クスリのアオキホールディングス:NEUTRAL継続【今村証券アナリストレポート】
| ●クスリのアオキホールディングス <3549> [東証P] レーティング:NEUTRAL(2025/4/7)→ NEUTRAL ◆食品と調剤薬局を強化したドラッグストア ◆営業利益は前期が実質小幅増益、今期が4期ぶりの減益見通し ◆自己株式の取得が株価を押し上げ |

(注)22/5期より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、22/5期の伸び率は記載していない。2023年11月21日付で株式1株につき3株の割合で株式分割を実施しており、22/5期~24/5期のEPS・1株配は22/5期期首に分割が行われたと仮定して算定。
◆食品と調剤薬局を強化したドラッグストア
ドラッグストアが主軸の上場企業の内、直近決算期の売上高は7位。北陸最大手で、27府県にドラッグストア1008店舗(内、調剤薬局併設664店舗)、スーパーマーケット24店舗、調剤専門薬局6店舗を持つ(2025年7月24日現在)。食品(日配品・冷凍食品・生鮮食品等)を取り揃えて集客力を高め、併設した調剤薬局で来店客から信頼を得ることを狙った店舗を展開する。前期(2025年5月期)における食品の売上構成比51.3%と調剤薬局併設率66.1%は同業上場企業のなかで3番目に高い。
◆前期の営業利益は実質小幅増益
前期の売上高は5014億円となり、中期経営計画の売上高目標(2026年5月期:5000億円)を1年前倒しで達成した(資料1・2、出所:決算短信・決算説明会資料)。既存店売上高が前の期比7.6%増と好調だった。前期までの3年間で既存店693店舗を改装し、すべての店舗(超小型店を除く)に青果・精肉・惣菜を導入したことで、食品の販売が伸びた。EDLP(エブリデー・ロー・プライス。毎日一定の低価格で販売する手法)施策の推進も奏功した。
利益面は、前の期に約68億円計上した株式報酬費用が約4億円に減ったことを考慮すると、営業利益は前の期比6%増、純利益は同4%減にとどまった。販売好調の食品は利益率が低く、利益貢献が小さい。加えて、生鮮食品強化と好立地物件の確保を目的に、スーパーマーケットを買収してドラッグストアへ業態転換する取り組みを推進し、前期までの2年間で10社92店舗を取得したが、その多くが収益性の低いスーパーマーケットとして運営中または業態転換のため一時閉店中であることも利益を圧迫した。
(資料1)売上高・営業利益の推移

(注) 22.5期~は「収益認識に関する会計基準」等を適用。
(資料2)業績の詳細

◆今期は4期ぶりの営業減益見通し
今期(2026年5月期)会社予想の営業利益と純利益は前期比13%前後の減益、株式報酬費用の影響を除くと14%の減益であり、営業利益は4期ぶりの減益見通しだ。前期と同じく、食品の売上構成比伸長、買収先が業態転換の期間であることがマイナスに働くのに加えて、既存店売上高の伸びが鈍化し、新規出店加速による先行費用も嵩むと見込む。
既存店売上高の前提は前期比3.5%増だ。前期途中までの改装は青果や精肉の取り扱いを始めるためのものだったが、現在は生鮮食品導入済みの店舗での品揃え拡充に移っている。改装する店舗数も減少することから、既存店売上高を押し上げる効果が小さくなるとの想定だ。
新規出店数は過去最高(2022年5月期:102店舗)を上回る110店舗を計画する(資料3、出所:決算短信・決算説明会資料)。業態転換による出店を35店舗程度見込んでいるほか、業態転換ではない自社出店も増える見通しで、生鮮食品導入やEDLP施策で店舗の収益性が高まり、建築費高騰の環境下でも出店基準を満たす物件を確保できるようになった。
(資料3)ドラッグストア新規出店数の推移

◆自己株式の取得が株価を押し上げ
今期減益予想を公表したものの、株価は上げ、上場来高値(株式分割考慮後)となる4,080円を付けた。その要因とみられるのが、自己株式の取得だ。来年6月末までに、上限600万株(発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合5.96%)、220億円を取得する。
今村証券による今期業績予想は、売上高5700億円(前期比+13.7%)、営業利益250億円(同▲6.0%)、純利益170億円(同▲4.4%)とし、会社予想を売上高が100億円(1.8%)、営業利益が20億円(8.7%)上回るとみた。6月度の既存店売上高が前年同期比7.2%増と会社予想から上振れてスタートしており、この傾向が今後も続くと想定した。来期(2027年5月期)に関しては、新規出店が今期並み、既存店売上高が今期比鈍化との前提で、増収率1割程、営業増益率5%程を予想する。投資判断は「NEUTRAL」を継続する。
| 【レーティングの定義】 OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。 NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 |
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金融商品取引業者 北陸財務局長(金商) 第3号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
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※今村証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース