抗したイランのホルムズ海峡封鎖などによって金融市場が大きく混乱するのではないか等の不透明感が市場を覆っている。ところが、中東情勢の緊迫化と逆行するかのように、日経平均株価は上昇を続けた。この背景には何があるのだろうか?

第1に、6/15-17に開催されたG7サミット(主要7ヵ国首脳会議)の声明で「AI(人工知能)の導入拡大は電力網への負担を増大させる」として、データセンター(DC)の運用を最適化するため技術や知見の共有を進めることが盛り込まれたことがある。これがAI半導体関連およびDX関連銘柄への買いの契機となった。

第2に、6/5に発売された任天堂<7974>の「Nintendo Switch 2」の米国における初週販売台数が好調だったことを受けて、ゲーム関連やキャラクター関連銘柄が賑わったことが挙げられる。

これらを背景に、6/13の先物・オプション最終決済に関する「メジャーSQ」のイベントを通過して、中東情勢緊迫化の報道を受けて先物やコールオプションで売り建てを行っていた短期筋が、損失回避の買い戻しを迫られ、「先物主導の買い」が発生したとみられる。「米国ファースト」を標榜するトランプ米大統領に対し、中東戦争に参戦することになれば岩盤支持層の支持を失いかねないとして、危機がこれ以上深刻化しないとの見方から「中東情勢による売り」を押し目買いの好機と捉える投機筋の存在も推察される。

国内政治では、野党からの内閣不信任決議案提出が見送られ、衆院解散総選挙は無くなった。それ自体は日本株にとって好材料を逸した形だが、7/20投開票の参院選に向けて、コメ価格の高騰を抑制することや国内生産を維持することに向けた政策が議論されることになれば、関連銘柄を刺激する可能性があるだろう。

米国による相互関税上乗せ部分の猶予期限である7/9が近づいている。米商務省は今後数週間以内に、半導体や医薬品、重要鉱物など、国家安全保障上の観点から重要と見なされる分野に関する調査結果を公表する見通しだ。米国際貿易裁判所が米国による世界的な関税を巡り、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく追加関税が違法との判断を示した。これを受けて貿易相手国・地域で安堵の声が広がったが、鉄鋼やアルミニウムと同様に、通商拡大法第232条の権限に基づいて幅広い分野の輸入品に関税が課される可能性があることは警戒すべきだ。6/30は公務員の夏の賞与支給日であるほか、3月決算企業の配当金支払日も多い。また、米国企業の中間期末に当たることから6月末に向けて為替相場も資金還流に伴うドル高となりやすい。1年で最も良好な需給が見込まれる時期だろう。その分、月替わり後の反動の大きさには要警戒だ。

■データセンターで注目の電線株~光ファイバーケーブル等AI向け先端素材

データセンターは従来、安定した通信環境の提供に重きが置かれてきた中、近年はAIの進化で膨大な情報を短時間で処理する能力が求められている。電線大手各社はAIデータセンター向け光ファイバーケーブルなど関連部材の需要増を背景に業績を拡大している。

情報通信関連部門の売上構成比が高いフジクラ<5803>は、6/19終値のPBR(株価純資産倍率)が4.67倍と、電線大手3社の中でも際立った水準である。古河電気工業<5801>は光ファイバーケーブル関連部材の製造能力の大幅増強を計画している。米エヌビディア<NVDA>は年内に、「光電融合」の技術を搭載したプロセッサーの発売を予定。住友電気工業<5802>は、このプロセッサー開発におけるパートナーに指定されている。

【タイトル】

参考銘柄

ダスキン<4665>

・1963年に鈴木清一が大阪市でサニクリーン社を創業。ダストコントロール商品レンタルのフランチャイズチェーンを開始。訪販グループ(ダスキン)およびフードグループ(ミスタードーナツ他)を営む。

・5/15発表の2025/3通期は、売上高が前期比5.6%増の1887億円、営業利益が同43.0%増の72億円。訪販Gは、売上高が同1%増の1084億円、営業利益(内部取引消去前)が前期のRFID取り付けに伴う原価低減により同38%増の57億円。フードGは、売上高が同14%増の667億円、営業利益(内部取引消去前)が同24%増の85億円。

・2026/3通期会社計画は、売上高が前期比3.3%増の1950億円、営業利益が同8.7%増の79億円、年間配当が同3円増配の115円。6月に発売したミスタードーナツ(ミスド)新商品「もっちゅりん」が人気沸騰。同社はミスドを日本のほかタイ、フィリピン、台湾、インドネシア、シンガポールにも出店。日本のミスドを利用した訪日外国人客が帰国後に自国内のミスドを利用する好循環が見込まれる。

デクセリアルズ<4980>

・1962年にプリント基板用接着剤付き銅箔の製造・販売を行うソニーケミカルを設立。2012年にVGケミカルが同社を吸収合併しデクセリアルズを設立。光学材料部品、電子材料部品の2事業を展開。

・5/12発表の2025/3通期は、売上高が前期比4.9%増の1103億円、事業利益が同11.7%増の380億円。光学材料部品は、売上高が同2%減の506億円、事業利益が同5%減の145億円。電子材料部品は、売上高が同11%増の604億円、事業利益が同25%増の235億円。フォトニクス分野が貢献。

・2026/3通期会社計画は、売上高が前期比6.2%減の1035億円、事業利益が同23.8%減の290億円、年間配当(株式分割の影響考慮後)が同横ばいの58円。サーバー内で処理された電気信号を光信号に相互変換する部材で、光を使った高速通信に不可欠な製品である「フォトダイオード」が急成長。「光トランシーバー」と呼ばれるモジュールを扱うメーカーを通じてデータセンターに供給する。

井関農機<6310>

・1926年設立の農機専業メーカー。稲作・野菜作等に関連する農業用機械の開発・製造・販売を主な事業内容とし、「開発・製造部門」、「販売部門」、「その他部門」から構成。農機で国内シェア3位。

・5/15発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比5.0%増の461億円、営業利益が同88.1%増の13.8億円。売上比率57%を占める国内売上高は米価上昇を受けて同9%増収。農機製品の販売が回復する中、作業機・補修用部品・修理整備等のメンテナンス収入が16%増収と伸長。

・通期会社計画は、売上高が前期比1.2%増の1705億円、営業利益が同35.4%増の26億円、年間配当が同横ばいの30円。7/20に投開票となる参院選に向けて、コメ価格高騰を抑える政策が議論の中心となることが見込まれる。国内生産拡大のためコメ農家への所得補償が実現すれば同社にとって追い風だろう。また、政府による備蓄米放出によりコイン精米所の運営収入増加が加速している。

ダイキン工業<6367>

・1924年に大阪金属工業所として航空機用部品等で設立。空調・冷凍機事業(住宅・業務・舶用)、化学事業(冷媒・フッ素)、その他事業(油機・特機製品含む)を営む。エアコンは世界首位級。

・5/8発表の2025/3通期は、売上高が前期比8.1%増の4兆7523億円、営業利益が同2.4%増の4016億円。売上比率92%の空調・冷凍機事業の内、米州(地域別構成比40%)が11%、欧州(同16%)が7%、日本(同15%)が10%、中国除くアジア(同12%)が18%それぞれ増収。中国は7%減収。

・2026/3通期会社計画は、売上高が前期比1.8%増の4兆8400億円、営業利益が同8.3%増の4350億円、年間配当が同横ばいの330円。空気中の熱活用でCO2排出量削減に繋がる高い省エネ性能の暖房設備「ヒートポンプ」は欧州で販売が2022年以降に減少傾向にあった。今年1月にウクライナ経由天然ガスパイプラインが停止したことから天然ガス価格が上昇。省エネ機器の需要反転の兆し。

※執筆日 2025年6月20日

フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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