概要・株価
チャート
ニュース
かぶたん ロゴ
PR

日本株は出遅れ修正、東証スタンダード・グロース堅調の背景【フィリップ証券】

市況
2025年7月9日 15時52分

7月に入り、2025年の中間地点を折り返した。日本株は4月に急落後、急速な戻りを示した。日経平均株価終値は、3月末決算銘柄の配当金支払や月末の夏の賞与支給など6月特有の需給の良さを背景に、6月末は昨年末比1.6%上昇とプラスを確保した。その点だけ見ると非常に相場の勢いが強く感じるが、グローバル株式市場を見ると必ずしもそうではない。

主要株価指数について6月末終値の昨年末終値に対する騰落率を見ると、ドイツDAX指数が+20.1%、香港ハンセン指数が+20.0%、インドSENSEX指数が+7.0%、米国S&P500指数が+5.5%と、日経平均株価を上回る。特にドイツは、財政規律に関する憲法の規定を改正し、国防費の増額やインフラ投資の拡大を進めたほか、欧州中央銀行(ECB)による連続利下げなど、財政拡大・金融緩和のポリシー・ミックスのバランスの良さが目立った。香港ハンセン指数の堅調な推移も同様に中国政府による財政政策と金融緩和の両輪が揃ったことが背景にある。日本株の上昇は、グローバル株式市場における出遅れの修正という側面が強く、海外投資家がポートフォリオのリバランスの観点から、相対的に堅調な市場への投資資金の一部を日本株にシフトしていると推察される。海外投資家の日本株に対する現物と先物の合計も6/27まで11週連続で買い越しとなっている。

同様に日本株市場の中の主要株価指数について6月末終値の昨年末終値に対する騰落率を見ると、TOPIX(東証株価指数)が+2.4%であるのに対し、上場不動産投資信託(J-REIT)から構成される東証REIT指数が+7.6%と堅調に推移した。TOPIXを市場ごとに見た場合、東証スタンダード指数が+8.9%、東証グロース指数が+16.7%と、TOPIXを大幅にアウトパフォームしている。

東証REIT指数の堅調な推移の背景には、欧米主要国の利下げ局面入りに加え、REITの投資口価格を不動産のNAV(純資産価値)で割ったNAV倍率が1.0倍を軒並み下回るまで売られたことに伴う水準訂正の動きが見られる。

東証スタンダード市場や東証グロース市場の堅調な推移の背景には、AI(人工知能)を活用した先端的なビジネスなどの成長性への期待だけではなく、2025年3月に上場維持基準に関する経過措置が終了したことも挙げられる。3/1以後に到来する基準日からは本来の上場維持基準が適用され、それに適合しない状態となった場合には原則として1年(売買高基準に関しては6ヵ月)の改善期間に入り、改善期間内に基準に適合しない場合は監理銘柄・整理銘柄(原則として6ヵ月)に指定後、上場廃止となる。基準日における判定で上場維持基準が未充足の場合は、基準日から3ヵ月以内に適合計画を開示し、訂正・変更が生じた場合は速やかに開示することとされる。

■日米関税交渉と参院選後の金利~関税適用済み業種と超長期金利動向

7/4現在、日米関税交渉でトランプ大統領が対日姿勢を硬化させている。自動車は既に4月から25%、鉄鋼は6月から50%の関税が課されている。TOPIX33業種別の指数で「輸送用機器」および「鉄鋼」は、TOPIXと対照的に5月以降、下落基調に転じた。7/9が猶予期限の国別相互関税が従来通りの24%にとどまる場合、悪材料が出尽くしたとしてTOPIXに対する割安感から反発に転じる可能性がある。

参議院選挙では現金給付や消費減税が争点だ。国債増発懸念から超長期ゾーンの国債利回りへの上昇圧力となっている。財務省は国債発行計画を7月から急遽見直した。日銀も来年4月からの国債買い入れ減額幅の縮小を決めた。選挙結果次第では、国債の増発が株価の上値を抑える要因となる恐れがある。

【タイトル】

参考銘柄

TOTO<5332>

・1917年に現ノリタケカンパニーリミテド<5331>から衛生陶器事業を分離独立。温水洗浄便座「ウォッシュレット」やバス・キッチン・洗面商品が主製品。日本住設、海外住設、新領域の3事業を営む。

・4/28発表の2025/3通期は、売上高が前期比3.2%増の7244億円、営業利益が同13.4%増の484億円。日本住設(売上比率66%)が3%増収、海外住設(同27%)が売上横ばい、新領域(同7%)が38%増収。新領域は半導体製造装置向け静電チャックが伸びて、営業利益が85%増の204億円。

・2026/3通期会社計画は、売上高が前期比4.0%増の7535億円、営業利益が同8.3%増の525億円、年間配当が同横ばいの100円。2025/3通期は、不動産不況で苦戦が続く中国では2工場を閉鎖して341億円の減損損失計上。一方、米国は売上高が前期比20%増収の705億円。ウォッシュレットはメキシコ生産分がUSMCA適合で関税猶予。東南アジア生産分の関税は値上げで吸収する方針。

鈴茂器工<6405>

・1961年設立。「すしロボット」や「盛り付けロボット」等の米飯加工機械の製造・販売を主とする他、アルコール系洗浄剤・除菌剤等の衛生資材の製造・販売を行う。和食人気を背景に海外展開に注力。

・5/13発表の2025/3通期は、売上高が前期比7.9%増の155億円、営業利益が同28.1%増の18億円。国内(売上比率68%)は3%増収、海外(同32%)は17%増収。国内はすしロボットが減収の一方、ご飯盛り付けロボットが伸長。海外は東アジア減収、東南アジア横ばいも、北米と欧州が堅調。

・2026/3通期会社計画は、売上高が前期比14.8%増の178億円、営業利益が同5.8%増の20億円、年間配当が同1円増配の35円。北米でのり巻きロボットの年間販売台数が5年間で約2.5倍となった。2028/3期までにさらに倍増を目指す。日本の大手すしチェーンが米国店舗を拡大し消費が増え、現地スーパーのテナント企業も導入。スーパーマーケットの「パックすし」のテイクアウトも米国で普及。

デンヨー<6517>

・1948年に日本電気溶接機材を東京新富町に設立。産業用電気機械器具(エンジン発電機、エンジン溶接機、エンジンコンプレッサー)および付随補修部品の製造・販売、アフターサービスを提供。

・5/8発表の2025/3通期は、売上高が前期比3.3%減の707億円、営業利益が同4.3%増の73億円。売上比率83%の発電機関連は、防災用の非常用発電機の出荷が堅調に推移したものの、米国市場向けが主力のレンタル市場で在庫調整に伴い需要が減少したことが響き、4.8%減収となった。

・2026/3通期会社計画は、売上高が前期比1.8%増の720億円、営業利益が同1.3%減の73億円、年間配当が同5円増配の80円。同社は建物や工場のバックアップ電源として設置する非常用発電機で国内シェア首位。金融庁は6/27、データセンター関連設備(受変電設備、非常用発電設備、空調設備等)のうち一定のものについて不動産投資信託(REIT)の組入れ対象とすることを認めると発表。

共立メンテナンス<9616>

・1979年設立。学生・社員寮の管理運営を行う寮事業、ビジネスホテル「ドーミーイン」とリゾートホテルを全国展開するホテル事業を主力とする。総合ビルマネジメント事業、フーズ事業も展開する。

・5/15発表の2025/3通期は、売上高が前期比12.2%増の2289億円、営業利益が同22.6%増の204億円。ホテル事業(売上比率61%)は11%増収、営業利益が25%増の185億円。寮事業(同24%)は5%増収、営業利益が3%増の60億円。総合ビルマネジメント事業(同12%)は20%増収だった。

・2026/3通期会社計画は、売上高が前期比19.7%増の2740億円、営業利益が同22.0%増の250億円、年間配当が同8円増配の46円。深刻な人手不足や、都心の単身向けマンション家賃の上昇が加速する中、企業は人材不足対策として福利厚生の一環で自社の寮や社宅の充実に注力し始めている。5月の訪日外国人観光客数は前年同月比21.5%増の369万3300人と5月で過去最高を記録。

※執筆日 2025年7月4日

フィリップ証券
フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
(公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

【免責・注意事項】
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
<日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項>

・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。



フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

プレミアム会員限定コラム

お勧めコラム・特集