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セーレン:OUTPERFORM継続【今村証券アナリストレポート】

材料
2025年9月8日 13時00分

担当 近藤 浩之

●セーレン <3569> [東証P]
レーティング:OUTPERFORM(2025/5/23)→ OUTPERFORM

◆世界シェアNo.1のカーシート表皮材など、繊維技術を基盤に多分野展開
◆今期業績予想を上方修正
◆成長分野への積極投資に加えて、ユニチカ繊維事業を買収

【タイトル】

出所:セーレン、ブルームバーグ、今村証券

◆世界シェアNo.1のカーシート表皮材など、繊維技術を基盤に多分野展開

「車輌資材」(自動車・鉄道等のシート材、エアバッグ、加飾部品)が前期(2025年3月期)売上高全体の7割弱を占める。「ハイファッション」(各種衣料製品、衣料用繊維加工)、「エレクトロニクス」(導電性素材、工業用ワイピングクロス、ビスコテックス・システムおよびサプライ等)、「環境・生活資材」(建築用資材、インテリア用資材、健康・介護商品、環境・土木資材)、「メディカル」(医療用資材、化粧品、水処理用資材)なども手掛ける。

◆今期業績予想を上方修正

今期(2026年3月期)第1四半期業績は、売上高、営業利益、経常利益、純利益のすべてが過去最高を更新した(資料1、出所:決算短信・決算説明資料)。特に営業利益が前年同期比31%増と伸び、売上高営業利益率は13.3%(前年同期比2.6ポイント)に高まった。通期会社予想は、営業・経常利益を11億円、純利益を9億円引き上げ、売上高は4期連続、営業・経常・純利益は5期連続での過去最高更新を見込む。

(資料1) 業績の推移

【タイトル】

【タイトル】

近年の好業績を支えるのは「車輌資材」だ。今期第1四半期はアジアでの受注が旺盛だったほか、メキシコでの受注が想定を上回り、品質改善や経費削減活動の成果も出た。第1四半期は「エレクトロニクス」と「ハイファッション」も堅調で、「エレクトロニクス」は半導体関連やゲーム機、モバイル端末向け商材が拡大、「ハイファッション」はインナー素材が伸びた。

第2四半期以降9カ月間の会社予想については、売上高、営業利益、経常利益、純利益ともに前年同期比ほぼ横ばいにとどめている。受注は「車輌資材」を中心に堅調が続き、品質改善などの効果も継続しそうだ。為替は前提(1ドル=143円、1人民元=19.8円)より円安で推移し、原材料価格や燃料価格も前提を下回っている模様だ。そのため、一段の上振れが想定できる。

◆成長分野への積極投資に加えて、ユニチカ繊維事業を買収

今期からの3年間で総額300億円の成長分野投資を実施する(資料2、出所:決算説明資料)。投資の中心も「車輌資材」だ。

(資料2) 成長分野

【タイトル】

主にシート材として用いられる合成皮革「QUOLE(クオーレ)」の増産投資を、すでに進行中のメキシコに加えて、タイ、インドでも予定する。「QUOLE」は重量が本革の約1/2と軽量化に役立ち、耐久年数は10年以上、耐摩耗性は本革の4倍である。「夏熱くならず、冬冷たくならない」素材のため車内体感温度を下げてエアコン稼働の抑制が可能となり、製造工程で水や溶剤の使用を抑えたり、リサイクル糸や植物由来の原料を使用したりといった環境負荷低減や、動物愛護にも貢献できる。

ポリエステル製エアバッグの一貫生産体制構築も進める。エアバッグの素材はナイロンが主流だったが、リサイクル性や製造工程での二酸化炭素排出量の少なさを背景にポリエステルの需要が高まっていることに対応する。

この成長分野投資とは別枠で、来年1月にユニチカ <3103> [東証P]の岡崎事業所(愛知県岡崎市)で営む繊維事業を買収する。①国土のほぼ中心に位置し物流の利便性が高いこと、②大規模な生産設備、それを支える研究施設や人材を有していること、③既存事業とのシナジー効果が見込めること―などから買収を決めた。2005年に買収したカネボウ繊維事業(現KBセーレン)を再生した経験を活かし、今後10年で100億円規模の投資を行って事業拡大につなげる。この買収により、売上高は年間200億円程度の押し上げ、営業損益は3~4年後の黒字転換を見込む。

◆投資判断はOUTPERFORM継続

今村証券では、今期業績は会社予想を上回る、売上高1700億円(前期比+6.5%)、営業利益200億円(同+12.0%)、純利益150億円(同+8.0%)を予想する。配当金も会社予想を上回る80円を予想、自己株式の取得も期待したい。来期(2027年3月期)は既存事業が好調な一方、ユニチカ繊維事業の買収がフルに寄与し、利益の伸びが抑えられそうだ。

株価は昨日(9月3日)、1990年以来の高値となる3,170円を付けた。投資判断は「OUTPERFORM」

【レーティングの定義】
OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。
NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。

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今村証券株式会社

金融商品取引業者 北陸財務局長(金商) 第3号

加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会

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今村証券より提供されたレポートを掲載しています。

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