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北陸企業News-高配当株-【今村証券アナリストレポート】

材料
2025年8月5日 16時30分

担当 織田真由美
●高配当株

日米関税交渉の進展などを受けて、日経平均株価は最高値更新が意識される状況だ。他方、夏は売買が細る「夏枯れ相場」というアノマリー(経験則)も意識される。実際に過去20年間の日経平均株価の月別の騰落率を見ると、8月は▲0.8%(過去20年平均)とマイナス圏に沈む。

【タイトル】

相場が停滞気味な時に注目されるのが高配当株だ。日経平均高配当株50指数(注)は0.1%上昇と、小幅ながらも上昇している。今回は高配当株に注目したい。

下の表は日経平均採用銘柄と北陸企業の配当利回り上位だ。DOE(連結株主資本配当率)を採用するなどして安定配当が期待される北陸電気工事、小松ウオール工業、朝日印刷を取り上げる。

(注)日経平均高配当株50指数:日経平均構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄から構成される配当利回りウエート方式の株価指数。

【タイトル】

出所:ブルームバーグ、株価は2025年7月25日終値

●北陸電気工事 <1930> [東証P]

レーティング:NEUTRAL

◆北陸電力傘下の電気工事会社。建設投資や電力需要の拡大で需要好調

【タイトル】

北陸電力 <9505> [東証P]向けが売上の3割程度を占め、北陸地域での事業が大半。電力供給に欠かせない配電線工事の敷設や保守、建築物・構築物の内線工事・空調管工事に加え、太陽光や水力などの発電事業も手掛ける。人員の確保、人財育成が喫緊の課題で、協力会社の開拓、作業の省力化、人財育成への投資を積極化している。

新たに策定した中期経営計画「アクションプラン2027」では、最終年度(2027年度)の売上高700億円、経常利益60億円、ROE8%を掲げ、長期的には創立100周年の2044年度の売上高1000億円を目指す。建設投資の拡大や、AI(人工知能)の普及によるデータセンター向けの電力需要拡大を背景に、電気工事事業の需要は好調だ。受注環境は好調を維持するとみられる中、東京や大阪など大都市圏での受注獲得や内線工事・空調管工事の一括受注、M&Aに取り組み、事業規模の拡大を図る。利益率改善に向けてはITやDX投資による生産性向上、労務単価の適正化による適正な利潤の確保を図る方針だ。

【タイトル】

新中期経営計画策定に伴い、配当基準にDOE(連結株主資本配当率)が採用された。これまで「配当性向30%を目途」としていた配当基準を、「DOE 3.0%を目指す」とした。足元の1株あたり純資産(BPS)を基にすれば年間配当金は47円程度となる。会社は前期まで実質14期連続で増配を続けていることから、増配にも意欲的だ。年間配当金は漸増的に47円以上に増加すると考える。

今期業績予想は増収減益見通し。高水準にある繰越高(2025年3月期末474億円)を背景に、売上高は610億円と過去最高を見込む一方、利益については賃金上昇に伴う人件費増加が重荷となる。

今期利益予想が減益見通しであることから投資判断は「NEUTRAL」とするが、増配が続く中で、配当を重視した投資の対象としてならば一考に値すると考える。

●小松ウオール工業 <7949> [東証P]

レーティング:NEUTRAL

◆オフィスや文化施設、宴会場などで使用される間仕切市場で業界トップシェア

【タイトル】

「設計指定活動」と呼ばれる設計事務所等への営業活動を展開し、新築物件の設計段階からの受注に注力。受注から設計、製造、販売、施工、サービスまでの「自社一貫システム」が特徴で、高さ23mの超大型移動壁の納入実績があるなど大型の間仕切に強みがある。

強みは「自社一貫システム」だ。これにより、受注から設計、製造、販売、施工、サービスまで自社で対応することができ、少量多品種生産に対応、オーダーメイド品を短納期で設計・製造できることが強みとなっている。

殊に高さ10メートル超の大型の移動間仕切のシェアは7割とも言われ、同社の独壇場だ。移動間仕切は昇降やスライド、収納時などでのスムーズな動きに加え、安全性が求められるだけに納入実績のある同社は他社の追随を許さない状況だ。新規のビル建設のみならず、ホテルやホールなどのリニューアル工事でも需要がある。オーダーメイド品が多いことから高い利益率が維持されやすいうえ、トイレブースなどとのクロスセルにつなげられている。こうした中で、受注は拡大傾向が続く。

【タイトル】

大都市圏の再開発などにより建設投資が堅調に推移する中、業績は堅調に推移しそうだ。高水準の受注残高(2025年3月末時点188億9700万円)も支えとなり、今期業績は売上高、営業利益、経常利益、純利益が過去最高見通しだ。今村証券では来期業績も堅調に推移すると考え、売上高485億円、営業利益は44億円と2期連続の最高益更新を予想する。

会社が掲げる株主還元は、「純資産配当率(DOE)6%を目安に配当」だ。業績に基づく株価のバリュエーションは妥当な水準と考えることから投資判断は「NEUTRAL」とするが、配当重視であれば投資対象として検討に値すると考える。

●朝日印刷 <3951> [東証S]

レーティング:NEUTRAL

◆医薬品向け、化粧品向けパッケージでシェアトップ

【タイトル】

医薬品パッケージの印刷でシェア4割、化粧品パッケージでもシェア3割弱と業界トップ。強みは①高い参入障壁、②業界トップの生産体制、③設計・デザインから製造・包装まで自社グループで提供できるワンストップサービス―――だ。医薬品のパッケージの製造には法律などの厳しい規制があり、徹底した品質管理体制と品質保証体制が求められる。また、デザインが重視される化粧品向けのパッケージには高い印刷技術や設備が要求されるが、これに応えられる印刷会社は数社に限定される。参入障壁は極めて高い。

生産設備を富山と京都に構えることも強みだ。災害時などのBCP(事業継続計画)対応が可能になることは受注獲得に優位となっており、20カ所に及ぶ国内販売拠点も差別化につながっている。

また、医薬品や化粧品など需要が安定している業界に特化していることに加え、幅広い取引先を持つことが同社の事業基盤を盤石にしている。取扱高トップの得意先でも売上高の4%程度を占めるに過ぎず、幅広いメーカーとの取引が安定した業績につながっている。

【タイトル】

一方、増産や省力化・効率化のための投資が続く中で固定費が増加していることに加え、原材料価格の上昇が利益を圧迫する。近年の最終損益は16億円から18億円で推移しており、ROEは5%台にとどまる。一段の利益拡大には売上高の拡大、生産性向上が求められ、会社は包装システム販売事業の拡大やラベル事業の拡大、海外事業の拡大など事業ポートフォリオの再構築を図るとともに、省力化・省人化を進めるなど生産性向上に取り組むことで収益改善を目指している。ただ、採算性改善に向けた取り組みはコストが先行するため、利益拡大にはやや時間を要している。

今期業績予想は小幅な増収増益見通しで、配当予想は前期並みだが、総還元性向70%を公表し、7月22日には上限57万株(発行済株式総数に対する割合2.68%。取得総額上限5億円)の自己株式取得を発表した。利益の横ばいが続いていることから投資判断は「NEUTRAL」とするが、配当利回りが4%超と高いことから、配当重視であれば投資対象として検討に値すると考える。

【レーティングの定義】
OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。
NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。

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今村証券株式会社

金融商品取引業者 北陸財務局長(金商) 第3号

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今村証券より提供されたレポートを掲載しています。

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